アイルランド人でシティ(ロンドンの金融街)にある銀行をリストラされて大型ダンプの運転手として稼働する配偶者と、一人息子とともに、イギリス南端のブライトンの「荒れている地域」と呼ばれる元公営住宅地(サッチャー政権時代に民間に売り飛ばされた)に住む福岡出身の元「底辺託児所(と著者が呼んでいた)」保育士にしてライター稼業の著者が、息子が小学校時代は夫の親族の意向もあってカトリック校に通っていたが中学は近所の白人が圧倒的多数の元底辺中学校に通うこととなったのをきっかけに、息子のスクールライフを通じてイギリスの教育事情やレイシズムの様子などを報じた本。
リッチな学校の方が人種的な多様性があり、底辺校にはホワイトトラッシュとかチャヴと呼ばれる白人労働者階級が通いレイシズムが酷くて荒れているという中で、あえて後者を選択したけれども、その中でも子どもは悩みながらもわりと軽やかに生き抜き自分の頭で考えて対処して成長していったというお話です。
ニュース等からは見えないイギリス社会の貧困層の生活や意識/差別意識の実情といったストレートに書くと堅い話を、中学生の学校や友人との間のエピソードを通じてイメージしやすい読みやすい形で書いているので、すっと読み通せます。子どもを持つ親にとっては、子どもの友人やその親との付き合い、子どもの惑いつつも成長しいつの間にか大人びた考えを持つに至る様子など共感する点が多いことも、テーマの堅さを意識しないで読みやすい要素となっています。
創設2年目のYahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作(本屋大賞にノンフィクション部門ができたことを、この本で初めて知ったのですが)

ブレイディみかこ 新潮文庫 2021年7月1日発行(単行本は2019年6月)
リッチな学校の方が人種的な多様性があり、底辺校にはホワイトトラッシュとかチャヴと呼ばれる白人労働者階級が通いレイシズムが酷くて荒れているという中で、あえて後者を選択したけれども、その中でも子どもは悩みながらもわりと軽やかに生き抜き自分の頭で考えて対処して成長していったというお話です。
ニュース等からは見えないイギリス社会の貧困層の生活や意識/差別意識の実情といったストレートに書くと堅い話を、中学生の学校や友人との間のエピソードを通じてイメージしやすい読みやすい形で書いているので、すっと読み通せます。子どもを持つ親にとっては、子どもの友人やその親との付き合い、子どもの惑いつつも成長しいつの間にか大人びた考えを持つに至る様子など共感する点が多いことも、テーマの堅さを意識しないで読みやすい要素となっています。
創設2年目のYahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作(本屋大賞にノンフィクション部門ができたことを、この本で初めて知ったのですが)

ブレイディみかこ 新潮文庫 2021年7月1日発行(単行本は2019年6月)