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三河・黒石砦と岩伏砦 名倉地区の城砦ネットワークの二つを訪れる

2020-05-20 | 歴史

黒石砦と岩伏砦は愛知県北設楽郡設楽町西納庫にあります。名倉は納庫、菜倉などの字が宛てられます。
 名倉地区は奥三河の境目に位置し今川、武田、織田、徳川に翻弄され、最終的には作手奥平氏から名倉に入った奥平氏が徳川氏に従ったとされます。
 今回は「信濃をめぐる境目の山城と館 美濃・飛騨・三河・遠江編 」宮坂武男著 を資料として出掛けました。

黒石砦は山下の清水城の詰城とされ、狼煙台としても使われ、砦の東側のトーフ坂と呼ばれる旧道と周辺の監視の役割が有ったといわれます。※参考:清水城はこちら
 トーフ坂の名前が面白いので、その由来を知りたいと思いましたが調べきれませんでした。トーフは今の豆腐のことではないかもしれませんね。

岩伏砦は武田氏の狼煙台という伝承が有り、奥三河の情報を伊那谷方面に伝える役割を担っていた可能性が指摘されています。登山道から山頂まで巨石がゴロゴロしていました。


黒石砦と岩伏砦 名倉地区の城砦ネットワークの北部に有り、信濃方面への連絡機能を担ったとされる
 この地方から伊那谷にかけての武田信玄の人気は高いので、砦と武田氏を関連付ける伝承が生まれた可能性もありそうだと思います。


黒石砦 林道終点から送電鉄塔の保守道を登る。 林道終点手前の道路余白に駐車
 黒石砦へは、トーフ坂を通る旧道(上図Aのルート)から登るのが本来の道と思われますが、地図上に残されていないので、林道終点から中部電力の送電線の鉄塔の保守道を登りました。麓には「お約束の」害獣ゲートが有りましたので、これを開け閉めして進みました。
※帰宅後調べたところ、道Aは古い地図には記載されていました。
 

黒石砦 遺構は明確でなく、簡易な見張所程度の物があったか
 黒石砦はほぼ自然地形に見えましたが、山頂部の平坦部には巨石が目立っていました。


黒石砦 山頂部に鎮座する黒い巨石・・・だから黒石山
 この巨石を見ただけでも、ここまで来た甲斐が有ったと思えるボリューム感と形でした。石の上面は平なので、ここで見張りをすればよく見えただろうなァと思いました。


岩伏砦 津島神社の鳥居をくぐってウォーキング道を登る。神社脇には名倉奥平氏の墓石が祀られる
 岩伏砦は黒石砦の東方約1.6kmの岩伏山山頂にありました。岩伏砦は武田氏の狼煙台だったとする伝承があるそうです。
 黒石山もそうでしたが、岩伏山も登山道や山頂に巨石がゴロゴロで、巨石を楽しむハイキングコースと言ってもいいほどでした。


岩伏砦 登山道は途中茶臼山高原道路を横切って進む。 岩伏山登山道の道標あり
 茶臼山高原道路は以前は有料道路でしたが、今は無料化された観光道路です。岩伏砦を目指す場合には付近に適当な駐車場所がないので津島神社の社前駐車場から歩きます。ここへ来るまでに「お約束の」害獣ゲートが一つありました。
 登山道は、ハイキング目的で整備され、途中には随所に道標や見どころ表示板が立てられていました。


岩伏砦 山頂部の砦遺構は人手が加わった部分がほとんどなさそう
 途中の巨石群を楽しみながら、汗をふきふき登ってきましたが山頂の砦跡は人手が加わった様子が殆どありませんでした。岩山に築かれた狼煙台の機能に特化した砦なので、往時の姿もこれに近かったのかもしれないと思いながら見学しました。


岩伏砦 はなたれ岩 命名の由来は不明だが大きさには圧倒される
 巨石堪能ハイキングではないのですが、行きも帰りも多数の巨石を見ることが出来ました。ここまでデカいと何やら神秘的な力を感じます。

名倉地区の城砦ネットワークの黒石砦と岩伏砦の二つを見学しましたが、どちらもいわゆる城郭遺構らしい地形はなさそうでしたが、ネットワークの中でその目的とする役割を果たすには、これで十分だったのかもしれないと思いました。




 




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