小説で年収1億も稼ぐような天賦の才能に恵まれない小説家が筆一本で食い続ける(食いつなぐ)ためのサバイバル戦術を語る本。
松岡圭祐の「小説家になって億を稼ごう」(新潮新書 2021年)に対し、素晴らしい指南書ではあるが、それができるのは、例えばイチローや大谷翔平のような天賦の才能に恵まれた者だけだと指摘して、そうでない者のやり方を語るべきだとして書かれた本。
とにかく商業出版でまず1冊出版する(そのための近道は新人賞に応募し少なくとも最終候補に残ること)、1冊でも出版すればそれを名刺代わりに献本を続け売り込むことで各社の編集者に認識される、2冊目・3冊目が出ればそれも献本をし続けることで編集者にそこそこのレベルを書き続けられる筆が速い「便利な」作家と認識されることが基本戦略とされています。編集者が困ったとき(出版予定原稿が落ちた/当てにしていた作家が書けないときなど)に声をかけて来やすい状況を作るということですね。
小説家としてサバイバルするためには書店の平台に置かれ続ける必要があり、平台に置いてくれるのは発売後せいぜい2か月なので、年間4~6冊の割合で新刊を出し続ける必要がある(104~105ページ)…そのためにも1冊発売が決まったらその発売前に続編の執筆を始める必要がある(127~130ページ)とか。それができること自体、才能か運に恵まれているというようにも見えますが。
最近はノベルズの初版が6000部に減り、定価1000円でも手取り54万円、文庫はもっと状況が悪く、初版7000部刷ってくれたら御の字で4000部ということもある、定価が700円としても1冊書いて30万円にも届かないことさえある(22ページ)とか。商売として考えたとき、1冊書いて30万円にもならないというのはかなり悲惨な話。文庫って大量に刷るもので、文庫が出せれば安泰なのかと思っていましたが、そうじゃないんですね。驚きました。
一太郎(ジャストシステム)は、小説執筆に特化し始めた(54~58ページ)って。そうだったのか。裁判文書が縦書き(それもB4袋綴じという世界的には特殊な仕様)だったころに使い始めてワードに乗り換えられないまま使い続けている弁護士業界のロートルはもう一太郎の主要なターゲットじゃないんですね。(-_-;)

吉田親司 エムディエヌコーポレーション 2021年12月1日発行
松岡圭祐の「小説家になって億を稼ごう」(新潮新書 2021年)に対し、素晴らしい指南書ではあるが、それができるのは、例えばイチローや大谷翔平のような天賦の才能に恵まれた者だけだと指摘して、そうでない者のやり方を語るべきだとして書かれた本。
とにかく商業出版でまず1冊出版する(そのための近道は新人賞に応募し少なくとも最終候補に残ること)、1冊でも出版すればそれを名刺代わりに献本を続け売り込むことで各社の編集者に認識される、2冊目・3冊目が出ればそれも献本をし続けることで編集者にそこそこのレベルを書き続けられる筆が速い「便利な」作家と認識されることが基本戦略とされています。編集者が困ったとき(出版予定原稿が落ちた/当てにしていた作家が書けないときなど)に声をかけて来やすい状況を作るということですね。
小説家としてサバイバルするためには書店の平台に置かれ続ける必要があり、平台に置いてくれるのは発売後せいぜい2か月なので、年間4~6冊の割合で新刊を出し続ける必要がある(104~105ページ)…そのためにも1冊発売が決まったらその発売前に続編の執筆を始める必要がある(127~130ページ)とか。それができること自体、才能か運に恵まれているというようにも見えますが。
最近はノベルズの初版が6000部に減り、定価1000円でも手取り54万円、文庫はもっと状況が悪く、初版7000部刷ってくれたら御の字で4000部ということもある、定価が700円としても1冊書いて30万円にも届かないことさえある(22ページ)とか。商売として考えたとき、1冊書いて30万円にもならないというのはかなり悲惨な話。文庫って大量に刷るもので、文庫が出せれば安泰なのかと思っていましたが、そうじゃないんですね。驚きました。
一太郎(ジャストシステム)は、小説執筆に特化し始めた(54~58ページ)って。そうだったのか。裁判文書が縦書き(それもB4袋綴じという世界的には特殊な仕様)だったころに使い始めてワードに乗り換えられないまま使い続けている弁護士業界のロートルはもう一太郎の主要なターゲットじゃないんですね。(-_-;)

吉田親司 エムディエヌコーポレーション 2021年12月1日発行