金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

来年の企業倒産は増える

2008年12月08日 | 社会・経済

日曜日に米国のオバマ次期大統領はThings are going to get worse before they get better.と述べた。「諸事は良くなる前により悪くなるだろう」ということだ。だから彼は「今は財政赤字を恐れるべきではなく、景気刺激策を取るのだ」と強く言い切っている。米国の株式市場を見ていると、失業者数の予想外の増加等悪材料が出ても、僅かな好材料を見つけて反発している。先読みの好きな株式市場は、実体経済の悪化に先立って下落し、実体経済の回復に先立って上昇を始めるかもしれない。

さて、ファイナンシャル・タイムズは世界最大の信用保険会社アリアンツの来年の企業倒産の見通しを伝えていた。それによると米国企業は昨年28千件倒産し、今年42千件倒産する見込みだが、来年は62千件の倒産が見込まれる。

西欧の状況はもっと悪い。西欧では昨年149千件の企業破産があったが、来年は197千件に増加する見込みだ。Euler Hermesのチーフ・エコノミストによると「自動車、小売、織物、物流」が特に悪いということだ。

またムーディーズはジャンク格付(投資適格以下)の倒産は昨年1%だったが、来年は10%になると予想している。

この記事によると日本の倒産は昨年の14千件から来年は17千件に増えると予想されている。

日本の企業倒産については「帝国データバンク」がホームページで情報を公開している。こrによると昨年の倒産件数は10,959件だ。この数字は「法的整理」のみで、任意整理を含んでいない。アリアンツの調査との差は「任意整理」分と考えられる。帝国データによると、今年1月から10月の倒産件数(法的整理のみ)は10,524件だ。11,12月もかなりの倒産が見込まれるので、昨年の記録を上回ることは間違いない。

諸事悪くなっても、やがて良くなることを期待するのみである。しかしこのような時期はもっと政府が景気刺激策を取らないと、中々諸事良くならないのである。

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