原油価格の高止まりとドル高はこれから海外旅行に行く身にとっては強い逆風ですね。米国の金利高はしばらく持続しそうですからドル高は続くでしょう。一方OPEC+の減産もしばらく続きますから原油価格は1バレル100ドルに向けて上昇しそうですね。
WSJにSaudi Arabia and Russia win big in gamble on oil cutsという記事が出ていました。「サウジとロシアは原油減産の賭けにでて大勝」ということです。
産油国にとって減産し原油価格が上昇すれば、利益を得ることができますが、それは大きな賭けでもあります。何故なら原油価格が上昇すると、新たな参入者が入ってきて、市場シェアを失う可能性があります。また世界的に景気が後退している時は石油需要も低迷しているので、減産しても価格が上昇しないこともあるからです。
しかし昨年10月に始まったOPEC+の減産戦略は今のところ大当たりです。
昨年10月にメンバー国は日量2百万バレルを減産すると発表し、今年5月にはサウジアラビアが率いる小グループは、さらに1百万バレルの減産を導入しました。またサウジは6月にも日量1百万バレルの減産を決めました。
9月5日には、サウジとロシアは減産を年内一杯続けると発表しました。
OPEC+は今年の第4四半期には日量3.3百万バレルの不足が生じ、ベンチマークのブレンドは100ドルに向かうと予想しています。
原油価格の上昇により、この四半期のサウジの原油売上高は、その前の四半期(4月~6月)に比べ1日当たり3千万ドル増え、四半期ベースでは26億ドル増えると予想されています。
またロシアについては、四半期ベースで28億ドルの増収になると予想されます。ロシアについては原油生産コストは12.8ドル/1バレル(昨年実績)ですから、100ドル近い売り上げの大部分は利益です。
ロシアは原油売上の利益をウクライナ侵略戦争の戦費に充当する訳ですが、オックスフォード・エコノミクスによると、今年第1四半期の戦費は1年前に比べて207億ドル増えているそうです。
原油価格の上昇で収入が増えても、焼石に水ですね。
ウクライナでの戦費捻出のために、原油生産を削減し、原油価格の上昇を招く・・・
しばらく原油は高止まり、と考えて良さそうですね。