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三河・白山砦 別所街道を扼する地点に築かれた別所城の支城か?

2020-10-24 | 歴史

白山砦は愛知県北設楽郡東栄町本郷にあります。
 白山砦の北800mにある別所城の支城として、南方の監視と守りのために築かれたと考えられています。
本城の別所城が長篠合戦の時に廃城となったとされますので白山砦も同じ時に廃城になったと思われます。
 砦が所在する弘法山は、今は信仰の地で弘法巡りの参道があり、山頂には白山大権現と夕立様が祀られていました。現地の表示板によると白山大権現は「はくさん」ですが、資料(2)によると砦は「しらやま」砦と読むそうで、夕立様は「ようだつ」様と読み、三百年前に落雷の被害を防ぐために祀られたとありました。
 ※今回の資料は(1)「愛知県中世城館跡調査報告3」 と (2)「史跡散策 愛知の城」です。


白山砦 旧地図で別所街道と砦の位置を確認
 白山砦は、東三河から與良木峠を越えて本郷に入り、さらに北進し、新野峠を越えて伊那谷へ向かう主要な街道だった別所街道を監視し、南方からの侵入に備える位置に在りました。往時は歩く道ですから峠越えもほぼ直線コースだったようですが、車の道になって蛇行しながら峠を越えたのがわかりますね。さらに現在の道は新本郷トンネルで峠を貫通する道になっていました。


白山砦 細尾根の北端部に位置し、別所街道と本郷の町を見下ろすことができる
 砦の東下は本郷の町で、往時もこの地域の中心地だったと思われます。主郭Ⅰは最高所にあり、現在は展望台が設置されています。細尾根①の南側には尾根を断ち切るように堀切状の地形③がありますが、資料(1)では「峠の切り通しか」となっていました。細尾根①の左右の地形は自然地形に見えましたが、Ⅰ郭の面積が狭いので、ここも砦の一部として使われたのではないかと思いました。なお、現在は駒久保トンネルで尾根を貫通した道が出来、本郷の町は迂回しています。


白山砦 岩盤を開削した堀切② 信仰の道にもなっている
 資料(2)によると、砦の所在する尾根は全体が岩山で、概略図の堀切②は岩盤を開削して掘り切られていました。堀切は信仰の道としても使われているようで、白山大権現と行者様の道標がありました。


白山砦 Ⅰ郭には展望台が設置されている Ⅰ郭の面積は20m×10m程度で狭い
 Ⅰ郭は尾根先端部の最高所に設けられていますが、そこに立つ展望台からの眺めは抜群でした。東栄町は花まつりを中心に、観光に力を入れているいますので、展望台もその一環でしょうね。


白山砦 Ⅰ郭からは800m先の別所城もバッチリ!
 砦からは足下の別所街道、本郷の町などが見えますが、大千瀬川の対岸にある本城の別所城もハッキリ確認することが出来ました。


白山砦 Ⅰ郭の白山大権現と行者様 どちらも砦の稼働期以降に祀られたか
 現在は砦の所在する弘法山には白山大権現と行者様が祀られ弘法巡りもあり展望台も出来て、信仰と観光の山となっていました。


白山砦 Ⅰ郭周辺の法面は自然地形ながら急峻
 現在は展望台の建つⅠ郭ですが、周辺の法面は急峻で「崖」と言ってもいいくらいで、這って登らなくてはならない急角度でした。


白山砦 細尾根南の堀切状地形③は、堀切or切通?
 細尾根の南側には写真のような地形③がありました。資料(1)では切通の可能性が示されていますが、通行量が多くないと思われる場所で、これほど大規模に岩盤を開削する工事を行ったのは、砦の関連ではないでしょうか。別紙街道を抑えるためにも切通道はない方が良いように思いますので、後に切通道として利用したかもしれませんが往時は堀切だったのではないかと想像しましたが、どうでしょう。

白山砦の付近には別所城と設楽城があり、大千瀬川には雄大な滝もあり、併せて訪れましたので大いに楽しむことが出来ました。     ※設楽城、別所城は別途記事にしたいと思います。