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伊東良徳の超乱読読書日記

はてなブログに引っ越しました→https://shomin-law.hatenablog.com/

これだけはおさえておきたい!令和の新ビジネスマナー

2023-05-19 23:58:56 | 実用書・ビジネス書
 ビジネスマナーについて解説した本。
 「令和の新ビジネスマナー」と銘打っていることから、ビジネスマナーの変化を強調し、グローバルスタンダードへの移行(15ページ)などということも書かれています。近年は時間をかけることは相手の時間を奪うことと捉える人が多くなったのでコミュニケーションは最小限にする、苦情に対して手土産を持ってお詫びに行くと訪問されるのは迷惑だと言われかねないなどの指摘がなされています(12ページ)が、そうは言っても皆が皆そう考えるわけでもなく、実際どうすべきかは簡単ではないように思えます。ビジネスマナーの正解は1つだけではない、「型」どおりに行うのがマナーではない、相手を思いやることが最も大切だとしつつも、とはいえ多くの人は「型」を見てジャッジしているから、型を知り実践できることも大切だ、基本の「型」を身につけてこそくずすことができると述べ(16~17ページ)、まずは「型」を身につけろと言うのです。
 近年の変化に応じて、結局はどうすればいいのか、思い悩んでしまいます。基本の型を身につけずにそういうことを言うのは10年早いということかもしれませんが。


西出ひろ子 秀和システム 2023年3月15日発行
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これ以上、目をわるくしたくない人の視力防衛生活

2023-05-18 23:01:34 | 実用書・ビジネス書
 視力にいい生活習慣について説明した本。
 涙で目の表面を十分潤して整えるためには、上まぶたをしっかり下ろして下まぶたとしっかりくっつける(著者は「完全まばたき」と呼んでいます)必要があるが、まばたきがきちんとできていない(きちんと閉じない、速すぎる)人が多く、角膜表面の滑らかさが失われてでこぼこになる、不完全なまたたきの割合が多いと涙の油分をつくるマイボーム腺の機能が低下して涙の質が低下する、それを防ぐために意識してきちんとまばたきをしようというのが、著者の主張の基本です。
 コロナ禍でマスクをしていると、マスクの隙間から息が目に直風となって当たり目が乾きやすい(41~42ページ)とか、スマホやパソコンの画面から出ているブルーライトが明るさを感知して眠るタイミングや覚醒時間を調節する「内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)」を刺激するため寝付きが悪くなる(49~50ページ)とかも、気をつけておきたいところです。
 目をつぶっていれば目は涙で覆われていると思っていたら、睡眠中は涙の分泌が減り、まばたきもしないため涙液交換はおこなわれませんって(75ページ)。それで、著者は、起床直後に意識的に完全まばたきをしましょうと勧めてます(75ページ)。睡眠中、唾液の分泌が減って口の中の雑菌が増える(それで歯医者さんは寝る前によく歯を磨いておこうと言います)というのと同じなんですね。
 今急速に普及しているLEDは、目には優しくない(95~96ページ)、水で目を洗うのは目の表面の保護機能を破壊するのでよくない(100~101ページ:子どもの頃、プールの後に水道水を目に当てて洗うよう指導されましたが、痛くてイヤでした。その直感の方が正しかったのですね)とか、いろいろ「目からウロコ」の本でした。


綾木雅彦 サンマーク出版 2023年3月30日発行
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図解いちばんやさしく丁寧に書いた貿易実務の本

2023-05-17 23:13:03 | 実用書・ビジネス書
 輸出や輸入を行う際に、取引相手、銀行や行政、海運貨物取扱業者(海貨業者:通関業者)、船会社・航空会社、保険会社等との間でどのような手続が必要か、そのためにどのような書類を作成し、どのタイミングで何をする必要があるかといった、貿易の手続について、説明した本。
 細かく項目を分けて見開き2ページ、イラスト入りで説明され、タイトルどおりにわかりやすく説明されていると思います。説明自体は簡単にするということもあって抽象的なためにわかりにくいというところもありますが、後半に実際に使う書式が掲載されて説明されていますので、そちらでわかるという部分もあります(書式の方は、取っ付きにくく、一見して読む気が失せるという人も多いとは思いますが)。
 輸出入対象商品ごとの規制や問題点、注意事項といったものは、書いていると切りがないということだと思われるので、それは望めないとしても、通関手続に時間を取られてビジネスチャンスを逃がしてしまうことも考えられるということを言って関税の納期限の延長制度の利用を勧め、そのために担保を提出すると説明されています(112~113ページ)が、そういうふうに言われると、税関の通関にどれくらいの時間・期間がかかるのか、そこで提出する担保は何が可能か/ふつうなのかというようなことが気になります。それ以外でも、担保が必要なケースが多数出てくるのですが、どういう担保を出すのか、船荷証券が届く前に貨物が着いてしまったときに船荷証券なしで輸入業者が船会社から貨物を受け取るための「保証状」についてだけ約束手形を銀行に差し入れなければならないと書かれています(230ページ)が、それ以外の担保も約束手形でいいのかなどが気になってしまいました。


片山立志 成美堂出版 2021年6月1日発行
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知識ゼロからわかる物流センターの基本

2023-05-16 23:57:21 | 実用書・ビジネス書
 物流センターの機能や設置運営の条件、設備、機器、入荷・検品・格納業務、在庫管理、ピッキング(取り出し)、流通加工、包装・梱包・仕分け・出荷業務、倉庫管理システム、センターの賃借、外注化、自動化等について、項目分けして見開き2ページで簡単に解説した本。
 基本的に、物流センターを自社で持つか借りて運営する会社からの視点で書かれています。私は、そちら側の弁護士ではないので、物流センターの管理運営やそのコスト判断には関心はありませんが、物流センターで働く労働者の労働事件はわりとあるので、物流センター内の設備やそこでの業務(労働)内容には関心があり、勉強になりました。
 大規模な物流センターでは、自動化・機械化することが、この本でも推奨されていますが、会社側からはミスが減り効率化されると評価されても、労働者は機械に使われ、作業を急かされることにもつながり、単調な労働が強化されるということになりかねません。現時点では、産業用ロボットの性能はそれほどではなくて「PR動画は実際のロボットの動きよりも少しだけ早回しした状態で編集してあります」(162ページ)というのはご愛敬ですが(いや、それ、詐欺だろ)。


刈屋大輔 ソシム 2021年10月3日発行
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自然科学ハンドブック 恐竜・古生物図鑑

2023-05-15 21:33:32 | 自然科学・工学系
 中生代以降の絶滅した恐竜その他の生物について図解し解説した本。
 それぞれの生物の呼称、分類、生息年代、生息環境、体長、体重、食性と解説を、大半は外見のイラスト(人の大きさとの比較付き)、一部は骨格標本をつけて掲載しています。化石等からどうしてそこまでわかるのか、不思議に思います。科学の進歩なのか、想像力と蛮勇なのかはわかりませんが。ティラノサウルスの背中に毛が生えているイラスト(112~113ページ)は、ちょっと衝撃的でした。
 また、さらっと「かつて恐竜は動きの遅い外温性(変温性)の動物だと考えられていたが、今では多くの恐竜が内温性(恒温性)だったといわれている」と書かれている(11ページ)のも、学問の進歩・知見の変化を感じました。
 ずっと見ていくと、遙か昔からさまざまな動物が誕生しては絶滅していったことに感慨を抱きます。子どもの頃から、人類は二足歩行をすることで手が移動から自由になり道具の製作・使用ができるようになったという説明を聞かされてきたのですが、早くも中生代最初の三畳紀に二足歩行で前肢に4本の指があり「手を握る動作ができた」というグナトボラクス(48ページ)、イラストではかなり体を起こした二足歩行をして「手の親指がほかの指と向き合っていたので、手で食物をつかむことができた」というプラテオサウルス(51ページ)がいたというのを見ると、二足歩行で手が自由になるということの意味についてもいろいろに考えるべきことがあるように思えます。クジラが、陸生のブタの仲間が海洋に移動して適用したという話(160ページ)なども含めて、生物の「進化」のありよう、一直線の進化があるわけではないことに思いをはせました。


原題:Dinosaurs and Other Prehistoric Life
グレゴリー・F・ファンストン監修、ヘイゼル・リチャードソン著 田中康平監訳、喜多直子訳
創元社 2022年12月30日発行(原書は2003年・2021年)
 
 
 
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東日本大震災後の放射性物質と魚 東京電力福島第一原子力発電所事故から10年の回復プロセス

2023-05-14 19:48:25 | 自然科学・工学系
 福島原発事故後の海洋と内水面(河川・湖沼)の放射性物質(主としてセシウム137)の移動と水生生物からの検出状況について説明し、福島県産の水産物にはもはや危険はないと主張する本。
 編著者である国立研究開発法人水産研究・教育機構は、水産業の活性化等を目的とする法人であるということからか、震災から復興した漁港では新たに導入されたシステムでより高鮮度な商品の出荷が可能(10ページ)などと放射能汚染問題とは全然関係ないところで安心・安全を印象づけようとし、年月が経過しても放射能汚染が提言しない湖沼等でキャッチアンドリリースによる遊漁解禁(釣った魚が食べられる水準でなくても釣り客を呼び込もう)を提言する(93ページ)など、漁業振興に前のめりの記述も見られます。
 2012年8月に原発から20km圏内で採取されたアイナメから16,000Bq/kg(出荷制限基準の160倍)ものセシウム137が検出されたことについて、水産機構では原発港外に生息するアイナメにおいてそのような個体が存在する確率は1000万分の1程度で、この放射線量は原発港湾内にいたアイナメのセシウム137分布範囲内であるからこの個体は原発港内から逃げ出したものと結論づけたと書かれています(49~50ページ:他方で58ページではアイナメは岩礁域に生息する定着性の強い底魚だとも書いていますが)。消費者の立場からすれば、原発港湾内の汚染度の高い魚が現在では操業が再開されている海域まで逃げていたとしたら、それ自体に危険を感じるわけです。汚染水が原発港内でコントロールされているなどということがあり得ないのと同じように、汚染魚もまた原発港内や操業自粛海域(10km圏内)にとどまってはいないということですから。例外的だからいいではないか、そんなことで不安をいうのは風評被害だという姿勢には、どうも違和感を持ちます。
 この本でも、現在もなお福島原発から海洋へのセシウム137の直接漏洩は続いていること、陸域に堆積した放射性物質が河川からなお供給されていることなどの記述もあります(30~35ページ)。海底堆積物について汚染物質が拡散して濃度は低くなったと言うばかりではなく、それが汚染地域が拡大していることであり、海洋での測定はごくわずかな地点・サンプルについてしか行えず、生体濃縮等の機構についても十分解明できていないことなどの限界性を踏まえて、もっと慎重な姿勢で書いてもらえたらと、私は感じました。


国立研究開発法人水産研究・教育機構編著 成山堂書店 2023年3月28日発行
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デッサ・ローズ

2023-05-13 22:23:04 | 小説
 奴隷市場へ連行される道中で反乱を起こして逃亡して捕まり妊娠中であったために出産まで生かされ、白人男性の作家ネヘミアの聞き取りを受けていた黒人女性デッサ・ローズが、仲間の手により奪還されて逃走し、農場主の夫が帰ってこない妻の白人女性ルースの下で仲間たちと過ごしつつ、ルースを忌み嫌い侮蔑しながら、奴隷制のない地への旅立ちに向けて白人たちから金を騙し取る計画を実行して行くという小説。
 黒人奴隷の受ける虐待を描くとともに、白人からは十把一絡げに扱われる黒人たちのそれぞれの個性、人柄、感情、欲望を描き出して、一人ひとりにステレオタイプやきれいごとに収まらない人生と意志、希望があることをアピールしています。
 そういった感情のある現実の人間を描いているということなのでしょうけれども、仲間に奪還されて自由の身になったデッサが、例えば「地下鉄道」のように自分が別の黒人奴隷を解放しようと活動したりそのような意志を持つわけでもなく(後に白人から金を騙し取るために仲間を奴隷として売ったフリをする場面でも、その仲間が逃げ損ねても自分が助けに行くことはないと考え)、自分が滞在する農場の白人女性ルースを、ルースから何か酷い仕打ちを受けたということはなく食物も部屋も与えられ産んだばかりの自分の子に授乳までしてもらいながら、憎み、嫉妬し、侮辱し続ける、自分は黒人だというだけで見下されることに反発しながら相手が白人女性だということで毛嫌いするという姿勢には、どうしても共感できませんでした。白人に感謝したら " Uncle Tom's Cabin " になってしまうという意識があるのかも知れませんが、それはあまりに硬直した姿勢に思えます。おまえは虐げられた者の苦しみを理解できていない、といわれればそれまでですけど。
 この設定とストーリー展開からは読んでいて知りたくなる奴隷隊での反乱の詳細やデッサの奪還の詳細は結局語られないことも、デッサの感情と姿勢に共感できないことと並んで、不満に思えました。


原題:Dessa Rose
シャーリー・アン・ウィリアムズ 訳:藤平育子
作品社 2023年2月15日発行(原書は1986年)
コメント (2)
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大名倒産 上下

2023-05-12 23:44:42 | 小説
 文久2年(1862年)、越後丹生山3万石松平家は、25万両の借金を抱え、利息だけでも年間3万両、近年の歳入は年間せいぜい1万両という絶望的な状況にあったが、代々の当主はこれを隠し、というよりも知らないままに借金を増やしてきており、第12代当主はこの実情を目の当たりにして返済を先送りにして追加の借入金を隠して溜め込み計画倒産を画策、松平家故にお取り潰し(改易)でも家族はどこかの裕福な大名にお預けと踏んで、家来には隠し溜めた資産で一時金を配ればよいと考え、かつて村娘に産ませた4男坊小四郎を第13代当主に仕立て上げ、詰め腹を切らせることにして自らは隠居して悠々自適の生活を送っていた。家督相続後、江戸城でのお目見え後に老中に居残りを命じられて献上品が目録のみで支払をしていないことが3度も続いていると知らされたことを機に勘定役らを問い詰めて実情を知った小四郎は…というお話。
 映画(2023年6月23日公開:映画の見ての感想はこちら→映画「大名倒産」)の予告編を見てから読んだので、小四郎が倹約・特産品奨励等を進めて、もちろんあの手この手の奇手や禁じ手に相当な幸運もあって問題を解決するという展開を予想しました。しかし、小四郎らの奮闘は描かれてはいるもののときどき断片的に出てくるという程度で、小四郎主役というのではなく、群像劇的な構成・展開ですし、神々が相当数・相当な頻度で登場して小四郎の努力よりも神の力に左右されるところが大きいという印象です。コメディ仕立てですし、そもそもどこをどう頑張っても破産(倒産)しかないでしょという設定にしてしまった以上、人間の努力で解決することはできず、人間の努力で解決したと描いたらあまりにも空々しい(漫画っぽい)ということでそうしているのでしょうけれども、私は、神様抜きでやって欲しかったなと思います。大黒屋幸兵衛や仙藤利右衛門、鴻池善右衛門などの大物を引っ張り出すのなら、どうやって協力させたか、協力する気になったのか、その協力で具体的にどうなったのかをきちんと描かないと説得力がないと思うのですが、そこが「神の手」を使っているからでしょう、詰めが甘い感じがします。
 作者の位置づけでは「バカップル」の新次郎を慕うお初がいじらしくも可愛い。間垣作兵衛となつとか、正心坊とか、微笑ましい脇キャラにも恵まれています。


浅田次郎 文藝春秋 2019年12月10日発行
「文藝春秋」連載
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瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。

2023-05-11 22:09:38 | 実用書・ビジネス書
 ビジネスシーンで意見を求められたり質問されたときに速やかに自分の意見を言葉にできるようトレーニングすることを勧め、その方法を提案する本。
 課題を設定し(巻末にその例が500挙げられています)、それについて思いついた答えを1つ書き、続いてその答えについてそれってどういうこと(より具体的にはどういうこととか、言い換えればどういうことという趣旨かと思います)と考えて書き出していき、その後そう考えた理由を1つ書き、やはりその後それってどういうことと書き出していく、それを1つの課題につきA4紙1枚に2分間で書く、それを1日3回行うということを推奨しています。
 紙に書き出すことは、私の場合、準備書面(裁判所に提出する、主張を書いた書面)作成や、尋問準備ではよく行っていて、それで頭が整理され、主張の論理立てや尋問の流れができていくということを経験しています。その場合は、それまでにさまざまな材料集めをし、その都度目を通し、考えていたのを寝かせた上で、最終段階でやりますし、きちんと組み立てます。そういうときに、紙に(私の場合手書きで)書き出して行くことが有効なことは体感しています。この本で求めているのはそういうことではなく、より軽い段階で速やかに言葉にするための訓練なので、短時間で繰り返すことが大事で、著者は「深掘り」と言ってはいますが、よくいわれる「なぜ」を5段階6段階繰り返すというようなことではなくて、言い換えるうちに具体化され思いにフィットする言葉が出てくるという実践です。
 この本では、自分が考えている(感じている)けれども言葉にならないモヤモヤした状態のものを言語化することをテーマにしているのですが、老化のために言葉が思い出しにくくなっていることへの対策にもなるものでしょうか。


荒木俊哉 SBクリエイティブ 2023年4月6日発行
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反戦と西洋美術

2023-05-10 23:03:22 | 人文・社会科学系
 戦争の惨禍を描き反戦を訴える美術(主に絵画)作品の歴史を紹介した本。
 さまざまな絵画に込められた反戦のメッセージとそのように見るべき/見られる作品が紹介され、多くの新たな発見がありました。有名な画家では、生前にすでに成功し大きな工房で大量の絵画を生産していたルーベンスの絵画の反戦メッセージを冒頭で紹介していて(17~22ページ)、ルーベンスに対する認識を改めました。無名どころはもちろん、知らなかった画家が多く、今後気にしておきたいと思いました。
 それぞれの作品や画家に対する著者の評価については、議論の余地がありそうです。著者自身が、「残虐で苦痛なイメージによって戦争を告発することと、戦争をいわば一種の見世物にすることとのあいだには、必ずしも明確な境界線が引けるわけではない。両者の違いは紙一重である」(30ページ)とし、「許しがたいものをとらえたイメージは、そのイメージ自体を許しがたいものへと一転させるかもしれない」(188ページ)としていることに注目しておきたいところです。
 埋もれた作品と画家への認識のみならず、戦争のプロパガンダと反戦メッセージの評価や議論に関しても刺激を受ける本でした。


岡田温司 ちくま新書 2023年2月10日発行
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