ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

5 特急列車の売り子 115ページ目 

2012-11-06 21:38:09 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【115ページ】


「和さんは、テイスティングコメントの中にヴィンテージを表す言葉を入れて

いるとうわさされているのだよ。」


佐山社長が説明した。


「あっ、おいしいワインの01ですか?」


佐山社長がうなづいた。


「ポートワインと相性ぴったりのコーヒーを飲みながら彼女との馴れ初めの話を

させて頂きます。

桃子さん、ハイランズ・コーヒーを入れてください!

私は、20年熟成のポートワインをグラスに注ぎます。」


「ハイランズ・コーヒーとはベトナムのプレミアムコーヒーのことですか?」

「ええ、そうです。」


桃子は、ハイランズ・コーヒーを入れる準備をしながら答えた。


「ベトナムは、一般の人にはコーヒーのイメージがないのですが、

実は世界第二の生産量を誇っているのです。

そのコーヒーの中で、五ツ星レストランでも採用されているのが

ハイランズ・コーヒーなのです。」


佐山社長は、20年熟成のポートワインをグラスに注ぎ、和音の前に置いた。


「さあ、どうぞ。

彼女と初めて出会ったのは、那智の滝のある勝浦からの帰りの特急電車の中でした。

勝浦には、週末にマグロを食べによく行っていたのです。」