オレンジの縞の大きな牡猫モンとその周りの人々を描いた小説。
第1部と第2部は中年女性と少年がそれぞれに幼児や小動物にいらだちからの憎悪・殺意を抱き、あれこれ自分に言い訳しながらも猫を執念深く何度も捨てに行ったり幼児への暴行を繰り返し殺害を計画したりするが無抵抗な子猫との接触を持つうちに少し人間らしさを取り戻すというストーリー。
それに対して第3部は、それから年月がたち老猫となったモンが飼い主の老人とつきあいながら老いを深め大往生していく話で、ある種老いと死のあり方を問いかけ模索するというテーマ。
3つの話を通じて登場するモンと第1部・第3部で登場する飼い主の男性は共通するものの、テーマや雰囲気は第1部・第2部と第3部で明らかに断絶していて、月刊誌掲載時はそれでよかったのかも知れませんが、1つの話として読まされるとちょっと違和感がありました。別の話として、私は第3部の方向でそこに向けて前半を作った方がよかったと思いました。第1部・第2部の主人公の幼児や小動物への憎悪ぶりがおぞましくて嫌悪感を持ったためではありますが。

沼田まほかる 双葉社 2007年8月25日発行
第1部と第2部は中年女性と少年がそれぞれに幼児や小動物にいらだちからの憎悪・殺意を抱き、あれこれ自分に言い訳しながらも猫を執念深く何度も捨てに行ったり幼児への暴行を繰り返し殺害を計画したりするが無抵抗な子猫との接触を持つうちに少し人間らしさを取り戻すというストーリー。
それに対して第3部は、それから年月がたち老猫となったモンが飼い主の老人とつきあいながら老いを深め大往生していく話で、ある種老いと死のあり方を問いかけ模索するというテーマ。
3つの話を通じて登場するモンと第1部・第3部で登場する飼い主の男性は共通するものの、テーマや雰囲気は第1部・第2部と第3部で明らかに断絶していて、月刊誌掲載時はそれでよかったのかも知れませんが、1つの話として読まされるとちょっと違和感がありました。別の話として、私は第3部の方向でそこに向けて前半を作った方がよかったと思いました。第1部・第2部の主人公の幼児や小動物への憎悪ぶりがおぞましくて嫌悪感を持ったためではありますが。

沼田まほかる 双葉社 2007年8月25日発行