続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)老人に。

2021-03-31 07:06:53 | 飯島晴子

   老人に子を遣りにくる氷沼

 老人はロウ・ニンと読んで、浪、人。
 子を遣りにくる(子遣来)はシ・ケン・ライと読んで、試、験、礼。
 氷沼はヒョウ・ショウと読んで、表、姿容。
☆浪人の試験、礼(敬意を払い)表れる姿容(すがた)がある。

 老人はロウ・ジンと読んで、浪、尽。
 子を遣りにくる(子遣来)は、嗣、権、頼。
 氷沼はヒョウ・ショウと読んで、剽、唱。
☆浪(無駄)で尽(すべて無くなり)、嗣(受け継ぐ)、権(自己を主張する資格)に頼り、剽(脅し取ること)を唱(言い始める)。

 老人はロウ・ニンと読んで、癆、忍。
 子を遣りにくる(子遣来)はシ・ケン・ライと読んで、姿、顕、来。
 氷沼はヒョウ・ショウと読んで、費用、傷。
☆癆(肺結核、身体が衰弱してやせ細る病)に忍(耐える)姿が顕(明らかになった)来た。
 費用(必要なお金)に傷(心を痛め悲しんでいる)。


R.M『傑作あるいは地平線の神秘』②

2021-03-31 06:27:23 | 美術ノート

 三人の男は一人の男である。一人の男は三人に分解されている。
 三人の男の上に月がある。 一人の男の上にある月は分解された三人の男の上にも当然、月はあるべきである。

 なぜなら、男は西、東、南をそれぞれ向いており、太陽を基点とした空間を示唆しているからで、決して動かないと見える地平線に属している、つまり同義ゆえである。
 男も地平線も静謐に佇んでいるように見える。男が地平線に等しく回転、動いているという事実(真実)は決して見えない。誰の目にも見えず、目撃することは地上にいる限り不可能である。

 男も地平線も回転しないということは誰の目にも明らかである。
 男も地平線も回転しているという事実は周知の事実である。

 この関係性は神秘そのものである。この感覚の落差は驚異であり、脅威である。
 わたしたちは東西南北を意識するが、東に回転している地球というものを感知できない。このからくり!これは傑作である。そして地平線の神秘であることを認めざるをえない。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3623。

2021-03-31 06:13:40 | カフカ覚書

もちろん、わたしは、ふたりのことを忘れはしませんでした。どうしたらふたりのためにはからってあげることができるかしらということを、いつも第一に気にかけていました。わたしの地位がまだ不安定なのに(どんなに不安定であるかは、全然知りませんでしたが)、もうヘンリエッテとエミーリエのことでご亭主にかけあったものでした。


☆もちろん、わたしは彼女たちのことを忘れませんでした。どうしたら彼女たちのためにできるかを一番に心配していました。わたしの形勢はやはり安全ではありませんでした。安全でないということをはっきりとは知りませんでした。すでにヘンリエッテとエミーリエのことを宿の主人に話していました。


『飯島晴子』(私的解釈)山影の。

2021-03-30 15:03:08 | 飯島晴子

   山影のなかの童子は蒼氷

 山影はセン・エイと読んで、先、鋭。
 なかの童子(中童子)チュウ・ドウ・シと読んで、知友、同、志。
 蒼氷はソウ・ヒョウと読んで、総、評。
☆先鋭(思想、行動などが急進的であること)の知友の同志は総評(日本労働組合総評議会の略称、のちに連合)にいる。

 山影はセン・エイと読んで、千、詠。
 なかの童子(中童子)はチュウ・ドウ・シと読んで、知友、如何、詞。
 蒼氷はソウ・ヒョウと読んで、想、表。
☆千(たくさん)詠む知友、如何(いかに)詞(言葉)に想(思いを巡らせているのか)評(品定めする)。

 山影はサン・エイと読んで、三、営。
 なかの童子(中童子)はチュウ・ドウ・シと読んで、注、道、詞。
 蒼氷はソウ・ヒョウと読んで、層、表。
☆三つを営(こしらえ)注(書き記す)道(方法)は、詞(ことば)を層(幾重にも重ね)表している。

 山影はセン・エイと読んで、閃、鋭。
 なかの童子(中童子)はチュウ・ドウ・シと読んで、虫、動、視。
 蒼氷はソウ・ヒョウと読んで、走、飛揚。
☆閃(きらりと光る)鋭い虫が動いた。
 視(気を付けてみると)走って飛揚(飛んで高く上がった)。

 


『飯島晴子』(私的解釈)凍る湖。

2021-03-30 07:02:52 | 飯島晴子

   凍る湖鈴の内部に姉妹で棲み

 凍る湖はトウ・コと読んで、等、故。
 鈴の内部はレイ・ナイ・ブと読んで、霊、内部。
 姉妹で棲みはシマイ・セイと読んで、終、聖。
☆等(平等な)故(死)の霊(死者の魂)の内部(中)。
 終(死)には、聖(けがれのない厳か)がある。

 凍る湖はトウ・コと読んで、塔、顧。
 鈴の内部はリン、ダイ・ブと読んで、輪、台、部。
 姉妹で棲みはシ・マイ・セイと読んで、使、舞、成。
☆塔を顧(気にかけてみると)、輪(回り)の台を使って舞(踊り)を成している。

 凍る湖はトウ・コと読んで、道、個。
 鈴の内部はリン・ナイ・ブと読んで、林、内、蕪。
 姉妹で棲みがシ・マイ・セイと読んで、視、昧、凄。
☆道は個(ひとつ)である。
 林の内(中)は蕪(雑草が生い茂っている)。
 視(気を付けてみると)昧(暗くてはっきりせず)凄(物寂しい)。

 凍る湖はトウ・コと読んで、読、顧。
 鈴の内部はリン・ダイ・ブと読んで、臨、代、部。
 姉妹で棲みはシ・マイ・セイと読んで、詞、毎、整。
☆読んで顧(省みて)臨(のぞむ)。
 代(他のものに入れ替え)部(区分けし)詞(言葉)を毎(そのたびに)整える。


R.M『傑作あるいは地平線の神秘』

2021-03-30 06:07:15 | 美術ノート

   『傑作あるいは地平線の神秘』

 任意の男の三態、三日月を基点に考えると、時刻は夕方である。日が沈んだばかり、地上の男はそれぞれ西、東、南を向き。東から西へ太陽が沈んでいくように回転している。西と東を向く男は背中合わせに、南を向く男はまさしく背を向けている。とすればこちら(画面の手前/鑑賞者)は北であり、東西南北の時空が見えてくる。

 地上に立つ男は沈んで姿の見えなくなった太陽を実感し、自身の存在を凝視している。地平線そのものは建物に覆われて見えないが、その後方にあることは確かである。夜が来れば地平線は見えなくなるかもしれない。しかし厳然としてそこに在る。地球の自転は東向きであり、太陽は西向きに見える。

 人が存在するのはその接線である地表面である。太陽がわたし(自身/地球)を回っているのであって、わたし(地平線)は、あたかも水平を保ったままであるかのようである。わたし(地平線)が回転しているなどとは決して感じられるはずがない。東西南北を自覚しうる人の眼差しも又、地平線と一緒に開店しているからである。

 見ることの真実と物理的な絶対の律の落差を、地平線は称賛されるべき冷静さで魔法の杖を振る。地平線は存在の秘密を内包している、すなわち、神秘がそこに在る。

 現在では宇宙から地球を回る球体として見ているかもしれないが、論破し得る不思議さを失わない地平線は、やはり傑作と言わなければならない。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3622。

2021-03-30 05:56:41 | カフカ覚書

わたしだけがどうして出世しなくてはならないのでしょうか。だって、三人がいっしょに仲よくしていたのは、三人ともおなじように先の見込みがなかったからなんですもの。だのに、わたしだけが抜けだして、ふたりから離れてしまったのです。


☆どういうわけでわたしだけが先に進まなくてはならないのでしょうか。わたしたち三人の未来が同じように塞がれていたからです。それにもかかわらず、突き破るようにして自分だけが切り離され現れたのです。


『飯島晴子』(私的解釈)湖凍り。

2021-03-29 07:02:43 | 飯島晴子

   湖凍り声のいやしく使はるゝ

 湖はコと読んで、己。
 凍り声のはトウ・ショウと読んで、套、章。
 いやしく使はるゝ(卑使)はヒ・シと読んで、秘、史。
☆己(わたくし)の套(覆った)章は、秘史(裏面の史実)である。

 湖凍りはコ・トウと読んで、古、塔。
 声のいやしく使はるゝ(声卑使)はショウ・ヒ・シと読んで、昇、否、死。
☆古い塔に昇ることは、否(同意しない)、死(命がけ)である。

 湖凍りはコ・トウと読んで、顧、読。
 声のいやしく使はるゝ(声卑使)はショウ・ヒ・シと読んで、衝、秘、旨。
☆顧(省みて)読む。
 衝(大切なところ)は秘(人に見せないように隠す)旨(考え)である。


R.M『王様の美術館』

2021-03-29 06:33:28 | 美術ノート

   『王様の美術館』

 王様、選ばれた者、支配者が所有する美術館である。薄雲がなびく青い空、山々はごく穏やかな稜線を描いている。その山間に立つ建物が美術館らしい、シンプルで巨きな建物は人のシルエットの真ん中(心の中)に存在している。手前に在るが、暗い森の上という感じであり、背後の山々のほうが次第に明るくなっている。
 秘蔵の手前は暗く閉ざしているが、後方は次第に明るく開放的である。美術館の背後は進むにしたがって明るく開放的であり空に溶け合うような印象がある。

 人型のシルエットには、目・鼻・口の器官が描かれている。視覚、嗅覚、味覚・・・感覚器官の現出。
 誰もが所有する感覚器官には誰もが感じる《美への眺望》が内包されている。
 彼の後ろには馬の鈴(語り、口伝、主張、歴史etc)が存在している。
 背景は漆黒、時代を問わない永遠の時空である。

 任意の男のシルエットは、一人の男であり、男女をも問わない、皆の中の一人である。それぞれが王様なのだと言っている。それぞれにその人特有の美術館があるはずだと言っている。その胸を開けば必ず美術館が解放されているのだと教えている。
 美術館は占有するものではなく、全ての人に開放されていると、その目でその口で教示している(解ってほしい)と。マグリットの熱い気持ちである。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3621。

2021-03-29 06:17:47 | カフカ覚書

あそこでは、こんな話をしても、信じてくれないのです。まるであの部屋の外ではなにも起こりっこないと言わんばかりにね。あそこは、あたたかで狭い部屋ですが、わたしたちは、さらにぴったり身を寄せあっていますの。わたしたちは、おたがいだけが頼りだったのですが、飽きがくるようなことはありませんでした。反対に、あのふたりの仲間のことを考えますと、またあそこへ帰っていくのがほとんど正しいことだという気がしますわ。


☆例瀬ではこの信仰のなさが本来のテーマの外で生じるのです。あそこは狭義の来世ですが互いに相手を苦しめ、拒否するのです。それにもかかわらず、お互いだけが頼りなのです。でも、飽きるようなことはありませんでした。逆に友達のことを考えるとまた戻ってくることこそが正しいと思います。