眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

噴水

2006-04-08 | 
広い公園の中心に
 水の無い噴水がたたずんでいる
   広場の鳩が一斉に舞った
    僕は孤独を愛している振りをしている

  噴水の片隅に座り
   バスの発車時刻まで
    黙って灰色の空を眺めた

   本当はバスの時刻なんていらなかったんだ

    僕はそこに在る限りいるべきではなかったのだろうか?

     正面には大きな美術館がそびえたつ
      欠けらも興味がなかった
       ひんやりとした空気
        コートのポケットに手を突っ込んでいる

    まだ10代だった頃の記憶
   在るべき筈のものが無いという空虚感は
  思春期の青さを痛く刺激する


  類義語は

 「動物のいない動物園」

   僕は感傷のカケラをポケットに
    手当たりしだいに突っ込む
     どうして噴水に水が無いのか考えもせずに

    噴水の底はひび割れた大理石
   
     老夫婦がベンチに腰掛けている
      女性がひとり本を読みふける
       僕の視線にきずいて
        彼女は微笑みながら会釈した

     閑散とした土地
    僕は道どころか
   言葉さえも上手く話せない

  

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