散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

夢遊 II

2005-09-24 14:00:00 | 夢遊
夢遊 I  に引き続きまた夢の記録である。これらの夢はしばらく前に見たものだ。
最近は夢採り網が破けたのか夢を捕まえる事が出来ない。網を繕い方を忘れてしまったので思い出さねばいけない。

                ☆ ☆ ☆
ふと 気が付くと、一本道を歩いていた。
その道の先には濃い緑の生い茂る森が黒々と待っていてどういうわけだか私の歩く後ろで道は消えてしまう様だった。

道は細かい砂利がまかれているのだろうか、ギリッ、ジャリッと私の足音だけが規則正しい感じに耳に届く。

しばらく歩くとつま先から数メートル先方に梅の実ほどの石が落ちているのに気が付き傍によってそれを蹴った。
蹴る時にどういうものだか私の口は「蒼いマグノリア!」と言う言葉をポロリとはきだした。

石はきれいな放物線を宙に描き周りの時空を無視するようにゆっくりと飛んでゆく。ゆっくりゆっくりと飛んで石は地表に届く寸前にパッと蒼いマグノリアの花と咲き、地面に着地すれば又元の石に戻っているのだった。

石を追いながら、蹴りながら、「蒼いマグノリア」の呪文を

唱て青い花を咲かせるのに夢中になりながら少しも近づく

事の出来ない鬱蒼と茂る森に向う一本道を私は歩き続けて
いた。


            ☆ ☆ ☆
 5,6階建てコンクリートの建物の中に立っていた。それは塔の様で壁には大きな穴が穿たれており、外を眺めるともう夜だった。見上げれば星が降るように瞬いていて、気が付くとクリスマスの電飾のように赤や緑、青や黄色の星が瞬き始めそれらは急にツーツーと動き始めたのだ。光が動き始めると同時に不安が芽生え恐怖感に背中を押されて、その場を離れるべく階段を文字通り飛びながら下りようとすると、すぐ頭の後ろから「見ましたね」と低い抑揚の無い声がついてくる。ますます怖くて振り返ることなどできずに階段を走り飛び降りるが、下りている筈なのに、気が付くと昇っているのだ。何度繰り返しても同じ事で、どうしても降りる事が出来ず最上階に駆け出るとそこは地面だった。
いきなりパースペクティヴの移動、恐怖感もろうそくの火を吹き消したかのように消えてあたりを見回すと前方にバベルの塔が見える。それはブリューゲルのバベルの塔で回りに街並みが見えるようだがそれらはシルエットでしかない。塔は半面を月に照らされていて、照らされた部分はコケが一面に生えているかのようで鮮やかな緑色にしっとり光っており、触ればやわらかそうにさえ見える。影側はパステルで塗りつぶしたかのような質感のスミレの花色の紫だった。
あまりに美しいので私はただ息を呑んだまま立ち竦んでいた。
                 ☆ ☆ ☆
 視界は一面に水色の水、波がうねっている。その水色の大波の中を電話ボックスに乗ってサーフィンをするように乗り越えてゆくと、いきなり植木屋があった。
ああ、バラの苗を買わねばいけないのだった。と思いついて苗木が袋に入って沢山ぶる下がっている売り場を見つけて捜していると、ある苗が目に付いた。
その袋には“桃あんこ”という名前が記されている。へ!桃あんこ?と思ってようく見ると絵が描いてあって、何でも桃の種部分に小豆あんこが入っている実が実るのだとある。珍しいものが好きな私はもちろん買うことにした。

残念ながら試食は出来なかったけれど。。。しかしこの種無し桃はどうやって増える事が出来るのだろう?