12月30日(土曜日)元の会社の先輩達と相模の大山(1,252m)を登った。新宿を7時20分の小田急急行に乗り、約1時間で伊勢原到着。駅横でおにぎりを買いタクシーでケーブルカー追分駅まで入る。9時のケーブル始発に乗ると途中の不動前駅でネギなど沢山背負ったボッカのおじさんが乗ってくる。大山は初日の出を見ると参詣者も多いと聞くので、山頂の小屋で味噌汁でも振舞うのか?と想像する。
写真はケーブル終点(下社駅)から阿夫利神社の下社に向かう石段である。真っ青な空が広がり冷気が清々しい。「阿夫利神社は雨降り神社が詰まったものだよ」と長老のFさんが教えてくれる。神社の祭神は大山祇大神(オオヤマツミノカミ)、大雷神(オオイカヅチノカミ)、高オカミ神(タカオカミノカミ)の三神であるが、大山自体を祭った古代の山岳信仰の流れを引くものだろう。
下社の中には地下水がコンコンと湧き出るところがあり、神韻とした雰囲気を醸し出している。更に石段を登ると登山道に出た。
登山道には霜柱が立っている 。この日は下山道で標高4,5百mのところまで霜柱が残っていたので気温は氷点下だったのだろう。登山道は参拝道であり、距離を示す石柱に「何丁目」の刻みがある。頂上に着いて分ったのだが、28丁目が頂上であるので覚えておくと目安になる。さてその20丁目のところが富士見台で富士山が良く見えた。
10時47分大山山頂到着。2,30名の人が山頂や小屋の中にいた。ここで昼食。昼食後は不動尻から七沢へのルートを辿る。頂上直下に開けたところがあり、新宿や品川方面の高層ビルが薄っすらと見えた。大山は東京からよく見える山なのだ。江戸時代に大山詣が盛んだったことも納得できる。
余談だが落語の大山詣というのを思い出した。これは深川辺りの長屋の男連中が連れ立って大山詣をする話である。連中の中に酒癖が悪く飲むと暴れるのがいたので連中はこの男に「暴れると坊主にする」と警告を出しておいた。ところが大山の下の旅籠に着くとこの男やっぱり酒癖悪く暴れたので仲間に坊主にされてしまう。
ここは記憶がはっきりしないのだが、坊主は神社をお参りすることができなかったということで男は山頂に行けなかったのだろう。葬式を扱う坊主が神域に入ることを忌諱されたことは当時では一般的なことだったから。さて腹を立てたこの男一足先に長屋に帰り、奥さん連中に「仲間全員が船遊びの途中死んでしまったので俺は坊主になって帰ってきた。皆さんも尼さんになって後生を弔いなさい」といって奥さん連中を尼さんにしてしまう。
さて暫く下るとススキが茂る気持ちの良いところがあったので一服。
立山で滑落して怪我をして以来始めての山歩きだが、まずこの程度の歩行なら問題はなさそうだ。眼下一杯に広がる関東平野を見ながら元気でいられることを有難く思った。
2時半頃広沢寺(コウタクジ)に到着し、少し歩いて七沢の日帰り温泉 (七沢荘)に入った。お湯はアルカリ単純泉で滑らかで気持ちが良い。ただし入浴料が1,000円で休憩所の料金が500円というのはいささか高い様な気がした。
七沢からはタクシーで本厚木に出て駅ビルでお酒を頂いて今年の登山の締め括りとした。