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沖縄ジュゴンをめぐる国際的な二つの動き ちゃんぷるニュースから

2019年08月07日 | ジュゴンブログ
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以下、7月23日発行の、ちゃんぷるニュースVol.105に掲載した記事
「沖縄ジュゴンをめぐる国際的な二つの動き」です。
どうぞお読みください。
なお、米国連邦議会の動きに関しては、後日更に詳しい情報をお届けする予定です。

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日本政府が、民意を無視、法制度を押し曲げ、辺野古・大浦湾での米軍新基地建設を
強行するなか、建設を止めるための取組みが国内外で展開されています。
SDCCが関わってきた2つの国際的な動きを紹介します。

<ジュゴンBの死 国際自然保護連合が動き始めた>
まず一つは、3月の今帰仁村近海でのジュゴンの死を受けての、IUCN(国際自然保護連合)の
「種の保存委員会」の「海牛目類専門家グループ」(SSG)の動きです。IUCN/SSGは沖縄の
ジュゴンの生息状況を正式に再評価し、保護のためのAction Planを作成する取組みを開始
しました。SDCCからの沖縄ジュゴンの危機的状況への対応の求めに、ジュゴンや海洋哺乳類の
国内外の専門家が反応し、IUCN/SSGが動きだしたのです。

現在、SDCCの国際担当も関わりながら、過去5年間の沖縄ジュゴンの調査や保護の取組みの
検証が始まっています。沖縄防衛局の辺野古・大浦湾、嘉陽、古宇利島等でのジュゴン調査は
勿論のこと、沖縄県や環境省による調査や保護の取組み、そしてNGOの調査も検証の対象です。
この秋には、IUCN/SSGによるワークショップの開催や沖縄での現地訪問が予定されており、
沖縄県や環境省もワークショップへの参加の意思を示しています。

IUCNが,科学的知見と沖縄ジュゴン個体群の保護の立場から、非常に厳しい評価を行うことは
確実です。辺野古新基地建設によるジュゴンへの影響は勿論のこと、沖縄全体におけるジュゴン
の生息状況や保護対策の問題も指摘されていくはずです。

<米国連邦議会が辺野古の検証を開始した>
二つめの動きは、国防総省の活動を決定する米国連邦議会の国家防衛権限法案に関するものです。
6月27日に連邦議会上院で可決された2020年度同法案の1255条「インド・太平洋地域における
米軍の分散配置についての報告」は、国防総省に対して、在沖米海兵隊のグアム移転を含む、
沖縄、グアム、ハワイ、豪州において進められている「分散配置」についての検証を求め、
また米国会計検査院に対しても検査報告を求める内容になっています。

「辺野古」という文言こそありませんが、辺野古新基地もこの法案の対象になっているのは
確かです。このような具体的な検証や検査の要求は、2018年度国防権限法や2019年度国防権限法
にはありませんでした。

この1255条の背景には、「軟弱地盤の問題」や知事選挙や県民投票で示された「県民の反対の
声」があると言えます。そしてベテランズ・フォ・ピース琉球・沖縄など米国市民社会が、
これらの点を指摘しながら、連邦議会や米国会計検査院に対してロビ―活動を行ってきた成果
だと言えます。SDCCも米国市民団体に文書や情報を提供してきました。

1255条で注目されるのは、「分散配置」の費用、各地域における訓練施設等の適切性、米軍の
プレゼンスに対するホスト国、地域コミュニティー等の評価、分散配置のための施設建設の
現状など、詳細な報告と検証を国防総省に対して求めていることです。

また、検証後、現在の「分散配置」をそのまま実施していくのか、それとも修正が行われるのか
を明確に表明することを国防総省に求めています。修正するのであれば、アラスカ、ハワイ、
アメリカ国内、日本、オセアニアにおける基地施設の代替地を示すなどの修正の提案を両院の
軍事委員会に国防長官が提出することを求めています。

今後、上院の国防権限法案は、下院の国防権限法案と両院協議委員会で一本化され、その一本化
された法案がそれぞれ両院で採決され、大統領の承認の手続きを経て法となります。その過程で
1255条の文言に変更があるかもしれませんが、上院で可決されたこと自体、大きな意義があると
いえます。

このIUCNと米国連邦議会の動きは、米国での「ジュゴン訴訟」の今後の展開や、関連する米政府
海洋哺乳類委員会(MMC)や国家歴史保存諮問委員会(ACHP)への働きかけにおいても重要となり
ます。また埋立て承認撤回の取り消しをめぐる沖縄県の訴訟にも影響を持つかも知れません。
なにより、市民によるキャンプ・シュワブや安和桟橋での抗議行動、国会前でのスタンディング
などの取組みに励ましを与えると言えます。多くの市民と情報を共有していきましょう。

                              (SDCC国際担当 吉川秀樹)

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