北朝鮮の金正恩と米国トランプ大統領の激しい言葉の応酬が続いている。北朝鮮は今週米国が宣戦布告したとみなし、領空外でも米国の爆撃機を撃墜することがありうると警告を発した。一見戦争リスクが高まっているように見えるが、果たしてどうなのだろうか?
中国訪問中の米国商務長官ウイルバー・ロス氏は昨日「中国当局が中国の主要銀行に対し、北朝鮮との取引停止を命令したことは北朝鮮に対する巨大なステップだ」と称賛した。
中国の商業銀行の対北朝鮮取引停止は9月22日に報じられていたが、中国外務省は否定していた。しかしロス氏のコメントで中国が独自制裁を強化しているが明らかになった。
日経新聞は9月27日に北朝鮮が「中国メディアが完全に米国に追随し、露骨に内政干渉している」と激しく非難したことを報じている。
その背景には中国共産党機関紙系の新聞「環球時報」が8月に掲げた社説の中で「仮に北朝鮮が米国にミサイルを発射して米国の領土を脅かし、米国が報復した場合、中国は中立を保つだろう」と述べたことにある。この中国共産党指導部の姿勢は北朝鮮の先制攻撃を抑制する効果はあると思われるが、北朝鮮は猛烈に反発している訳だ。
ロスアンジェルス・タイムス紙に米国の退役海軍大将ジェームス・スタヴリディス氏が語ったところでは、朝鮮半島で通常兵器による戦乱が勃発する可能性は50%で、北朝鮮が核戦争を起こる可能性は10%ということだった。
なお米国国防総省は北朝鮮が通常兵器で韓国を攻撃した場合、戦闘の初期段階で1日当たり2万人の死者が出ると想定している。
中国の銀行取引停止で糧道を断たれた北朝鮮。この状態をミサイル・核開発中止への入り口とみるか、暴発への引き金とみるか?
それは分からない。しかし何等かの形で終局が近づいていることを予感する。