続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

立ち話。

2013-12-05 06:45:28 | 日常
『歩こう会』の帰り、北久里浜駅のバス停で近所のAさんを見かけた。Aさんはわたしのすぐ後ろにいたにもかかわらず、目を伏せ、バスの中でもうつむき加減でメールをを打っているのか眺めているので、(きっと、わたしに気づかないか、顔を合わせたくないんだな)と思い、バスを降りても彼女とは距離を置き(変える方向が同じなのでやむなく)後ろからついて行った。

 ところが、もうすぐ彼女の家の前というころになって、なぜか立ち止まり足踏みを始めた。黙って通り過ぎるのも失礼だと思い、軽く挨拶の声を掛けたら、「ああ・・」と、いかにも懐かしそうな親しげな表情を見せてくれたので、
「寒くなりましたね」と言いながら通り過ぎようとして、ふと彼女が向きを変え何か言いたそうにしているのに気づいた。
「・・・」何言うともなしにお辞儀を重ねても、まだこちらを見ているので「ご主人が亡くなられて淋しくなりましたね」と言うと、
「主人が亡くなって二年になりますけど、まだ居るような気がいたしますの」と小さく静かな声で言った。
「本当にいいご主人でしたものね」(よく知らないけど・・)
「その日は、ただの検診で病院に行ったんですよ。それなのに夜になって電話で『急に入院することになったから』って言うでしょ。びっくりしたわ・・・それから、手術もし、成功しましたってことだったのに、三週間、たったの三週間のうちに死んでしまったんです。ゴルフの予約も入れておいたくらい元気にしていたんですよ、それなのに・・・」

「いろいろ不便ですよね、男手がないと」というと、
「そうなんです。主人は何でも先に先にやってくれる人でしたから、今は大変困っています。雨戸を閉めようとすると『じゃ俺は二階を閉めてくるから』って感じでした。趣味はゴルフと釣りで、庭の手入れも・・・」

 延々と続く思い出話・・・辺りはすでに闇。

 どのくらい時が経ったのか、歩こう会で疲れた足がしびれかけた頃やっと「では」と。
「ありがとうございました。最近は、ごみを出しに行って人に挨拶を交わすくらいで、あとは独りっきりですから・・・久しぶりにおしゃべりして胸のつかえがとれました」


 敬遠されているのかと思った人との意外なおしゃべり、ご主人の洗車している姿も犬との散歩姿も見かけることがなくなった淋しい風景・・・胸を衝かれる思いが過ぎる立ち話でした。

『ポラーノの広場』170。

2013-12-05 06:36:02 | 宮沢賢治
「おいミーロ、お前もせっかく来たんだから一つうたって聞かして呉んな。」
「みんなさっきからうたったり踊ったりしてつかれてゐるんだから。」

 お前はゼンと読んで、全。
 来たはライと読んで、雷。
 聞かしてはブンと読んで、文。
 呉んなはゴと読んで、語。
 踊ったりはヨウと読んで、要。

☆全て雷(神なり)は逸(かくれている)が、文(文章)の語(言葉)の要である。

『城』1465。

2013-12-05 06:21:08 | カフカ覚書
「もしかしたら、わたしがたまたま鍵穴のそばにいなかったときのことかもしれませんわ」
 お内儀は、そう口を挟んで、最初は紳士をかばおうとしたが、つぎにクラムの肩をもってやらなくてはとおもい、こうつけ足した。

 鍵穴/Schlusslloch・・・終わり、牢獄。

☆もしかしたら、わたしが終の牢獄の中にいなかったときのことかもしれません。お内儀(言葉)はそう言い、最初は大群(大勢の死んだ人たち)を保護しようとしたが、何となれば、クラム(氏族)もまた正しく帰してあげるつもりでそう計ったのです。