@「加齢で得るもの、失うもの」、加齢で得るものがあるのだろうか。一見加齢は体の弱体化で記憶も含め失うものが多いと感じたが、そうでもない。と言うより高齢者としての自覚を持って社会に打ち解ける事で得るものがある、と言う。自分の過去・現在、そして未来の存在を生かし、生き抜く事であると感じた。それには身近にある「記憶」を如何に土留めておくか、下記にあるSCOによる方法から、記憶の方法を自分に身近な興味のある物に繋げて記憶する事だと。記憶する事を選別し、PC等に保管、たまに呼び起こし読み返す事だ。もう一つ大切なことは、高齢者に取っては健康は第一だがその為にも「社会とのつながりを保つ」(外出・会話・好奇心)ことで健康にもつながると言う事だ。 一方、高齢者になると後悔することの多くが「あの時こうすればよかった」と言う「やった事」ではなく「やれなかった事」に後悔することだ。「やり残し」は人生に残さないことかもしれない。
『老いと記憶・加齢で得るもの、失うもの』増本泰平
- 屈指の高齢社会である日本では、老化への関心も高い。加齢に伴って人間の記憶や認知はどう変わるのか、それらを司る脳にどのような変化が生まれているのか、そして、変化する記憶機能といかに向き合うべきか。加齢をネガティブにばかり捉えず、正しい知識で向き合うための一冊。加齢によって、記憶は衰える―。それが一般的なイメージだろう。だが、人間のメカニズムはもっと複雑だ。高齢者心理学の立場から、若年者と高齢者の記憶の違いや、認知機能の変化など、老化の実態を解説。気分や運動、コミュニケーションなどが記憶に与える影響にも触れ、人間の生涯で記憶の持つ意味をも問う。加齢をネガティブに捉えず、老いを前向きに受け入れるヒントも見えてくる。
- 「加齢による変化と記憶とは」
- 「変えることの出来る勇気、受け入れる冷静さ、出来るものとできないものを識別する知恵」
- 「老いに向き合う必要が出てくる、健康でなくなった時に、どう生きるかを考えることも重要」
- 「認知症などで自分の記憶から過去の大切なことが失われても、その人が成し遂げた事実は大切な誰かが代わりに記憶し、文章として残しておくことが必要」
- 「衰える記憶と衰えない記憶」
- 後頭部:形や色、動き、人の顔の認識といった視覚情報の処理
- 側頭葉:音の認識や言語の理解
- 頭頂葉:触覚や複数うの感覚情報の統合、視空間処理
- 前頭葉:運動制御、感情のコントロール、判断の役割
- 脳の重さは生まれた時は400gで成人では1400g位となる
- 大脳皮質の神経細胞は20歳から90歳にかけて平均9.5%減少する
- 老化の変化はやる気のなさや努力不足という要因が、行動の緩慢さや、判断、思考の鈍化の原因を引き起こす
- マルチタクスの限界(白黒の絵を見て両方を一度に認識できない)。<ツボと人の顔絵>
- 思い出に残る多くの記憶は10代から20代前半に集中し、その後年齢と共に下降する
- 知恵(教育によって得た学問、経験・経験値・判断力・問題解決能力・対人スキル)は加齢での影響が見られず、あってもほとんど低下しない
- プライミング(脳内ネットワークで様々な単語等を繋げる記憶)「シカ」を10回言った後に「サンタの乗っているものは何?」と聞くと「シカ」と言う。が実際は「ソリ」(1を聞いて10を知る)人の記憶は様々なものを繋げ記憶する
- 「何かを始めるのに遅すぎると言うことはない」熟練者になるには通常一万時間(1日3時間とすると10年)で可能となる・習慣となると記憶になる
- 「記憶と物忘れ」
- 記憶のテスト「ギシフ・ノクオキ」を如何に覚えるか。これは反対にすると「記憶の不思議」となる・いわゆる記憶の方法を興味関心があるように変える事で記憶を増やす
- 気分が記憶に影響する、老齢とは「頑固」「惨め」「先がない」などネガティブは記憶にもマイナスとなる。うつによる記憶は低下するが55歳以上の男性より女性に多くなる
- 記憶の衰えをマネージメントする方法SOC(selection/optimization/compensation)
- 覚えておく必要のある重要なことは記憶するのではなく「選択」しておく
- メモや手帳などの記憶補助ツールによって正確に記録する「適正化」
- 記憶力の低下を補い、物忘れに対処する「補償」
- パソコン・携帯(リマインドアプリ利用)などで「習うより慣れろ」
- 「訓練によって記憶の衰えは防げるか」
- 訓練の効果は限定的「脳トレ」などのアプリで活性化、同じ課題を行い続けると脳の活動の仕方が変わる「認知症を遅らせる効果=読書、趣味、外出人との会話」
- 人間の最長寿命はフランス人の122歳、医療技術的には125歳まで可能
- 高齢者世帯は5036万世帯の内1371万世帯(4分の1)となっている日本社会、47.1%が65歳以上の世帯
- 健康的な生活習慣が予防につながる(運動を含む人とのつながりを保つ)、社会的なつながりは一番多いのは「友人に誘われる」でつながる
- 「認知予防」
- 難聴・高血圧・肥満から喫煙・うつ・運動不足・社会的つながり不足・糖尿病へと繋がっていく、よって健康に気をつけることが予防につながる
- 認知症の85%のリスクはコントロールできない、自然の高齢者の病気、よって認知症になってもクオリティーライフをどうすれば維持できるか介護問題を含めて考える必要がある
- 「高齢期の記憶の役割」
- 記憶は記録ではない(虚偽記憶とは後からついてくる思わせ記憶)
- 高齢期に誰もが後悔することは「あの時こうしておけばよかった」と言う「やり残し後悔」(行わなかった事)であり、「行ったこと」への後悔は少ない
- 幸福感を得るための脳機能は衰えにくい(ポジティブに考え、楽しく、いつも笑いを作ること)