ジュゴン掲示板

ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)は日本では沖縄にのみ生息しているジュゴンを守るために活動をしています。

10月24日沖縄県交渉

2016年10月24日 | ジュゴンブログ

24日午前、沖縄県と交渉しました。
辺野古不作為違法裁判が高裁で敗訴し、
最高裁に上告した緊迫した情勢の中で持ちました。
翁長体制が徐々につくりあげられてはいますが、
翁長体制を支えるのだとの現場の意気込みが感じられないので交渉を持ちました。

出席は、辺野古対策課、自然保護課、海岸防災課、水産課の各課長です。

冒頭、「IUCN(国際自然保護連合)第6回世界自然保護会議の結果を受けての要望書」を
日本自然保護会議、ジュゴン保護キャンペーンセンター、
Okinawa Enviromental Justice Projectの三者で共同提出しました。

これは当初予定に入れていなかったのですが、
辺野古の埋め立て土砂の現場を世界の科学者に見てもらうことが必要だとの判断からです。
また、日本政府が「ヤンバルの森」を奄美大島、徳之島、西表島とともに、
来年2月に世界自然遺産として推薦し、
来年夏ごろには、IUCNがユネスコの依頼で現地調査に入ります。

これらの情勢をふまえて、沖縄県に2点の要望を出しました。
1.生物多様性関連の国際会議を沖縄で行うこと。
2.世界自然遺産登録に先立つIUCN専門家の現地視察を依頼すること。

この知事あての要望書を、環境部長から知事まで上げるとともに、
沖縄県としての見解を次回交渉(11月予定)で求めることにしました。

さて、交渉では

1.沖縄県がジュゴン保護対策事業検討委員会を設置する準備を進めていますが、
その位置づけが曖昧な点を追及しました。

ジュゴンの専門家を集めてジュゴン保護を一般的に調査・検討するのではなく、
辺野古・大浦湾のジュゴンの餌場、海草藻場の現状を調査することを求めました。
辺野古を巡る情勢が厳しいなか、また、2年間の事業予算と制約される中で、
翁長体制を支える仕事をこそすべきです。

沖縄防衛局の事後調査(H25年シュワブ水域生物調査報告書」でも、
建設予定地でジュゴンの食み跡が77本見つかったことを認めています。
ここに焦点を当てた仕事を自然保護課はすべきです。
そして、沖縄防衛局の事後調査の問題点を環境影響評価審査会で議論すべきです。

検討委員会が開催された際は、議論内容はホームページで公開することを確認しました。

2.埋め立て承認書の留意事項について、
第2項「外来種対策やジュゴン、ウミガメなどの保護対策は万全を期する」、
第4項「添付図書の変更について」などは事前協議の対象です。
この事前協議については、その内容の是非を判断する権限は
沖縄県が持っていることを改めて確認しました。

ジュゴンの保護対策、とりわけ一番広大な面積を持つ辺野古大浦湾の
海草藻場の保全を沖縄防衛局は一切議論してはいません。
これ一つとっても埋め立てなど認めることはできません。

3.沖縄県の土砂条例とIUCN決議「外来種の侵入経路管理の強化」
との違いを確認しました。

その上で、外来種を含む土砂の審査日数を増やすこと、
人員を増やすことなどを申し入れました。

また、沖縄防衛局が提出している外来種対策は問題があるとの認識を共有し、
事前協議できっちりと対応することを確認しました。

 ジュゴンの保護者より


第33回日本環境会議沖縄大会

2016年10月24日 | 活動報告
10月21日~23日に沖縄国際大学で標題の大会が開かれました。
テーマは「環境・平和・自治・人権 ~ 沖縄から未来を拓く」
参加者は約300人。
海外からの参加者を含めて、学者、研究者、NGO、大学生などが集まりました。


全体像は
琉球新報社説「基地の『不正義』質す契機に」(10月24日)
琉球新報「環境権の確立へ 生態系と自治権考察」(10月23日)
沖縄タイムス社説「『環境権』確立の議論を」(10月24日)

開会集会は22日で、分科会は第6分科会まで。第6分科会の若者分科会は21日から開かれました。
テーマの「未来を拓く」思いが込められた運営になっています。
第1部は「青年と環境」(現状編)で、若者がもとめる安全保障とは?
第2部は「青年と環境」(創造的取組編)で、若者の実践編
第3部は「青年と環境」(展開編)で、「辺境」がつながる・「国境」を乗り越えて
素晴らしい視点の分科会です。

沖縄大会の開催の趣旨に「沖縄から未来を拓く」とのテーマの思いが説明されています。

辺野古新基地建設反対に対する政府の対応は「一人沖縄の問題に留まるものでない」と。
また、「日本の平和をどのように作っていくのかという根源的な問いを発している」と。
民意を無視した愚行が横行するのは「沖縄に対する構造的差別があるから」と断定する。
それを座視することは「それに加担すること」で、「人々の身に必ず降りかかってくる」
「決して次代に引き継いではならない」と。


この開催のテーマと思いを語ったのが、新崎盛暉さん(沖縄大学名誉教授)の
講演「日本にとって沖縄とは何か」でした。
「辺野古新基地建設や高江のヘリパット建設は…沖縄戦以来の日米沖関係史の総括点」
「そのことを日本(ヤマト)の人たちが、どれだけ当事者意識を持ってとらえているか
が、いま、問われています」と、本土の人々が自らの課題とするか否かを突きつけています。


来賓のあいさつは翁長知事(メッセージ代読)と、稲嶺名護市長。
政府の兵糧攻めをはじめとする地方自治攻撃に、
無駄を省き・住民福祉の充実などの実践で
対処しているとの挨拶をしました。

2日間、15時間を超える全体集会、分科会を個々に報告は困難なので、
沖縄大会実行委員会に冊子を取り寄せられたらよいのではないかと思います。
残部があるのではないでしょうか。

印象に残った報告は
桜井国俊さん(沖縄大学名誉教授)が日米地位協定で情報公開が困難な
沖縄の環境NGOには、「Watch Dog」としての役割と戦略的能力の向上が求められる」
と提言されました。
これは私たちNGO全体の課題でもあります。
また、ジュゴン訴訟など民衆の国際連帯の重要性を強調し、
沖縄にとって隣国韓国NGO(グリーンコリア等)との連帯を提案しました。

また、第2分科会「辺野古が提起する法的(国際法を含む)諸問題」で、
大久保規子さん(大阪大学大学院法学研究科教授)の
報告「辺野古が問う日本の環境民主主義~オーフス条約の視点から」です。
オーフス条約は1998年に採択された環境分野の市民参加条約ですが、
日本は批准していません。正式名称は「環境問題における情報へのアクセス、
意思決定への市民の参加及び司法へのアクセスに関する条約」です。
2016年現在47の国と地域が加盟しています。
条約には、3つの柱があります。
「環境情報の公開」「行政決定への参加権」
「環境法違反の行為を司法に訴えることができる」です。
予防原則や持続可能性原則などが適用できる専門的な裁判制度をつくるためにも
国際的な連携の必要性を強調しました。

 ジュゴンの保護者より