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散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

黒いビーズ

2018-03-08 18:12:22 | 自然観察


(写真:先日始まった展覧会)


春の種蒔きをしたと、受話器の向こうの友人の声を聞いていた時の事だった。
窓枠で切り取られた私の視界の中に二つの小さな真っ黒いガラスビーズが浮かんでいた。
それはテラコッタの鉢の上に佇む一匹の栗鼠で、真っ黒な表情のない目でこちらを窺っていた。
たびたび走り回っているのを見かけていたので、胡桃をテラスのあちこちに仕掛けておいた。
極寒の数日間は胡桃は手付かずだったから、心配していたのだけれど元気だったようだ。
早速頬袋に胡桃を詰めたリスは美しいつややかな栗毛の衣をひるがえして走り去った。

そろそろ鳥のさえずりも春めいてきている。






擬似蜂巣

2017-07-17 16:20:19 | 自然観察




ブーンブーンブーンと驚くほど大きな羽音がする。
テラス側の窓辺にヴェスパがふらふらと飛んできて部屋の中に入ろうとしている。一匹が二匹、二匹が三匹と増えているので巣でも作られたらたまらないと、対策を探し始めた。
こういうときはインターネットで検索できる便利さを享受する。
ヴェスパよけに茶色の紙袋を膨らませてしかるべき場所に設置するという記事を見つけた。その"物体”を他のコロニーが作った鉢の巣と見間違えて逃げてゆくという説だった。
眉唾ものかと思いながらも、手間のかかることでも無し、持っていた茶色紙袋を膨らませて吊るしてみると、確かにすうっと逃げていったきり戻ってこない。ここ数日うるさいほどの羽音がひっきりなしに聞こえていたのに、シーンとしているのだ。これは偶然なのか、それとも本当に茶色紙袋擬似蜂巣作戦が功を成したのか、はっきりとした事は判らないものの、今日はまだ一匹も飛んでこない。
これはミツバチには関係ないらしく、彼等はトマトの花を静かに訪問している。
 ミツバチといえば先日、寝室の床に動かなくなっているのを見つけた。よく見ればまだ生きているので、喉が渇いたか、空腹かのどちらかだろうと、ちり紙をぬらし蜜を少し落としてミツバチを乗せてみると、早速ごくごくと飲んでいるらしい様子が見えた。そして5分ほどして、回復したのか動き始め、飛び去った。 
このところ気温が高く雨が少なかった所為で水溜りが足りなかったのかもしれない。ミツバチも喉が渇いているらしい。
 蜜といえば去年わさわさと茂ってたくさん花をつけていた小さな赤い花のサルビアが半分枯れてしまった。その蜜を求めてホシホウジャクがたびたびたずねてくるのが楽しいのだが、今年は花が少ないのでホシホウジャクの訪問も少ない。彼らのために来年はサルビアの挿し木をたくさん作っておこうか。。。
 サルビアといえば。。。
 ホシホウジャクといえば。。。
 赤い花といえば。。。
 挿し木といえば。。。
 どんどん枝葉がのびてゆく。。。









霧霧舞い

2017-01-05 15:29:27 | 自然観察



霧の日にカメラを掴んで外に走りでるのは何故か?
在る物が見えず、ないものが見えてくる事。うっすらと見えるあたりに想像を膨らませる余地がある事。
これが毎日ならば高揚感は消えてしまうのかもしれないし日常に不都合をもたらすかもしれない。たまに起こるくらいがちょうど良い。友人の中国人に霧の写真を見せると、「綺麗な景色ね。でもこの写真を中国に住む中国人に見せても切ないだけなのでしょうねえ」と彼女は言った。中国の大気汚染は深刻だ。1952年に起こったロンドンスモッグも多くの死者を出した。。。


霧絡みの映画でジョン カーペンター監督のThe Fog と言う映画があったっけ。。。観たのはかなり昔なので記憶は霧越しでぼやけているけれど、確かどうしようもないB級映画ながらもじわじわと怖かった覚えがある。(今観たらどうなのだろうか?)

ところで最近、私の頭の中には濃霧が湧き上がったまま晴れる事がない。そんな感じがしている。
いろいろな事が仄かに見えているのだけれど一生懸命目を凝らしても薄っすらとしか見えない。
その上片付けをすると失せ物が増える。霧の向こうに置いて来てしまうからだ。何処に片付けたかを忘れてしまう事など昔は決して無かったのにと、地団駄を踏んでもやっぱり霧は晴れない。
歳のせいだと簡単に片付けられるのも気に入らない。
あんまり霧を追いかけたのでひと塊りの霧が頭の中に住みついてしまったのだ。


霧の向こうには必ず何か居る。

たぶん。



そして、探し物はなんとか見つかった。
一生懸命頑固な靄もやをかき分けながらやっと辿り着いた。
その内2度と見つからない事態も起こるのだろうね。と取り敢えず胸を撫で下ろした。
本日幸い。
































水の形

2016-01-23 08:30:54 | 自然観察
2016年1月19日

この冬は暖冬で凍てつく日が少ない。
久しぶりにちらついた雪もあっという間に溶けてしまった。
凍った水の模様を探しに出た。
アスファルトの道には羽根の様な形に模様が現れ、落ち葉や草が氷の中に、まるで寒天寄せのかなにかの菓子の様で、美味しそうに見えた。
枯れ草の茎を芯にして面白い形に薄く白い氷が張っていて、軽く足を乗せると崩れ、パリンパリンと良い音がする。
その音がもっと聞きたくて、数歩踏みしだいたけれども、美しい絵を壊している様で忍びなく引き返す。
このパリンパリンという音を聞きながら思い出したものがある。
子供の頃家の近所に飴細工のおじさんを何度か見かけたことがあった。
自転車の後ろの箱の中に飴やら道具やらを詰めていて、棒の先に絡めとられた飴はちょきちょき切られたりひっぱられたりしながら、あっという間に鳥や動物になってゆく。筆でササッと色が入るとセロファンの袋が被せられて、動物達は買われるのを待っている。私はそのハサミ使いや筆使いに見惚れて立ち尽くした。
ストローを使って飴に息を吹き込み膨らませて可愛らしい小鳥も現れる。その小鳥はの肌は薄く薄く筆で描かれた羽根と顔が愛らしく、買ってもらった記憶があるが、持って遊んでいるうちに間もなくパリンと音を立てて粉々に壊れて蟻の餌となった。
美しい飴細工であったが、大人たちは「食べてはいけません、きれいじゃないのだから」と言った。割り箸も使い回しだったかもしれない、膨らんだ鳥のお腹の中はおじさんの息が閉じ込められている。そんな事から大人たちは不衛生だという理由で食べてはいけないといったのだろう。
その辺りでは商売にならなかったのだろうか、その後飴細工のおじさんを見かけることはなかった。
薄い氷が足の下でたてる音は、あの飴細工がこわれたときの音と、その時の残念な気持ちを蘇らせた。






























2015-11-07 22:42:48 | 自然観察














とにかく菌糸類というのは面白い。。。。


展覧会の初日というイベントを終えて草臥れ果て、役立たずになっている今日の私を癒してくれるキノコ達。
呆けた様にいったりきたり写真をぐるぐる眺める。。






胡桃

2015-11-06 21:31:05 | 自然観察


目の前のカラスはくちばしに何か加えている。胡桃らしい。
アスファルトの道の上をすいっと上昇し胡桃らしき物を落とす。そしてそれはパカッと割れた。やはり胡桃だった。カラスは割れた実を再びくちばしに押し込み、脇の畑の真ん中に移動し、車や自転車に邪魔されることなく悠々と胡桃をついばんだ。
賢い奴だ。木から落ちた胡桃がアスファルトにあたって割れるのを見ていたに違いない。彼らは実によく観察をしているし記憶力も良い。
多分私の記憶力より優秀かもしれない。
さて胡桃だ。
この日の目当ては胡桃を拾うことだった。
カラスと胡桃をみて思いついたわけでなく、春先に迷い込んだ道はずれに勝手に大きく育ったらしい胡桃の木が生えていて、秋になったらいただきに行こうと考えていた。
カラスの記憶力より危ういかもしれない私の記憶力は、そういう事に関しては正しく作動して時期になるとちゃんとアラームが鳴る。
少し長い散歩にはなるがニンジンを鼻先にぶるさげられた馬のように、餌に気をとられて脚は進む。
目当ての小道に入ると、鹿がのんびり草を食んでいた。



鹿はしばらくじっとしてこちらをの様子を伺っていたが、やがてすいっと木々の中に溶け込んで見えなくなった。
雨上がりだったので水滴をまとった草の中を歩くうちに運動靴は中まで濡れて重くなった。
そして思ったとおり胡桃は熟していた。小ぶりだがちゃんと中身はつまっている。
落ちている実を拾い、リスの分は充分残して帰路についた。
今年は栗も拾ったし、ポルチーニ茸も見つけた。ハマナスの実や西洋サンザシの実でジャムも作った。
十一月は展覧会が三件続くので気分がわさわさとしているのだけれど、そういう事やら、こういう事やらが私のなかに生まれてくる物の糧になるらしいから、遊んでばかりいる自分を甘やかしている。
明日は展覧会二件が始まる。










トマトと鹿と木の匂い

2015-07-10 11:45:06 | 自然観察



数日間猛暑に見舞われてへこたれつつ、やはりグッタリしたテラスの植物を見守っていた。

今年の夏はトマトの鉢が沢山並んでいる。
茄子色、チョコレート色、緑色、黄色、赤。。。小指の先ほどちいさな実から、握りこぶし程に育つトマトもある。多様だ。どうやらこの多様性のおかげでトマトに凝っている人も多いらしい。
テラスだから鉢植えだが、今のところなかなかうまく育っている。サラダ菜も箱庭に植えてあって、食べるだけ摘んでは育てるのが具合が良く満足している。
しかし、おかげでこの時期には旅行にゆくことが出来ない。
とはいえ、窓際に並んだトマトの葉だの、花咲く香草が風にさわさわと揺れているのを眺めるのを"幸せ"と言っても良い。
いつまでも見飽きないのはなぜなのだろう?



しばらく前、近所を散歩しているとアオサギが凍りついた様に立っていた。まるで彫刻のようだ。持っていたカメラで写真を撮った。家に戻って早速写真を確認すると、遠くに鹿の親子が写っていた。
アオサギに注意を奪われて遠くに立ち止まる鹿たちに気がつかなかったのだ。朝早くに散歩をすると、よく鹿を見かけるが、すると何故だか得をしたような気持ちになる。
遠くでキツツキが働き始めたのが聴こえていた。
太陽の陽射しがハーブ畑を暖め始め、その香りが立ち上る。

香りといえば道を歩いているといろいろな植物の香りが鼻先をかすめてゆくものだけれど、木の香りがとても気になる。
目隠しをされても判る木の一つはカツラの木で、紅葉時が一番薫るものの、いつでも甘いカラメルのような香りがするので、近くにカツラが植わっているなとすぐに気がつく。
花の香りで気がつく木々は多いが、葉の香りがこれだけ強い木は少ないのでは無いだろうか?
空中を漂う花や葉の薫りを犬のようにくんくんと嗅ぎながらうろついている徘徊しているのはかなり怪し輩に見えるかもしれない。
頭の中でそれぞれの匂いに色をつけてみるとなかなか美しい。







ガタガタ 或いは カチカチ

2015-06-30 18:52:33 | 自然観察



先日いつもの道を帰る途中、ガダガダ ガダガダ という様な声が上の方から聞こえて来た。
見上げるとカササギで半分枯れた木の天辺で微動だしない。
カササギの学名はPica pica で確かにピカピカな羽根を持っているなあと思考があらぬ方向に揺蕩う。
pica症候群、異食症という病があるそうで、何故カササギの名が使われたものだろうか?
カササギの鳴き声を カチカチ と聞いて、縁起が良い鳥とも言われるそうである。
他の鳥の巣から雛を奪ったりすることで、追い払われる鳥でもあるが、とても賢いなつくと可愛い鳥だ。


今朝七時に配達の連絡があり、八時前に冷蔵庫到着。少なくとも八時間電源は入れない様にと念を押されて、待つ。
今やっと、新しい冷蔵庫が稼働し始めた。


今日は28度、明日からさらに気温が上がり、土曜日は38度だという予報。
こうやっていきなり来る暑さには負けっぱなしになってしまう。。。。涼しい部屋の中でじっと制作中。









2014-01-08 19:55:11 | 自然観察





朝、いつもの道を歩く。台所の窓からうっすらと地平線あたりに茜色が差すのを見つけたので慌てて身支度を済ませて出かけたのだ。
一週間前の同じ時刻はまだ薄暗かったというのにすっかり明るい。今年の冬はいつに無く暖かな日が続いていて楽ではあるけれど、どこか間の抜けた感じがある。
もっともこれから本番の冬がドカンと来るのかもしれない。確かに天気予報では来週あたり冷え込みそうな予報が出ている。
そんな事を聞けば、やっぱり寒くならない方がいいのにと思い始めている。
朝やけを眺め、空の写真を撮りながらいつもの道をあるく。左手には小さな羊雲がコップの中に泡立つサイダーのように見える。右手に広がる絵はささっとたくみに描かれた羽ばたく白鳥か、ペガサスの様で、眺めるうちに羽は少しずつ流れて帯になった。
夕暮れ。
街からの帰り道の空がやはり美しかった。
銀色に光る綾織の雲を背景に金色の細かい粒子が舞い上がり、神々しいばかりの美しさだったが、電車の中の大半の乗客の注意は手元の携帯電話やタブレットPCに注がれていて残念ながら私の感動を分かちあおうと言う人は少なくとも近くには見当たらなかった。
駅を降りてから夕暮れの幕引き寸前の空の数枚写真を撮った。
ふと気がつくと前方を歩いていた青年がくるりときびすを返して私の横を走りぬけ、まもなく戻ってきた。
すれ違い様に「僕も写真を撮りましたよ」と笑顔を見せて彼は言った。



















十三夜月

2013-12-15 22:29:16 | 自然観察
今月の満月は17日だ。
今日はその2夜前の十三夜月。
この満月から2日前の月は満月の次に美しいと愛でられたそうだ。
確かにほんの少しだけ欠けた月が美しく、冷たく輝く月を撫でるように寄せては去ってゆく雲が虹色に光った。












満月の夜には事件が多いと言われているけれど、明後日は皆さんお気をつけください。







Raureif

2013-12-07 21:46:22 | 自然観察
12月3日

Ratingenの散歩道。

まだまだそれほど寒くは無いので
太陽が昇ればまもなく白化粧は消えてしまった。















昨日『The best exotic marigold hotel』という映画を観て満足。
久しぶりに見てよかったなと思える作品だった。
余韻が残る。
『Everything will be all right in the end... if it's not all right then it's not the end』


そういえば先週は『Gravity』を3Dで観たが、こちらは期待が大きすぎたか、今ひとつ気持ちが盛り上がらず残念だったのが個人的な感想。
























茸メモ 2

2013-10-04 19:58:56 | 自然観察





Boletus edulis (Fichtensteinpilz)森の王者。15cm丈と小さな固体見つけた。


Boletus erythropus, syn. B. luridiformis (Flockenstieliger Hexen-Roehrling)毒々しい色から食べられるとは思えない茸だけれども食可。切り口が空気に触れると青色に変わる。

Suillus grevillei(Gold-Röhrling)金色の茸が輪を描いていた。輪の中で踊る人がいそうだね?


Suillus grevillei(Gold-Röhrling)


Amanita citrina, syn. A. mappa (Gelber Knollenblätterpilz)毒


Boletus badius, syn. Xerocomus badius (Maronenpilz)人気者。


Russula paludosa(Apfel-Täubling ) ?Rosa - Täubling (Russule rosea)? わからない。


Russula atropurpurea, Syn.: Russula krombholzii(Purpurschwarzer Täubling)?


Sparassis crispa(Krause Glucke oder Fette Henne)新鮮な個体なら食可。


Amanita rubescens (Perlpilz)食可。。。らしい。


Coprinus auricomus (Braunhaariger Tintling)毒


amanita muscaria (Fliegenpilz)毒


amanita muscaria


深海を歩いているような気分になる。針葉樹の葉降り積もる地面はふわふわとして気持ちよい。枝に行く手阻まれ小枝に目を刺されそうになったりしながらさまよう。


Calocera viscosa( Klebrige Hörnling )鮮やかなオレンジが美しい


Geastrum triplex(Halskrausen Erdstern) 可愛い。。単純に可愛い。 


Xerocomus subtomentosus syn. Boletus subtomentosus (Olivfarbener Filz-Röhrling)傘の表面は固く、起毛している感じ。 食可





















茸メモ

2013-10-02 11:59:44 | 自然観察
きのこきのこきのこ

森の中をざくざく歩く。
風に吹かれてどんぐりの実が落ちる音がぽつんぽつん、ぱらぽろ、はしぱしっと続いている。
脚裾を茨に引き止められ、手の甲を引っかかれながらそろりそろりと歩く。

落ち葉を踏むたびに乾いた音が心地よく、楽しくなる。
ふと辺りに目を凝らすとこんがり焼けた小さなパンケーキが輪を描くように並んでいた。 ふっくらした傘を開いたニセイロガワリだった。これは美味しい食菌で翌日炊き込みご飯に入れていただいた。
それから小道沿いに左右の草むらには黄色いハナイグチやココア色のヌメリイグチも並んで光って手招きしている。。。手招き。。。まあ、その様に見えた。
さっと煮付けたり、汁の実とすればヌメリのある食感が良くこれもなかなか美味しい。

そしてこの日の真打登場である。収穫に気を良くして道を先に進むと、なんとBoletus edulisヤマドリダケを見つけたのだ。この森で茸ハンター垂涎の的に出会うのは初めてだったので満面に笑みである。
シンプルに薄切りバーター炒めでうやうやしく頂いた。これは本当に美味しい。

茸を収穫する事も楽しいけれど、時々茸を眺めながら森の音をじっと聞いていたくなって又森に出かけたくなるのだ。