眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

もしも

2009-03-02 | 
歌っている最中
 もっぱら別の事を考えていた
  疑心暗鬼の猜疑心の暗闇で
   会いたい
  と願う君に
 トイレで吐きながら
 メロディーを口ずさむ深夜は
誰かの幸せで僕のほんのりとした夢の末路

 揺れ動く夜景が余りに安っぽく
これから飲みに行くという人物のタクシーを
送り届けたのが午前二時の脈絡の無さ
 おどけて見せるのも
あと五分が限界だ
  僕は下らない瑣末な雑事に四苦八苦して
   坂道を転げ落ちた
    まるで昔の様に

   君は旅に出る
   君は精一杯生きた
   君は僕に柔らかな記憶を残す

   それが余りにも美しくて
   トイレの四角い窓から
   三日月に祈った

   どうか心配のありませんように

   僕の日常は奇妙な陳腐さに埋没す
    君の世界を忘れそうになる
     下らない酒がようやく回り始めた頃合
      僕は君の記憶を
       必死になって繋ぎ止める

     忘れそうだ
    忘れないことを
   静けさの中でしか感触のない
  そんな感情も存在するから
 僕は部屋に戻り
意識を混濁させつつ
繋ぎ止めようと努力した

  公園の静謐なざわめき
   建物の裏側で
     隠れて煙草を吸った遠い記憶
      残像が処理される
       お願いだ

     冷たい筈の風の柔らかさが
      秋の気配を予感させて数世紀
       いや
        太古の生き物が草を食む
         ジュラ紀の頃の良かれと思う
          弱肉強食

      生き延びた我々のなんと下卑たこと
     シーラカンスの様に
    静かに深海に身を潜めれば良いものを
   肥大した前頭葉が自我を拡散させ
  まるで目立ちたがり屋の
 調教された猿の立ち回りの如く
僕の人生は

 あの時
  僕は君と旅立つ運命ではなかったのか?
   どうして
    僕はここにいる
     レンズが僕を容赦なく見つけ出す

      もしも



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