散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

今日の雨

2006-08-28 19:15:07 | 写真

出かけようと一足外に出ると、
雨が強く降り始める。
カタツムリのように首をすくめて玄関から戻ると、
なんだか雨が小降りになった。
それではと、もう一度傘を持って外に出ると
傘にぶつかる雨の音は強くなる。

私はからかわれているのか?

それとも今日は出かけるな、と雨が知らせてくれているのか?

それとも今日は出かけずに、気になったまま、放ってある手紙を書き終えなければいけないという事なのか?



アケビの蔓に連なる雨粒を覗くと、天地がひっくり返っている。


Kroggrogg Giggly

2006-08-25 01:28:57 | 製作記録

ロッ

ロッグ

月に
すんでいる

ロッグ
ロッ





肌を
持って
いるので



じゅう
跳ね
回って




誰も


つか


グロッ

ロッ


くす
くす


一列




波打つ


地球色

ビーチ
ボール
これが







青い
珠、
なんて



青い


ロッ
グロッ


飛び
ついて
珠は
フワリ
フウワリ

飛び
回る

地球

浮かれて
踊ろうよ

ラップリー
ロー

連れて
きて

女と箱の出会い

2006-08-23 19:57:14 | 思考錯誤
「きみはもう、Alte Schachtelだからね」
「まあ、失礼ね!。。。でも真実だからしょうがないわね。」
「そう、現実派いつも正面から受け止めなくちゃね。」
「だけれど、Alte Schachtelなんていわれるとね。。。」
「Schachtelfestなんかしたことある?」
「私は無いわよ、だって25歳になる前に結婚したんだからね。」
(Alteschachtel=古びた紙箱=年増、ばばあ)

Schachtelfest、箱祭り? 25歳?
一体何のことなのかと聞いてみた。
それは25歳の誕生日を迎えたお嬢さんが未婚の場合に行なうパーティーなのだそうだ。
沢山の古い小箱をドアに下げたり、それらで輪を作って飾り付けたりして、この家に未婚の娘が住んでいる事をアピールするものらしい。箱は煙草の空箱、マッチ箱、石鹸箱など、なんでも良い。
あまり嬉しくも無い飾り物である。使い古しの、それも空箱を?

昔の25歳と言うのは、、いわゆる適齢期と言う奴をちょっぴり越えた年頃だったのだろう。15,6歳で嫁に行った時代を考えればそういう事なのかもしれない。今の25歳をAlte Schachtelなんて”ばばあ”呼ばわりをしたら、何が飛んでくるかわからないだろう。膝蹴りを喰うかもしれない。
しかし現在も意味合いは変形しながらも、引き続き残っているトラディションなのである。
どちらかと言うと今では25回目の誕生日を迎えた独身女性のお祝いという位に考えたら良いらしい。
フランス人の知人(Alteschachtel x2 + α)がいうにはフランスにもあると言うことだった。
彼女が娘の頃に住んでいた村では、25歳の未婚女性は”箱祭り”に参加するのが仕来りだったのだ。特別な帽子と民族衣装を纏い踊ったりするパティーで、まあ、言ってみればそうやって結婚相手募集中の旗を揚げるというわけだ。
ドイツでも土地によって風習が違うから、色々調べてみれば面白いかもしれない。

それにしても何で”使い古しの紙箱”なんだろう?
女性と箱。わかったようなわからないような出会いだな。
”ミシンと蝙蝠との解剖台の上での偶然の出会い”という程にわかりにくい。

ところで、私は又箱を作っている。
箱祭り用に作っているわけではない。
気持ちが落ち着かず、考えがまとまらないから、
とりあえず箱を作る。

何故箱か?

箱は秩序を保つ。
いや,そればかりじゃない。。。

アトリエと言う箱の中で、私はセッセと箱を作る。
箱の中に箱が入り、
その中に又箱が入り、
又その中に。。。。
ほら、マトリョシカ人形の出来上がり。

そして、
箱の中にはいつも私が動き回っていて。。。

葡萄

2006-08-21 09:44:17 | 思考錯誤


愛らしい薔薇の一鉢を買った。「Michel Bras」という名前の薔薇である。フランスの名コックMichel Brasの名を貰っている由縁は知らないけれど、濃いのピンク色の蕾がほころび始めると少しずつ色が変わって、しまいにやわらかいピンク色に落ち着く。花びらの少ない可憐な花だ。
そしてベリーに関する本を買った。写真は少なく昔の植物画が挿入されているのが中々美しい。
薔薇と本は友人の誕生日パーティーの贈り物。

日曜日は晴れ間と雨模様が入れ替わり立ち代り、めまぐるしい天気だった。

「ぼくは新しい葡萄を買ったんだけれどね、それを鳥が食べちゃうんだ。網をかけてCD盤を沢山吊るして置いたんだけれど、網なんか物ともせずに食べちゃうんだなこれが。CD盤なんか吊るしても鳥払いなんかにはならんね。その上に止まって澄ましていたりしてさ。それでもまあ、このところ毎日葡萄を食べているけれどね。」といつの間にか庭木談義に花が咲いていた。見回した顔ぶれはみんな庭を持っている。
兎に角、葡萄管理者もたらふく鳥もたらふく喰うほどに豊作だったようである。
「あら、うちの主人なんて庭木の剪定が大層下手と来ていますからね、彼が切った樹には翌年実がつかないのよ。トルコの実家から持ってきて植えた、飛びきり美味しい葡萄があるんだけれど、今年なんか2房ほどしか実らなかったの。だからもう2度と触らせない事に決めたのよ。」
と呆れ顔の奥方の横で
「いやあ、私がね、切ると何もかも実らなくなっちゃうんですよ。ははは。」と旦那。
「そういえば、葡萄もだけれどさくらんぼなんかもね、一日タイミングを逃したら全滅だね。さくらんぼの数ほど鳥が来てあっという間だね。今年は殆どさくらんぼは収獲なしだったよ。」とCD作戦の敗者は続ける。
するとテーブルの向かいに座っていた知人は
「そうそう、俺の知り合いの爺さんなんか、時期になったらさくらんぼの樹の前に座って空気銃を撃ちまくるんだけれどね。ずっと撃ってるわけにも行かんからな、結局鳥に喰い散らかされるね。」といいながら、首を振っている。
彼自身猟をするし、銃をかかえてさくらんぼの番をしそうな雰囲気を持っているのでちょっと恐い。
鳥に横取りされる悔しさもわからないではないけれど、空気銃まで出てきては物騒である。さくらんぼが実る頃には近づきたくない。

我が家にも葡萄の木があって、それはかなり古い株で、なかなか格好が良い。
最も鉢植えなのでそれほどぐんぐんとは伸びないようだ。葡萄の大型盆栽という趣だ。それだからと言うばかりでなくもともと小さな実がなる種類らしく、小指の先ほどの黒い実の小さな房が下がる。食べてみるとちゃんと甘くて美味しいが、鑑賞用なので、手ぐすね引いて実が熟すのを待ちながら、鳥と一戦を交える覚悟で待機する必要は無い。

カタツムリの引越し

2006-08-18 13:02:47 | 製作記録
私は今、
引越し中だ。
といっても住みかを引越しするのではなく仕事場を引越ししている所だ。カタツムリのようなテンポで、ぽつりぽつりと物が移動中である。しかしのんびりとは言え、間もなく物が溢れてしまうのに違いない。

8月7日に友人の紹介で部屋を見に出かけて、弾みとでもいうのかその場で即決してし、その週末引っ越し始めた。これが良い結果を生むのかどうかまったくわからない。

15分電車に乗って、降りて10分の道を行く。ひたすらまっすぐだ。貸し農園や廃鉄屋などを横目に見ながら、賑やかでは無い道を歩いて、一つ目の十字路の角にある会社のゲレンデ内に部屋を借りた。
建築物の乗っかる基礎地盤作りをする会社で小さな会社とは言え現在2代目。特許を持っているらしく特殊な分野でもあるから安定しているらしい。
会社のゲレンデ内には分厚い鉄板や管や私には使用不明の道具がゴロゴロと転がっていて、クレーン車がそれらを積み上げたり移動したりもしている。ちょっと面白い背景だ。
最大限のヴォリュームに設定した電話の呼び出し音が、たびたびジリジリン、ジリジリン,ジリジリンと鳴り響く。近所に救急病院があって,サイレンの音が毎日聞こえてくる。その部屋は大きなガレージの脇にあって以前は"何か”の検査をする為に使われていたらしく、ちょっとした実験器具が詰まった棚があった。四角く大きな流し台に流れる水は井戸水で、ひどく鉄臭いので飲めない。水質検査はたまに行なわれるらしいから、水に問題はなく飲んでも身体に大変悪いわけでもないけれど、飲めたものではない。残念だ。
この鉄臭い水の匂いをかいでロシアに行った時のことを思い出した。バスタブにお湯を入れようとしたら蛇口からでてきた水が茶色くて驚いた事がある。どちらにせよお湯などでなかったのだけれど。紅茶のような色だった。
売られている壜に詰められた水だって金臭い。ロシア人に『そんな水を飲んでると歯が黒くなってくるぞ』と脅かされたものだった。
鉄不足対策に、特に女性は鉄不足になりやすいからひょっとしてたまに飲むのもいいのかもしれない、などと思ってもここの水は透明だが飲むきはしない。仕方ないので水は買って飲むことにする。
そんな風に書いてしまうとあまりよさそうには聞こえないが、そうでもない。
鉄の塊を扱う男達が横行する場所で、働き者の"青つなぎ作業服”の男達は仕事が速い、大家が一声かけると、あッと言う間も無く棚を移動する、あッと言う間に壊れた水道の蛇口を付け替える、ドアがうまく閉まらないといえば、間もなく"青つなぎ”があらわれる。
そんなわけで、少しずつ環境は整ってゆくわけだけれど、まだ先は長いな。暇がかかるので、それより何か作り始める事を始めようと思う。
そして、仕事場が整えば、自宅の方の手入れもはじめる。
ああ、そこまで考えるのは止めにしよう。
とりあえず一足先だけを見つめながら進むことにしよう。




玉葱の皮を剥いていったら?

2006-08-17 08:22:34 | 思考錯誤
ノーベル賞作家のギュンター・グラス氏の新作”Beim Haeuten der Zwiebel”(玉ねぎの皮を剥きながら)は自伝なのだそうだ。
78歳の彼が何故今になって青年期にSS親衛隊に所属していたことを告白することにしたのか?
どうして今までそれを沈黙していたのかについて騒がれている。
私も何故"今”なのか今ひとつピンと来ない。
グラス15歳、親元の窮屈さから逃れたいばかりに、潜水艦部隊入隊を希望したが不採用だった。多分当時若者にありがちな選択であったのかも知れない。
その後17歳の時にSS武装親衛隊に入隊。自主的入隊ではなかったと言う。
子供であって無知であった。後その重みを、常に抱え込んできたという。
(17歳は子供か、大人か。。。最も個人差はあるけれどね。グラスの17歳ってどんなだったろう?)
"ブリキの太鼓”で一斉を風靡した頃は告白する時期では無かったと言う。
(どんな時期を待っていたのだろうか?)

そんな過去があった事について云々する気はないけれど、文化人として社会的にそれなりの影響力を持つ人であり、戦争のモラルについて公に発言していた人なのだ。ナチズムの問題に声を上げてきた人なのだ。やはり、ちょっとこれは具合が悪いのではないかなあ?

9月発売のこの新刊はこの騒ぎで発売日繰上げになった。これがうまい前宣伝になったのかどうだか?
ギュンター・グラスの名作はこのスキャンダルに穢れる事は無いけれど、新作の自伝を私は今のところ読む気はない。

杜松の樹

2006-08-16 16:30:01 | 植物、平行植物
Juniperus communis :Wacholder、杜松






まったいらな荒地に杜松の樹がぽつぽつと生えている風景が私は好きだ。

杜松の樹は時に腰の曲がった魔女のようで、時には堂々と立ちはだかる森の王のようで、それぞれに表情があって面白い。
杜松の樹の青みがかった黒い実は料理の香付けに使われたりジンなどの原料であるが、沢山摂取するのは身体に悪い。生の実なら一度に3粒にとどめるのが良いとされているが、最も、この実ばかりをぽりぽりと食べて美味しいというわけでは無いので、食べ過ぎる人もいない事だろう。
鶫が好んで食べるそうで、彼等が杜松の樹の種蒔き担当をしている。
ドイツ語のWacholderという名前は”Wach = 目覚めている状態””holder = halter = 止め具”という意味から来ており、”死の床にある者を生に繋ぎ止める”というような意味からきているらしい。

ペストが流行った頃この樹を使って部屋を燻蒸したり、針葉を鍋で炒り、それを携えて病室に入るったそうだ。
又当時黒死病は悪魔の仕業とも考えられて、ルビーやサファイヤを杜松の実から摂った油に浸し、それを持って”魔法の輪”を記したという話もある。なぜなら杜松の樹には悪霊、悪魔、魔女たちを祓う力があるとされているからだ。

食欲増進、リューマチや関節病の痛みを和らげる効果があるし、ザウアークラウト(酢漬けキャベツ)はそのまま沢山食べるとお腹が張ってしまうが、杜松の実をすう粒一緒に煮込むと問題は解決だ。
昔はこの実で首飾りをつくり、子供が歯の痛みなどで辛い場合に、首にかけたそうだ。
そういえば昔、虫歯が痛いときに杜松の実を一つ虫歯の穴に詰めて噛むと良いのだと教えてくれた知人がいたのを思い出した。それが本当に効くものやら不明ではあるけれど、なにやら効き目がありそうにも思う。

杜松の樹を眺めていると沢山の物語が枝葉の間に絡まっているのを感じる。


杜松の樹 グリム兄弟

私が今気に入っている写真家-Ⅰ

2006-08-15 08:35:08 | 美術関係
Esko Männikkö

隣街まで20キロの人里はなれた北フィンランドで妻と娘二人と住む写真家である。かなり厳しそうだが美しい自然の中だ。
写真技術は全て独学の一匹狼だ。世界を飛び回ることは彼の好みではない。
時間ができれは釣りに出かける。

彼のまなざしはいつも身近な"近所”の"物”や"人”や"動物”に向けられている。
それは彼が子供の頃から変わらないまなざし。

撮りたいもの。それが人であっても、馬であっても、牛であっても、傾いた家であっても、壊れかけた椅子であっても、皿に乗った魚であっても、じっくりと被写体との対話の時間をかける。廃屋の中で彼は忘れ去られた物たちの間に挟まり、それらと対話し、そして写真を撮る。
『貴方の写真には女性よりも素朴な男達の姿がたびたび登場しますね。』というインタヴュアーの質問に
『。。。だって、女性に向って2,3日一緒に暮らそうよ。。。なんて、言えないでしょ。』と照れくさそうに笑った。

写真を撮るという事は"狩り”に似ている。と彼は言う。
彼は猟をする側にたちながら、同時に獲物自身のなかに存在しているように見える。

移行し続ける植物

2006-08-11 07:17:51 | 植物、平行植物





植物がストレス下で育てられると、その情報はすばやく、次ジェネレーションの遺伝子に変化をもたらす事を確認したという記事を読んだ。
種子を蒔いてから6週間ほどで次世代の種子をとることができるため、植物界のショウジョウバエともいわれる「シロイヌナズナ」は紫外線やバクテリアの仕込まれたたんぱく質などを使って実験植物にストレスを与えられると、その結果遺伝子情報の変化が既に次世代に伝わり、それも4世代後までその影響が続いたということだ。

そうやってどんどんミュータントが生まれて行く。ミュータントといっても、何も超能力が生まれるわけではなくて、生き延びるための変化だから、目に見えるほどのものではないけれど、そうして考えて見ると我々の身体なんかも刻々変化しているのかも知れないと想像すれば、なんだか面白い。
まあ、サイエンス・フィクション映画の中のような飛躍は無いとしても。。。

シェルター

2006-08-10 18:41:34 | 自然観察
虫嬰、虫こぶ、ゴール。
「タマバチ」「タマバエ」「アブラムシの一種」または 「ダニ」「線虫」「菌類」などが葉や茎に産卵したり取り付くと、その刺激を受けて植物の細胞が異常分化してできる代物なわけだけれど、これは中に眠るもの、又は育つものにとって中々具合の良いシェルターである。食べ物は充分。天敵の目からは守られて、ぬくぬくと不足無く育つのだ。

今日道を歩いていて、靴の下にごろッとした感触があったので、思わず立ち止まって確かめたら(こういうことはどんなに急いでいても確かめる。)、ユーカリの実のような形をしているものがいくつも落ちている。
ユーカリがこんな所にあるわけが無いからなんだろう、と思って手に取るとどんぐりの実に出来た虫こぶであった。(写真下)
どんぐりの実をくるむような感じにごつごつした層が出来ていて、先端には既に穴が開いているので成虫が飛び立った後なのだろう。樹液なのか虫の排泄液なのか少々べたつく。ポケットに入れて用事を済ませてから家に戻り、早速カッターナイフで切ろうとしたが、中々に固くて歯が立たなかった。

虫嬰にも色々な形があって面白い。
ササウオフシという虫こぶは細身の魚のような形をしていて、川に落ちるとササウオに変身すると言う物語を持っているそうだ。
又、イスノキに出来る虫嬰は虫の旅だった後、その穴に風が吹き込むと音を立てるという。

木に沢山の小笛がぶる下がっているところを想像して見ると楽しいね。大きさも形も違うから、その音も様々だったりしたらなお楽しい。
天気によって色々な調べが聴こえてきたりして。。。




道草草子 Ⅲ

2006-08-07 09:44:57 | 自然観察
Lobelia sessilifolia 紅サワギキョウ




炎天下の赤いサワギキョウの赤は倒れても視覚を攻撃するように輝いていた。









炎天下
。。。。を歩いたのはもう一週慣以上前のことになる。
ある夏日の翌朝、目が覚めると、
すっかり空気が入れ替わっていた。
秋のひんやりとした空気だ。
パチンとスイッチを切り替えたような突然の変化だ。
この突然と言うところが肩透かしを食らったようで、
いや寝ぼけ眼でいるところへいきなり頬打ちされたようで、
悔しい。
夏の太陽の光と暑さをたっぷり含んだ紅い花を
思わず捜し求めてしまう。

道草草子 Ⅱ

2006-08-01 08:48:00 | 自然観察
silene vulgaris 風鈴花





風鈴花の種子カプセルが
雨にぬれて透き通り始めている。
何処にでも咲いている野草だ。
白い花も中々可愛らしいのだけれど、
咲き終わった後のガクの部分が種子を包んで
風船のように残る。
それがとても愛らしい。