『20世紀少年』『21世紀少年』
大学1年が大阪万博の年だった。
子どもの頃、大阪の近郊で育ったので、本書の主人公たちのように、空き地に「秘密基地」を作って遊んでいた。そして、本書のように、そこは、いつしか、建物が建っていた。子どもの頃、田んぼや畑を横切りながら中学校に通っていたのだが、そうした田んぼや畑も工場や住宅に変わっていった。
高校生の頃、大阪近郊の田舎じみた高校にも学生運動やべ平連の影響で、メットをかぶり、ゲバ棒をふるった友人もいた。また、反万博を叫んでいた。私も、「親戚のおばさんに、アポロが月にいって石を持ち帰ったなんて嘘だ、それは、アメリカの陰謀で、すべてスタジオで作られたんだあ」と説明していた。
でも、大学に入ると、万博に5回も行った。月の石を見たかどうか定かではないが、多分入ったのだろう。そして、いくつものパビリオンにいって、輝かしいと思ったかどうかも定かではないが、変わりゆく直近の想像の未来を見て回った。
実家も日本経済の成長に伴って、それなりに豊かになっていった。マイカーも、また、大阪平野を出て、奈良の新興住宅に引っ越していった。大阪近郊は日々変化していった。
本書(ビッグコミック・スペシャルで読んだことはなく、すべて、単行本になってから買い読んだ)を読みながら、非常にノスタルジックな気分になった。20世紀少年たち、多分、わたしとかれらとは、6-7歳の違いしかあるまい。たぶん、世紀のにおいは共有している。
「ともだち」の存在によって、けして「オウム真理教」ばかりを思い出したのではなかった。カルトだけではなく、セクトのことも、また、様々な語りを行う当時のイデオローグを思い出していた。先に触れたように、万博もその一つだ。いったい、あの「未来学」はどこに行ったのだろうか。
手塚治虫の鉄腕アトムが活躍する未来は2003年だったし、あの「ビッグブラザー」の支配するオーウェルの近未来は、1984年だった。1950年代当時から見た未来は、そんな時代だった。そしてまた、万博の頃、21世紀はまさに、輝かしい未来として描かれていた。21世紀になったいま、はたして、輝かしい未来に我々はいるのだろうか。
先日、たまたま、大阪城に行く用があり、天守閣前の広場で万博のタイムカプセルがまるで遺跡のように存在するのに気がついた。200年後にあけるのだという。未来へのメッセージをたくすというタイムカプセルは、当時、全国の小中学校で作られたと思うのだが、あのタイムカプセル現象は、何だったのだろう。
主人公のケンジは、タイムマシンに乗って「ともだち」のなぞを明らかにしようとする。われわれも、やはり、記憶というタイムマシンに乗って、もう一度、当時から今のありようを思い起こしておく必要があるのかもしれない。「ともだち」に支配されたりはしない「未来」を築くために。
子どもの頃、大阪の近郊で育ったので、本書の主人公たちのように、空き地に「秘密基地」を作って遊んでいた。そして、本書のように、そこは、いつしか、建物が建っていた。子どもの頃、田んぼや畑を横切りながら中学校に通っていたのだが、そうした田んぼや畑も工場や住宅に変わっていった。
高校生の頃、大阪近郊の田舎じみた高校にも学生運動やべ平連の影響で、メットをかぶり、ゲバ棒をふるった友人もいた。また、反万博を叫んでいた。私も、「親戚のおばさんに、アポロが月にいって石を持ち帰ったなんて嘘だ、それは、アメリカの陰謀で、すべてスタジオで作られたんだあ」と説明していた。
でも、大学に入ると、万博に5回も行った。月の石を見たかどうか定かではないが、多分入ったのだろう。そして、いくつものパビリオンにいって、輝かしいと思ったかどうかも定かではないが、変わりゆく直近の想像の未来を見て回った。
実家も日本経済の成長に伴って、それなりに豊かになっていった。マイカーも、また、大阪平野を出て、奈良の新興住宅に引っ越していった。大阪近郊は日々変化していった。
本書(ビッグコミック・スペシャルで読んだことはなく、すべて、単行本になってから買い読んだ)を読みながら、非常にノスタルジックな気分になった。20世紀少年たち、多分、わたしとかれらとは、6-7歳の違いしかあるまい。たぶん、世紀のにおいは共有している。
「ともだち」の存在によって、けして「オウム真理教」ばかりを思い出したのではなかった。カルトだけではなく、セクトのことも、また、様々な語りを行う当時のイデオローグを思い出していた。先に触れたように、万博もその一つだ。いったい、あの「未来学」はどこに行ったのだろうか。
手塚治虫の鉄腕アトムが活躍する未来は2003年だったし、あの「ビッグブラザー」の支配するオーウェルの近未来は、1984年だった。1950年代当時から見た未来は、そんな時代だった。そしてまた、万博の頃、21世紀はまさに、輝かしい未来として描かれていた。21世紀になったいま、はたして、輝かしい未来に我々はいるのだろうか。
先日、たまたま、大阪城に行く用があり、天守閣前の広場で万博のタイムカプセルがまるで遺跡のように存在するのに気がついた。200年後にあけるのだという。未来へのメッセージをたくすというタイムカプセルは、当時、全国の小中学校で作られたと思うのだが、あのタイムカプセル現象は、何だったのだろう。
主人公のケンジは、タイムマシンに乗って「ともだち」のなぞを明らかにしようとする。われわれも、やはり、記憶というタイムマシンに乗って、もう一度、当時から今のありようを思い起こしておく必要があるのかもしれない。「ともだち」に支配されたりはしない「未来」を築くために。
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