カダフィ政権下のリビアでの反政府活動家の様子をその息子の立場から描いた小説。
描かれている反政府活動家の家庭は、夫は滅多に家庭に帰らない、帰ってきても子どもとあまりつきあわない、妻は心の病を持ち結婚を後悔し、子どもは父親のことを好きだといいながらも反政府活動家仲間が逮捕されるや親友だったその子を罵り裏切りいじめ、政府の手先に優しくされると父親が持っていた本を渡したり父親の仲間の名前をいったりするという始末。しかも父親が拷問の末仲間のことを白状して傷だらけで戻されると妻は心の病も治って夫と仲良くなる・・・。まるで反政府活動家の家庭がいかに悲惨で反政府活動をあきらめることがいいことだといいたいかのよう。
主人公の少年は親友を裏切った瞬間だけは後悔しますが、その後その少年が幼なじみと結婚すると聞いて自分の方が幸せにできるのになどと思うなど、最後までいやな奴だし。まあ9歳の少年だからしかたないと読むしかないんでしょうけど。
もちろん、カダフィ政権の悪辣ぶりは描かれていて、強権政治が弱い人々をこのように歪めてしまうことを描いているのでしょうけど、なんだかなあ。どうも主人公の少年の行動・考えに違和感ばかりを感じ、爽やかさが感じられない展開も合わせ、読み進むのがおっくうで、読むのにとても時間のかかる本でした。
ストーリーとは関係ないけど、リビアではよその人との間でも親を子どもの名前との関係で呼ぶんですね(スライマンの父はブー・スライマン、母はウンム・スライマン)。ちょっとビックリ。それからリビアでは反政府活動家の尋問や裁判・処刑をテレビで実況中継するんでしょうか。尋問なんかテレビでやったらかなりリスクが大きいと思うんですが・・・
原題:IN THE COUNTRY OF MEN
ヒシャーム・マタール 訳:金原瑞人、野沢佳織
ポプラ社 2007年8月6日発行 (原書は2006年)
2007年英国王立文学協会オンダーチェ賞
描かれている反政府活動家の家庭は、夫は滅多に家庭に帰らない、帰ってきても子どもとあまりつきあわない、妻は心の病を持ち結婚を後悔し、子どもは父親のことを好きだといいながらも反政府活動家仲間が逮捕されるや親友だったその子を罵り裏切りいじめ、政府の手先に優しくされると父親が持っていた本を渡したり父親の仲間の名前をいったりするという始末。しかも父親が拷問の末仲間のことを白状して傷だらけで戻されると妻は心の病も治って夫と仲良くなる・・・。まるで反政府活動家の家庭がいかに悲惨で反政府活動をあきらめることがいいことだといいたいかのよう。
主人公の少年は親友を裏切った瞬間だけは後悔しますが、その後その少年が幼なじみと結婚すると聞いて自分の方が幸せにできるのになどと思うなど、最後までいやな奴だし。まあ9歳の少年だからしかたないと読むしかないんでしょうけど。
もちろん、カダフィ政権の悪辣ぶりは描かれていて、強権政治が弱い人々をこのように歪めてしまうことを描いているのでしょうけど、なんだかなあ。どうも主人公の少年の行動・考えに違和感ばかりを感じ、爽やかさが感じられない展開も合わせ、読み進むのがおっくうで、読むのにとても時間のかかる本でした。
ストーリーとは関係ないけど、リビアではよその人との間でも親を子どもの名前との関係で呼ぶんですね(スライマンの父はブー・スライマン、母はウンム・スライマン)。ちょっとビックリ。それからリビアでは反政府活動家の尋問や裁判・処刑をテレビで実況中継するんでしょうか。尋問なんかテレビでやったらかなりリスクが大きいと思うんですが・・・
原題:IN THE COUNTRY OF MEN
ヒシャーム・マタール 訳:金原瑞人、野沢佳織
ポプラ社 2007年8月6日発行 (原書は2006年)
2007年英国王立文学協会オンダーチェ賞