血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ヒルノダムール(天皇賞・春)

2011-05-10 17:05:45 | 2011年GⅠ勝ち馬
ヒルノダムール(マンハッタンカフェ×シェアエレガンス-ラムタラ)牡・07生

主:7 結:5 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:34+1点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、未だに珍しいCosmah4×6の系列クロス。その母Almahmoudを血統の3ブロックではあるものの散在させ、血統を非常に強力にリードしている。また、前面に余計なクロスを作成しなかったのも幸いし、非常に良好だと考えられる。惜しむらくは、父母サトルチェンジ内において、この系列は8代目においてMahmoudがはじめて現れるために、この部分の連動が弱い点である。

○ 結合   (5)

 主導たるCosmahと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Pharamond・Banish Fearは自身に含まられる血統で確実に結合している。また、Nasrullah~Nearcoは、Blenheim内Nasrullahを通じて、Bull LeaはSpearmintで結合している。しかしながら、Prince Chevalierは10代目Bayardoを通じて(つまり実質的に未結合状態)、結合をかろうじて完了している。この部分は確かに気になるが、7代目以降に存在するクロスを、9代目まで遡る必要があるもののCosmahとひとまず結合しているのは中々に良好で、全体的に見ると良好だと言えるか。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Blandfordが11ヶで形成。単一の土台構造としては非常に貧弱だが、Cosmahを主導としたために、Phalaris・Gainsboroughがサポート。かろうじて、と言えるレベルにはあるか。

○ 弱点   (4)

 父方Ticino内に、弱点を派生。この部分の連動性は血統全体で弱い部分の為、さほどのマイナスではないかもしれないが、近交馬であるのも踏まえるとやはり良好だとは言えない。

○ 影響   (2)

 (8-0-4-3)と父サンデーサイレンスを強調。父母間のバランス自体は、天秤方で悪くはないが(8-7)、父母サトルチェンジの影響が弱いのが残念。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はかなり良好だと言える。自身の3代目までに、サンデーサイレンス・Nijinsky・Brigadier Gerardと並び、底力勝負可能。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるCosmahは、決して良好な配合だとは言い難いうえに、さほど優秀なクロスも作成できていない。近い世代の質は良好だと言えるが、全体的には平均的だと言えるか。

○ スピード (4)

 主導たるCosmahの軽いスピードを中核に、Nasrullah・Pharamondが強くアシストした配合。また、7代目においても、Tudor Minstrel・Khaledが豊かなスピードをアシストしている。決して器用なタイプだとは言えないが、スピードに良さがある配合だと考えられるだろう。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴う、Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)・Prince Chevalierを中核にした配合。後者の結合は決して良好だと言えないが、豊かなスタミナをさいげんしている。また、母系クロスではあるが、Northern Dancer・Flaming Pageがそのスタミナを再現した場合、芝12Fの克服は可能だと考えられる(この評価はNorthern Dancer・Flaming Pageを効果ありと判定している)。

○ 特別配点 (1)

 主導牝馬クロス:Cosmah


 総合的に見ると、主導勢力の明確さや、近い世代の血の質の良好さはかなりのレベルで、前面はスピード型のクロスが多いものの、7代目以降に存在するスタミナの確保に成功した点も踏まえると、芝12Fはひとまず克服可能だと判断した。ただし、そのスタミナの一部を母系クロスに頼ったのも確かで、決して厳しい流れの長距離戦に対応できるレベルでもなく、本質的には芝10F前後がベストディスタンスだと言えるだろうか。
 また、成長力も秘めた配合で、開花自体は早いタイプであると考えられるが、古馬になってから本当の良さがでる血統構成である。今後の活躍も期待したい。


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