ただの備忘記録

忘れないように記録を残します。忘れるから記録に残してます。そして、その記録が役立つといいかな。

映画「オーシャンズ」

2010年01月30日 | 映画
海洋動物をテーマにしたドキュメンタリー映画「オーシャンズ」を観た。
昨年「アース」を観て、最近はNHKのネイチャードキュメンタリーを観ていて、宣伝も頻繁にあるので、期待は十分にあった。
しかし、開始早々ひどく疲れる。座席が前よりでスクリーンに近かったのもあるかもしれないが、とにかくなんでもかんでもアップの映像ばっかりなのだ。カメラは概ねブレを押さえているものの、迫力というよりも圧迫感が強い映像になっていた。
また、コンテを用意したほど念入りに準備されて撮影されたと言うが、全体を通してはありがちなテーマしか見えてこず、それぞれのシーンでは何がテーマなのか判らない。
環境問題や動物保護を投げかけるために、フィクションの映像まで用意してあるにもかかわらず、各シーンは捕食のシーンばっかりで、ただ珍しい映像を並べただけという印象でしかない。
一つの動物の生涯を追うわけでもなく、期待していたシーンも短時間で切り替わり、前後のつながりもないという始末。

字幕はまったくなく、ナレーションだけが頼りなのに、詩的な言葉が並べられるだけでなんの解説にもなっていない。精々、その動物の名前と、観れば明らかな行動の説明がたまにあるだけだ。どの映像がどこで撮られたものか、ほとんど判らない。

残酷なシーンも用意されている、漁網に掛かった魚や、ヒレだけを切って捨てられるサメだ。これはTVでも放送されていてので知っていたが、観たくない映像であった。
ヒレを失って泳げなくなったサメは、血を流しながら海底までまっすぐに落ちて行き、丸太のようにただ横たわるだけだった。
重いテーマを見せたかったのだろうが、それに対して何が必要なのか、訴えかけるものはない。子どもにとってはただの残酷映像だ。

隣の席のおじさんは、海亀の子どもが孵化して海へと帰る間に、鳥たちに次々と餌食となる場面で、海亀の子が次々と食われて行くのを1つ1つ「ははっ」と笑っていた。
他にもマナーの悪さが目立ったし、映画を観て気持ちよく出て行くことはできなかった。

ドキュメンタリーもちゃんとテーマを持ってないと、訴求力がないと感じた。
1つ1つの映像はすばらしくとも、作品としての統一感と、共通のテーマを感じられなかったのが残念だ。