金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国は北朝鮮を見捨てるのか?

2017年09月28日 | ライフプランニングファイル

北朝鮮の金正恩と米国トランプ大統領の激しい言葉の応酬が続いている。北朝鮮は今週米国が宣戦布告したとみなし、領空外でも米国の爆撃機を撃墜することがありうると警告を発した。一見戦争リスクが高まっているように見えるが、果たしてどうなのだろうか?

中国訪問中の米国商務長官ウイルバー・ロス氏は昨日「中国当局が中国の主要銀行に対し、北朝鮮との取引停止を命令したことは北朝鮮に対する巨大なステップだ」と称賛した。

中国の商業銀行の対北朝鮮取引停止は9月22日に報じられていたが、中国外務省は否定していた。しかしロス氏のコメントで中国が独自制裁を強化しているが明らかになった。

日経新聞は9月27日に北朝鮮が「中国メディアが完全に米国に追随し、露骨に内政干渉している」と激しく非難したことを報じている。

その背景には中国共産党機関紙系の新聞「環球時報」が8月に掲げた社説の中で「仮に北朝鮮が米国にミサイルを発射して米国の領土を脅かし、米国が報復した場合、中国は中立を保つだろう」と述べたことにある。この中国共産党指導部の姿勢は北朝鮮の先制攻撃を抑制する効果はあると思われるが、北朝鮮は猛烈に反発している訳だ。

ロスアンジェルス・タイムス紙に米国の退役海軍大将ジェームス・スタヴリディス氏が語ったところでは、朝鮮半島で通常兵器による戦乱が勃発する可能性は50%で、北朝鮮が核戦争を起こる可能性は10%ということだった。

なお米国国防総省は北朝鮮が通常兵器で韓国を攻撃した場合、戦闘の初期段階で1日当たり2万人の死者が出ると想定している。

中国の銀行取引停止で糧道を断たれた北朝鮮。この状態をミサイル・核開発中止への入り口とみるか、暴発への引き金とみるか?

それは分からない。しかし何等かの形で終局が近づいていることを予感する。

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安倍首相はメイ首相の二の舞か?

2017年09月27日 | ニュース

WSJは社説で「安倍首相の今回の総選挙戦略は英国の総選挙に二の舞になりかねない」と論じている。

今年6月英国のメイ首相は総選挙に打って出た。下院の任期は2020年だったので選挙の必要はなかったが、労働党の党内が分裂していると思ったメイ首相はこれを機に優位を固めようと思い、解散・総選挙に打って出た。

だがこれが誤算で選挙結果はメイ首相率いる保守党が13の議席を失い、労働党は30議席増やした。

WSJは「将来人気が低下することを恐れて支持率が高い時に解散総選挙に打って出る」戦略は、強さではなく弱さの表れで逆効果になりかねないと述べている。

現時点で今回の解散総選挙が自民党にとって裏目にでるかどうかは分からない。

民進党が分裂の危機に瀕し疲弊していることは間違いない。だがここにきて小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」がでてきた。

WSJは希望の党への期待が高く、自民党が議席を減らした場合、安倍首相の信任が揺らぎ、希望の党への離脱者がでて、最後には小池氏が自民党を吸収し、首相の座に就くかもしれないと述べている。

私は現時点でこの見方を全面的に支持する訳ではないが、若干可能性のあるシナリオだとは考えている。

小池知事は保守を宣言しており、安全保障面では安倍首相と同じような考え方だ。だとすると2人の争点は「消費税を10%に引き上げるか」「引き上げないか」ということになる。巨大な票田である東京都で選挙民が「消費税引き上げ反対」を訴える希望の党に大量の票を投じた場合このようなことも起こり得るかもしれない。

WSJは「安倍政権はコーポレートガバナンスの改革を除いては選挙公約を達成できていない」と批判的だ。特に労働法改革が進まず、生産性と賃金が停滞しいてることにフラストレーションを高めている。

確かに安倍政権は労働法改革を推し進めることができなかった。労働法改革を推し進めるには「同一労働同一賃金」という理念、「賃金は労働時間量で決まるのではなく成果物で決まる」という当然の道理を強力に推し進めることができなかったからである。

国会で絶対的な多数を占めた与党政権をもってしても労働法の改革は進まなかったのであれば、与党が議席を減らしたりあるいは連立政権の組み換えなどを模索せねばならない状態になれば日本の労働法の改革はますます遅れることになる。

安倍首相がメイ首相の二の舞になるかどうかは分からないが、今回の総選挙は日本の構造改革面でマイナス面が大きいかもしれない。

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分水嶺を歩く山旅~平標山から谷川岳へ

2017年09月26日 | 

私の山登りの一つのテーマは分水嶺を歩くことである。

もっとも山仲間の間でも分水嶺が話題になることは少ない。この前の土曜日(9月23日)から月曜日(9月25日)にかけて、谷川連峰の平標山から谷川岳まで主稜線を縦走したが、仲間にはこれが日本を代表する分水嶺だという意識はあまりなかったようだ。

日本を代表する分水嶺は日本海と太平洋を分けるものだ。写真は万太郎山から谷川岳を見たもので、左側(北側)の谷の水は日本海に流れ、右側(南側)の水は太平洋に流れる。

本州の分水嶺は津軽半島の竜飛岬から始まり、延々と南下し尾瀬を経由して、利根川源流で北上し、巻機山を経由して谷川岳につながっていく。谷川岳からは連峰最高峰の仙ノ倉山を越えて、平標山から三国峠へと続いていく。

分水嶺上の峰々総てに登山道がある訳ではない。尾瀬の至仏山から平が岳に至る部分などは積雪期でないと藪が深く歩けたものではない。

日本の分水嶺を踏破するなどというのは、夢物語のようなものだ。

とはいうものの歩き易い部分もある。谷川岳から平標山などはその代表格だろう。甲武信岳から金峰山にいたる奥秩父の主稜線も比較的歩き易い分水嶺だ。

分水嶺の右と左で顕著に様相が変わるとは限らない。谷川岳主稜線はシンメトリックな尾根で左右とも同じように切れていて、日本海側・太平洋側の違いが出ているとは思われない。

川端康成の小説では「トンネルを抜けるとそこは雪国」なのだが、山の上は冬になると一様に雪国で、大きな樹木の生育を許さない厳しい地形と気象が支配する世界だ。

それでも私は分水嶺を意識して山旅をしたいと思っている。山登りは何かテーマがあると楽しいからだ。

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解散総選挙、論点は「消費税」or「北朝鮮」?

2017年09月26日 | ニュース

安倍首相は9月28日招集の臨時国会の冒頭で衆議院を解散すると表明した。

日経新聞を見ると「消費増税が最大の論点」となっている。WSJは解散ニュースのサブタイトルにAbe bets voters will rally behind his aligment with Trump on North Koreaという文章を掲げていた。

「安倍首相は北朝鮮問題におけるトランプ大統領との提携を背景に支持が高まることに賭けている」という主旨だ。

さて総選挙の論点は「消費税」になるのか「北朝鮮」になるのか?

これは投票日までの北朝鮮の挑発度合いとそれに対する米国の制裁強化にかかわる点が多いので、この段階でどちらか?とは決めにくい。

「消費税」について安倍首相は「増税分約5.5兆円の半分を教育無償化などの『人づくり革命』にあて、半分は債務の弁済にあてる」と述べている。民進党の前原代表は「増税分の総てを教育無償化や負担軽減にあてる」と主張している。両党の主張は教育無償化等への配分額は異なるが、方向感は同じなので大きな対立軸になるかどうかは疑問だ。一方小池百合子東京都知事が代表に就任する「希望の党」は消費税凍結を打ち出しているので、こちらは対立軸がはっきりしている。

「教育無償化・軽減負担」は、通りの良い主張なので正面切って反対はし難いが、私は無償化の効果や無償化の対象範囲については多角的な議論がなされるべきだと考えている。

たとえば私は財政赤字が積みあがっている中「総ての幼児教育を無償化する必要があるのか?」という疑問を持っている。

つまり教育費を負担できる世帯には負担してもらうという考え方だ。もちろん無論教育費の負担が苦しい世帯には援助するべきである。

支援を必要とする世帯への幼児教育や妊産婦支援効果が、個人的なメリットを越えて、社会全体の経済活動の拡大につながるといった実証的な研究は既に米国で行われている。必要な教育支援は社会的投資なのである。

教育の無償化や負担軽減は精神論だけでなく、投資とリターンという一国のマクロ経済的視点からも判断されるべき事柄なのだろう。

高等教育も投資とリターンという視点から考える必要がある。しかし選挙戦ではそこまで突っ込んだ議論は展開されないだろう。

以上のことを総合すると「消費税の使途組み換え」はあまり突っ込んだ議論にはならず、北朝鮮に対する「圧力強化」を主張する安倍政権と「平和的解決努力」を主張する民進党に対して選挙民がどう判断するか?ということが焦点になりそうだ。

 

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谷川岳主稜線縦走、紅葉と疲れの登山

2017年09月25日 | 

週末に大学山岳部のOB連中と谷川岳の主稜線を縦走した。

9月24日(日)快晴。平標山の家を午前6時7分に出発。

小屋の前から笹穴沢源流の滝が見える。

少し登ると昨日泊まった平標山の家が見えた。

登りやすい木道を辿って6時58分平標山到着。

続く谷川岳最高峰・仙ノ倉山(2026m)には7時48分に到着。

平標山からのなだらかな稜線では紅葉が始まっている。

仙ノ倉山から先は鋭くとがった山の登り降りが始まった。9時6分エビス大黒の頭。10時15分渡戸乗越(1,568m)ここは縦走路で一番標高が低いところだ。

毛渡乗越から標高差400m登って万太郎山に到着したのは11時56分。かなり疲労が溜まってきたのを感じる。

万太郎山頂上から谷川岳を望むが谷川岳は遠い。

14時44分主稜線上の最後のピーク・オジカ沢の頭に到着。ここの降りは鎖のある岩場で気を抜くことができない。

私は肩の小屋への標高差180m程度の急坂をゆっくり登った。というか疲れてきてゆっくりしか登ることができなかった。

16時1分肩の小屋到着。10時間近い縦走となった。標準的なコースタイムでは主稜線の縦走は8時間半程度(休憩時間含まず)。

休憩時間を加えても10時間は少し時間がかかったと思うが、年齢を考えるとまあ良いかと自分を甘やかすことにした。

9月25日(月)晴 午前5時過ぎに小屋を出て、谷川岳頂上・トマの耳(1,963m)にご来光を拝みに行った。頂上までは小屋から5分の距離だ。

朝日が昇る前に昨日歩いてきた主稜線が良く見えた。

正面の山がオジカ沢の頭で左の山は爼嵓上のピークだ(ここは通らない)。オジカ沢の頭の向こうに万太郎山が見え、その向こうに仙ノ倉山が見える。遠くから来たものだと我ながら感心する。

双耳峰の谷川岳のもう一つのピーク・オキの耳の稜線の紅葉が美しい。

肩の小屋も朝もやの中、美しい。

5時30分頃朝日が昇った。

午前7時過ぎに小屋を出て、天神尾根の熊穴沢避難小屋から「いわお新道」を降って谷川温泉に向かった。谷川温泉に到着したのは午前11時を少し回っていた。

いわお新道を降った場所(二俣)から牛首までの間は川原の大石を巻いたりする歩き難い道だったが、牛首を過ぎると杉の植林帯が広がり、歩きやすい道が谷川温泉まで続いていた。いわお新道は急で滑りやすいところが多い。あまりお勧めのルートではないが、谷川岳山頂から谷川温泉(ゆてるめという日帰り温泉がある)に直接降ることができるため、山慣れた人が通る分にはそれなりに使い勝手のある道だ。

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