散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

ガタガタ 或いは カチカチ

2015-06-30 18:52:33 | 自然観察



先日いつもの道を帰る途中、ガダガダ ガダガダ という様な声が上の方から聞こえて来た。
見上げるとカササギで半分枯れた木の天辺で微動だしない。
カササギの学名はPica pica で確かにピカピカな羽根を持っているなあと思考があらぬ方向に揺蕩う。
pica症候群、異食症という病があるそうで、何故カササギの名が使われたものだろうか?
カササギの鳴き声を カチカチ と聞いて、縁起が良い鳥とも言われるそうである。
他の鳥の巣から雛を奪ったりすることで、追い払われる鳥でもあるが、とても賢いなつくと可愛い鳥だ。


今朝七時に配達の連絡があり、八時前に冷蔵庫到着。少なくとも八時間電源は入れない様にと念を押されて、待つ。
今やっと、新しい冷蔵庫が稼働し始めた。


今日は28度、明日からさらに気温が上がり、土曜日は38度だという予報。
こうやっていきなり来る暑さには負けっぱなしになってしまう。。。。涼しい部屋の中でじっと制作中。









鉄橋を越えてワッフルを食べに行く

2015-06-28 16:17:14 | 思考錯誤



前方にはドイツで一番高い鉄橋が聳え立っている。鉄橋は見上げた空を横切っている。
その下をくぐって森の中に入ってゆくとなかなか歩き甲斐のあるハイキングコースになっていて、登り道を自転車で走る人も多い。途中で階段を自転車を担いで行くのを見ているだけで足がつりそうだ。私には歩く方が性にも体力にもあっている。
中間地点はブルク城で、そこまでは少しずつの上り坂が続く。
道端にはラズベリーの花が咲き乱れているが、何故か実る頃に通りがかったことは無い。ブルーベリーが実っているのを見かけて、黒い実を齧ってみたがまだ甘みが無い。
森を出て城の裾にある村を通る。
大きなブレーツェルの看板を掲げたパン屋があって、この地方の名物なのだが、細長いパン種をくるりと巻いて捩った形の薄甘い乾パンで、コーヒーに浸して食べるらしい。お土産用の大きなブレーツェルにはリボンがついていて首にかけられる様になっている。何故かはわからない。
崩れ落ちそうな廃屋があったり、小さな店は傾きかけているものの、なんとか持ちこたえている風情だ。この辺りに住んでいる人は冬雪が積もったり道が凍った時は辛いなと想像しながら、くねる急な坂道を上がりきると、ワッフルの店の看板が目に入る。最後の数十メートルはワッフルを食べたいという気持ちが機動力になっている。
私はミルクライスと果物のコンポートが乗った蕎麦粉のワッフルを注文した。とても美味しい。
この辺り特有のコーヒータイムがあって、先出の甘いブレーツェル、干しぶどうの入ったパン、ワッフル、チーズ、サラミ、レバーペースト、果実のコンポート、ミルクライス、ホイップクリームとコーヒーが出てくる。
昔は豊かな食材溢れる場所ではなく、来客があると食料庫から食べられる物をかき集めてもてなしたのが始まりと言われているが、かなりのボリュームだ。
城の周りを歩いて、果実酒を売っている小さな店があったので何と無く入ってみると、試飲をさせてくれた。
気に入ったのはルバーブのワインと黒すぐりのワインだった。帰り道がまだあるのでルバーブのワインを一本だけリュックサックにつめて引き返すことにした。
スッキリした味で冷やして呑みたい。暑い日にぴったりだ。
だけれど冷蔵庫が無い今、暫くのお預けとなっている。
冷蔵庫は明後日届くはずで、しばらく暑い日が続きそうな予報なので、ちゃんと届いてくれると嬉しい。

そうしたらルバーブのワインを冷やして。。。。









お絵描きの時間

2015-06-25 18:28:10 | 思考錯誤






太陽の光が薄紙を通して拡散されたような明るさ。
昨日に比べて今日は少しだけ湿度が高い。
近所の老人ホームでのボランティアをすることになった。使命は絵を描く手伝いをすることだ。
老人性痴呆症が始まっている人も多い。
私がある女性の横に座って話し始めると、「あなたオランダ人?」と聞いて来た。日本人だと言うと笑顔で昔日本人の知り合いがいたのだと言う。よく聞くとあまり目が見えない様子だった。私の顔がちゃんと見えていなかったのだ。
何故「オランダ人」と聞いて来たのか不思議だったが、理由は不明だ。ドイツ人では無いのはどうしたってはっきりとわかるわけで、外国人、とりあえずオランダだったのかもしれない。
お手本を見ながら絵を描くのだが、うまく同じ様にかけないとすぐにくたびれてしまい、おしゃべりを始める男性。その男性に口を動かすのではなくて、手を動かす時間ですよ、とたしなめる婦人。
今日は皆和やかで、もっと描きたかったわ、時間が足りないと部屋に戻って行った。
ちょっとだけ外からの空気を運んで楽しんでもらえたら良いのだけれど、どうだろうか?

帰り道、アイスクリームなんか良いなあと店を見ると人だかりがしていて、それを見るだけで気分が萎れてしまった。こういう時はスイカだの冷えた果物が食べたいけれど、実はもう二週間以上冷蔵庫が壊れていて、そういう物は望めない。冷えたビールなんかも無理だ。
しゃりしゃりの氷とか、マスカットの冷凍の半溶けを頬張るとか、冷えた麦茶も駄目だ。駄目となると妄想が膨らむ。

やっぱりアイスクリームをたべに行こうか。














Wanderung

2015-06-24 17:32:15 | 写真





始めてのハイキングコースを歩くことになった。
住処から車で30分程の場所だ。だいたい14キロ程の道のりになる。
歩き始めは大きな古い墓地の脇を通りぬける様になって居て、鬱蒼とした木々の隙間を歩いてゆくと、少し離れた一角にユダヤ人墓地があった。趣がある、とも言えるのだが日が暮れたらこの辺を歩き回るのは遠慮しよう。
この墓地では樹木葬なども引き受けて居るらしい。
墓地を通り過ぎて森の入り口とも見える場所に差し掛かった時、足元に丸い石が落ちていた。石は薄い茶色でかすかに赤い縞が入っており、木星の写真を思い出させた。埃っぽい道の上に木星が落ちていた。通り過ぎてもしばらくの間気になって戻って拾おうかと迷ったが、やがて石の引力はプツンと切れた。
道はだんだん表情を変えて行く。
時折、きつめの登り下りがあったり、嵐で倒れた木が道を塞いでいるのをよじ登ったりくぐったりと忙しい。
湿地帯の端を通り過ぎるのだが、道のあちこちに沢山の太い枝が敷かれている。幸いこの日は地面が比較的乾いていて、泥だらけになることもなく通り抜けた。泥沼に足を取られて大変な目に遭うのだと後で聞いた。
湿地帯には野生アイリスの黄色い花色が濃くなった緑の葉の間にポツリポツリと残っているが、ふと目を逸らすと黄色は緑の中に溶けて行く。
嵐で倒れた直径1メートル以上もある泥を抱えたままの木の根元にゴルフボール大の穴が沢山あいていて、コウモリの巣ではないかと思ったのだが確認ができずに通り過ぎた。
道は時折畑に出たり、森に入ったり木の幹に書かれたハイキングコースの目印を追ってひたすら歩く。今回は白い四角を追う。
ふと、靴の中の小石がひどく気になりはじめた。実は最前から気になってはいたのだが紐を解いて靴を脱ぐのが面倒で無視を決め込んでいた。しかしどう言うわけだか小石は増えている。トレッキング用の靴だからしっかり履いているつもりで、なんでこんなに石が入り込むのか不思議だ。靴の中で砂利が生まれているとしか思えない。
とうとう靴を脱いで振り回し、気を取り直してから歩き始めた。
西洋にわとこの花の香りが雲の様になって、あちらこちらに浮かんでいる。
それから間も無く緑のトンネルの様な道に出会った。
道は左右がかなり高くなっていて、そこに古木が立ち並んでいる。そのせいでまるでトンネルの中を歩いている様子になる。緑に銀色の木漏れ日のあしらいが美しい。
長い年月が刻まれた古木の肌を指先で叩くと、木陰で休息して居た白い小さな蝶がゆらりと飛び上がった。








かさなる

2015-06-23 16:40:15 | 写真





雨が葉を叩く音が聞こえる。
この音にかすかにある記憶が目覚める気配があって、だけれどいつもはっきりしないままだ。
嫌な記憶では無いけれど、心弾む記憶でも無いのはうっすらわかる。
何と無く置き去りにされた気分と、雨に叩かれる葉っぱが小刻みに揺れる景色が頭の中に立ち上がってくる。
今目の前に見えている景色と、過去のそれが重なって見えた様に思った一瞬、夕餉のご飯を炊く香りがした。








多重露出

2015-06-22 14:07:42 | 写真







なぜこんな時間になってしまったのだろう?
絶対この時計は間違っている、壊れている。しかし家中の時計を確認しても時計の針は同じ方向を指し示しているので、私の体内時計だけが大幅に狂っているという事なのだろう。
それとも、何者かが私を貶めようとしているのではないか?
時間はもともと不確かなものではないかとずっと疑っている。

さて、最近のカメラはいろいろな機能がついていて、こんなものはいらないと言ったものの、折角あるものを試しておいた方が良いと思い直してつくづくカメラをいじっていたら多重露出がという機能があった。昔はフィルムを巻き戻したり面倒なことだったけれど、簡単に類似の結果が手に入る。
ちょっと面白くなって、最近この機能を時々使っている。

重ねることの意味を何処に求めるか?