ただの備忘記録

忘れないように記録を残します。忘れるから記録に残してます。そして、その記録が役立つといいかな。

マンガ「ハガネの女」

2009年01月05日 | コラム

久々に面白いマンガに出会いました。
絵は女性作家らしくか細い感じですが、とても見やすいです。
主人公のハガネは35才独身の小学校教諭で、学級崩壊と言われた4年生の担任になります。
テーマは非常に重そうですが、コミカルなタッチもあります。でも、重苦しかったり、大げさで突飛な内容でも苦痛です。しかし、このマンガの良いところは、しっかりと子どもの問題を掘り下げながらも、すっきりと納得の行く結果を出しているところです。

学級に起こっている問題はいじめという形で目に見えています。親の圧力もあります。しかし、それらもちゃんと理由があって、その理由にたどり着くアプローチにとてもリアリティがあるのです。
ただ単に、いじめる側といじめられる側という曖昧な定義ではなく、子どもがどうしてその行動を取ったのかという理由を紐解く課程があるのです。
その課程で、いじめっ子が実はそうではなかったり、優等生が実はそうではなかったりしますが、そこは単純にそれで解決する訳ではありません。ハガネという女性は自分の間違いを素直に謝りながら、子どもや親と対峙します。
作り物の大げさなドラマというよりも親近感があって、子どもの気持ちになって見ることができます。子どもながらに気を遣い、好きな子に間違った形で表現をしてみたりと、複雑な子どもの気持ちが裏にあることが分かります。
これを読むと、いじめの本質が、ただの不良の産物でないことが理解できて、本質的に子どもたちは純粋な気持ちで行動しているように見えてくるので、安心感があるのです。

もちろん、フィクションですから現場にいる教師からは嘘っぽいと言われるかも知れませんが、学級崩壊やモンスターペアレントの問題を、ある意味で良き人々の問題として解きほぐしてくれる物語だと思います。

まだ2巻までしか読んでいませんが、1つの物語としては完結して読むことが出来ます。

ハガネの女 1 (1) (クイーンズコミックス)
深谷 かほる
集英社

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