金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中所得層の失われた10年~米国の話だが~

2012年08月30日 | 国際・政治

11月に大統領選挙をむかえる米国。選挙の行方を左右する中所得層の意識に関心が高まっている。ピューリサーチはThe lost decade of the middle classというレポートで、収入・資産面で痛手を受け、さらにその数自体が減少している中所得層の実態を描写している。

米国の人口調査上中所得層とは「全家計所得の中央値の67%から200%に入る層」とし、200%以上を高所得層、67%以下を低所得層としている。ピューリサーチはこれを参考にしながら、自ら中所得層であると認める人の意見を聞いている。まずこの層の85%は10年前に較べて生活レベルを維持するのがより困難になってきた、という

2001年の中所得層の年間所得の中央値は72,956ドルだったが、2010年には69,487ドルに低下した。純資産額については、2001年に129,582ドルだった純資産額はリーマンショック前には、152,950ドルに上昇し、2010年には93,150ドルに減少した。この額は90年代初め頃と余り変わらず、更には1983年の数字が91,056ドルだったことを見ると、30年前に較べてほとんど増えていない、といえる。

中所得層の純資産が過去10年間で減少しているのに比べ、高所得層においては、2001年に569,905ドルだった純資産額は2010年には574,788ドルへと増加している。これは中所得層の純資産の大きな部分が、自宅であったことによる。住宅市場の崩壊で中産階級は大きな痛手を受けた。

ピューリサーチによると、中所得層の人の62%は、問題の責任は議会にあると感じ、54%の人は銀行と金融機関にあると感じている。また47%の人は大企業に責任があると感じ、39%の人は外国企業との競争が問題だと感じている。ブッシュ政権に責任があると感じている人は44%で、オバマ政権に責任があると感じている人は34%だった。

中所得層でオバマが政権をとる方が自分たちの助けになると感じている人は52%でロムニーが助けになると見ている人42%を大きく上回っている。

中所得層の比率は40年前の61%から2011年現在の51%に10%も減少している。その分高所得層と低所得層の比率が増え、貧富の差が拡大しているといえる。中所得層の苦境はどのように政治地図を変えるのだろうか?

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暑い夏こそ、熱い岩盤浴

2012年08月30日 | うんちく・小ネタ

暑い日が続いている。朝夕は日照時間が短くなり、少し涼しいと感じる時があるが、まだまだ暑い。その暑い中で私は時々スポーツクラブの岩盤浴で体を温めに行く。熱い石の上に大型のバスタオルを敷いて寝ている時間は40分程度だ。汗をかいて喉が渇くとスポーツドリンクを飲んで頑張るのである。

岩盤浴が夏バテにどれほど効果があるのか、科学的なことは知らない。ただエアコンや扇風機の風に当たりっぱなし、冷たいもののガブ飲みは体を冷やし過ぎて、健康に良くなさそうだ。7,8km走って汗をかいた後、岩盤浴で体を温めると更に汗をかいて気持ちが良い。そして火照った体を水風呂に沈める。暑い夏には熱い岩盤浴が似合っている。

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今日のつぶやき

2012年08月29日 | インポート


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クラウドに食われる雇用

2012年08月28日 | うんちく・小ネタ

今朝(8月28日)の朝刊各紙に文部科学省の学校基本調査に関する記事が出ていた。日経の記事によると、56万人の大学新卒者の内、8.6万人が就職も進学もしなかった。更にその内3.3万人は就職・進学の準備をしていないニートである、と判断されると述べている。

若者が安定した職につけない理由は色々あるが、例えばクラウド・コンピューティングの発展もその一つだ、と考えさせる記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。記事はクラウド・コンピューティングに力を入れるアマゾンの話が中心だが、その中に次のような話があった。

サンフランシスコに拠点を置くGoodDataという会社はA.W.S.(アマゾンのクラウドサービス)を使って、6千社の顧客のために見込み客情報の提供、といったサービスを行なっている。GoodDataの社長は「以前であれば各社はこの作業に最低5名が必要だった。つまり6千社では3万人の人員が必要だった。しかし私の会社は180人で総ての作業をこなしている。」

つまり数字上は日本の新卒ニートの数に近い雇用がクラウドコンピューティングに食われてしまった、と言える。

コンピュータに職を奪われるのは、今に始まった話ではないが、クラウドコンピューティングが脅威的な理由は、コストが極めて安いことにある。コストが安いということは、優れたアイディアを持つ人間にとっては簡単にビジネスを立ち上げることができるようになった、ということだ。

タイムズの記事にはCueという会社の例が出ていた。この会社は5億件の電子メール・フェイスブック・会社の文書等をスキャンして、仕事で会う人物等必要とする人物の略歴を作成している。Cueはベンチャー企業だ。Cueの社長は「我々は10名のエンジニアを抱えているが、A.W.S.を使わないとすると、60人のエンジニアが必要だと保証する。今会社は毎月10万ドル以下の費用をアマゾンに払っているが、もしクラウドを使わず自分でシステム構築をするなら、月々2百万ドルはかかったのではないか」と述べている。

アマゾンなどが提供するクラウドコンピューティングは、起業マインドと卓抜なアイディアを持つ若者にとって大きなビジネスチャンスを与える。少ない元手で、素早くビジネスを立ち上げることができるからだ。

それはwinner-takes-all(勝者独り占め)の勝負でもある。新しいビジネスを立ちあげて、多くの雇用機会を奪うか、あるいは奪われる側に陥るか?の苛烈な勝負である。

コンピュータ業界の巨人、グーグルやマイクロソフトもアマゾンと同じようなクラウド・コンピューティングサービスに力を入れ始めている。ということは今後クラウド・コンピューティングの利用料金は益々低下すると考えられる。そしてその結果、益々多くの雇用がクラウドに食われると考えられるのである。

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今日のつぶやき

2012年08月28日 | インポート


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