大学の理事長の息子で女性を監禁した挙げ句に逃走中事故にあい植物状態のストーカーの遺伝子を用いてヒヒと人間のキメラとして生み出された実験動物「ダンサー」がストーカーの記憶と意思/命令を受け継いでその被害者女性を追うというシチュエーションに、それを阻止しようとする研究者、巻き込まれたその父親と被害者とその周辺人物たちを絡めたホラー系アドベンチャー小説。
ひょっとしたら推理小説としても書かれているのかも知れませんが、普通に読めば次が見える展開で意外性はほとんどなし。
遺伝子が記憶を伝えたり、ましてや現在の命令を伝えたり遺伝子提供者と被提供者が一蓮托生だったりする設定はかなり無理があり、作者も科学では説明できない話として紹介するしかないわけですが(245~246頁あたりで説明を試みてはいますが・・・)、そのあたりについての抵抗感がどれくらいかによって評価が異なりそう。
遺伝子研究をめぐる陰謀と「ダンサー」の襲撃と闘う冒険、親子の人間関係あたりでシンプルに読めばエンターテインメントとしてはまあいい線かという気がします。ストーカーの命令に踊らされる「ダンサー」の運命も哀しいところですけど。
細かいところですが、初期に登場するアーミーショップ店主の田代和秀(16頁)と中盤で登場する左官屋田代裕司(184頁)が同姓だけど何の関係もない(親族関係等の説明が最後までない)というのはちょっと。同姓の人物が出てきたら後から絡んでくるのがお約束だと思うんですが。

柴田哲孝 文藝春秋 2007年7月30日発行
ひょっとしたら推理小説としても書かれているのかも知れませんが、普通に読めば次が見える展開で意外性はほとんどなし。
遺伝子が記憶を伝えたり、ましてや現在の命令を伝えたり遺伝子提供者と被提供者が一蓮托生だったりする設定はかなり無理があり、作者も科学では説明できない話として紹介するしかないわけですが(245~246頁あたりで説明を試みてはいますが・・・)、そのあたりについての抵抗感がどれくらいかによって評価が異なりそう。
遺伝子研究をめぐる陰謀と「ダンサー」の襲撃と闘う冒険、親子の人間関係あたりでシンプルに読めばエンターテインメントとしてはまあいい線かという気がします。ストーカーの命令に踊らされる「ダンサー」の運命も哀しいところですけど。
細かいところですが、初期に登場するアーミーショップ店主の田代和秀(16頁)と中盤で登場する左官屋田代裕司(184頁)が同姓だけど何の関係もない(親族関係等の説明が最後までない)というのはちょっと。同姓の人物が出てきたら後から絡んでくるのがお約束だと思うんですが。

柴田哲孝 文藝春秋 2007年7月30日発行