金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

疾風勁草と周章狼狽

2013年05月31日 | 投資

「疾風に勁草を知る」という諺がある。困難に出会って人の価値は初めて分かる、という意味の諺で、私が割合好きな言葉だ。今朝FTを読んでいたら、Traders shrug off Tokyo stocks slideというタイトルの記事があった。「欧米のトレーダー達は東京の株価下落を肩をすくめるように払いのけた」という意味だ。昨日日本株は大きく下落したが、欧米の株式市場は堅調だったので、このようなタイトルになったのだろう。記事のサマリーは「米連銀の債券購入の持続と日本の公的年金基金による株式購入期待から株価堅調」となっていた(ただし本文とあまり関係のないサマリーなので少し変な記事だと思うが)。

さてこのshrug off(軽くあしらう、一笑に付す)という言葉を見ながら、私は「疾風に勁草を知る」という言葉を思い出していた。今世界の株式市場が一番注目していることは、米連銀がいつ債券購入プログラムを減少に転じるか?ということで、先週来の日本株の大暴落もその懸念を先取りしたもの、と言われている。一方本家本元の米国株の方は多少の下落はあったものの、非常にしっかりしている。あたかも金融緩和の風向きが変わる中で勁草(強い草)のようにしっかりしている(少なくとも今のところは)のである。

ところが日本株は「疾風勁草」の反対で、あたかも「富士川の戦いで水鳥の羽音を敵襲と勘違いして自走壊滅した平家軍」のように、米連銀の鼻息に振り回されている。「疾風勁草」の反対の言葉が「周章狼狽」かどうかは自信がないが、とりあえずこの状態を「周章狼狽」としてみた。

英語にはIn a calm sea, every man is a pilot.「凪いだ海ではだれでも水先案内人が務まる」という意味で「疾風勁草」の英訳にあてる人もいるようだ。

ところでどうして日本株はかくもボラタイルなのか?ということを考えてみた。「逃げ足の早い外国人投資家が市場を牽引しているから」などという事情通の話は専門家に任せるとして、一般的に分かりやすい説明は絶対的な金利水準が低い、ということではないだろうか。

ある収益資産(株・賃貸不動産など)から年間10の収益が上がっているとする。かりに期待収益率を0.5%とすると、その資産の価値は10÷0.5%で2,000と考えらるはずだ。ここで期待収益率が0.5%上昇して、1%になると資産の価値は10÷1%で1,000になる。つまり価値は半減だ。

金利が同じく0.5%上昇しても、スタート点の金利が高いと資産価値の下落幅は小さい。かりに期待収益率を1.5%とすると10÷1.5%で資産の価値は666.7であり、収益率が0.5%に上昇して2%になると資産価値は500に減少する。下落幅は25%である。つまり永久還元方式で資産価値を計算すると、金利水準が低いほど同じ幅の金利変化でも資産価値に与える影響は大きい。

などと書いている内に、日本の株式市場が開く時間が近づいていきた。昨夜のシカゴ先物市場では日経平均先物は200ポイント上昇しているからとりあえず高く寄るだろう。だが誰でも水先案内人が務まるほど凪いだ海はしばらくもどってこないだろう、というのが私の予測だ。

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5月はまだ終わらず・・・

2013年05月30日 | 株式

ジュリアス・シーザーが暗殺されたのは3月15日。預言者は前から「3月15日は危険だ」と警告を発していたが、その日の朝になっても何も起こらないので、シーザーは「当日になっても何もないじゃないか」と明るく言い放ち、元老院に出かけていった。残された預言者は「3月15日はまだ終わっていません」とつぶやく・・・・・。そして元老院での暗殺。

☆   ☆   ☆

過去何年か5月になると株価が暴落するので、欧米でがspring swoon(春の卒倒)などという言葉が流行っていた。ところが今年は5月初めの雇用統計が堅調だったことなどから、5月の暴落はない、という見方が市場では広がっていたと思う。ところがである。景気が堅調なら、連銀が債券購入プログラムを縮小するのではないか?という懸念が債券投資家の間に広がり、米国金利は急上昇した。当然米国株を売られたが、もっと激しく売られたのは日本株だ。先週木曜日は7%の下落。今日(5月30日)も5%約700ポイント下落して、相場は終わりそうだ。テクニカルには完全なコレクション。今年の5月は大丈夫、と思うには早過ぎたようだ。

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米国10年国債利回り、配当利回りを超える

2013年05月30日 | 投資

昨日の米国株は、連銀の債券購入プログラム削減懸念が国債金利上昇につながったことから、0.7%下落した。S&P500の終値は1,648.36ポイント、CNNmoneyによると、今年はじめて10年もの国債金利が、S&P500の配当利回りを上回った。

今年5月1日時点のS&P500の配当実績32.08を、昨日の終値で割ると、配当利回りは1.95%になる。国債利回りは一時2.23%まで上昇したが、終値は2.12%だった。10年国債の利回りは4月末が1.6%だったから、ここ1ヶ月で0.5%程度上昇している。

4月末のS&P500は1,597.57ポイントで配当利回りは約2%、株価上昇により配当利回りが低下する一方国債金利は上昇という少し気味の悪い現象が起きている。

仮に株式投資家が配当利回りだけを指標として(現実には成長性も指標になるが)、株を買うとすれば、0.5%の市場金利の上昇は株価の20%の下落につながり、0.2%の金利上昇は9%の株価下落につながる(現在のS&P500をベースとして)。

金利上昇懸念は、ノンバンクや銀行など金利敏感銘柄の売りとなる。金利上昇が実体経済の改善に伴うと判断される場合は、目先景気に敏感な株が買われる可能性が高い。だがやがて金利上昇は還元利回りの上昇を通じて株価の頭を抑える。それが市場のメカニズムというものである。

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「メモ男さん」に教えてあげたいエバーノートの活用

2013年05月29日 | デジタル・インターネット

世の中には「メモを取るのが好きな人」っているものですね。先日一緒に乗鞍岳に行ったNさんもその一人です。山を登っている最中でもよく何かを記録しています。帰りの車の中で何故そんなにメモを取っているのか?と聞いてみると、「あの時どれ位時間がかかったとか、どんな服装をしていたかとか、料金は幾らだったなどの情報は次に行く時役に立ちます。私は旅先で書いたメモを帰宅してからノートにまとめています。」という話でした。もっとも山の中で書いたメモは時々自分で書いた字が読めないことがあるらしい。

☆    ☆    ☆

私より5つほど若くかつ理系出身のNさんに伝授するのもおこがましいので、黙っていたが、記録の作成から保存までエバーノートを使えばもっと楽しく、検索もしやすいデータベースができるのに・・・と私は考えていた。

もっとも私は「山登りの記録整理・保存」にはエバーノートは使っていない(私の場合はブログがデータベースになっている)ので、以下は仮想を交えた話であるが、山登りにいかにエバーノートを活用するか?ということを紹介してみたい。

【準備段階】

情報収集

山登りの準備は、次に登る候補の山の資料を集めることから始める。昔は岳人や山と渓谷などのバックナンバーに当たることが多かったが、今はネットで情報を集めることが多い。役に立ちそうだ、と思ったページはエバーノートに「クリップ」しておく。クリップの方法はOSによって若干違うがエバーノートを立ち上げていなくても簡単な動作で取り込むことができる。一々紙にプリントアウトする必要がないので、効率的だし経済的だ。また図書館で借りた本など紙の資料はスキャナーかカメラで取り込んで、これもエバーノートに保存しておく。これで必要な情報を一箇所にまとめておくことができる。

なお私の山仲間にはエバーノートのヘビーユーザーがいないと思われるので、以下のことは実践していないが、エバーノート(の一部)を仲間と共有することで誰かが集めてエバーノートに追加した情報を仲間は色々なデバイスから簡単にみることができるので非常に便利だと思う。

仲間との連絡の記録

登る山とルートが決まれば、具体的なスケジュール、集合場所などについて仲間と連絡を取る。最近は電子メールでやり取りすることが多いが、重要なメールはエバーノートに保存しておく。Microsoft Outlookには「エバーノートに追加」というボタンがあり、このボタンをクリックすることで簡単に取り込める訳だ。取り込んだ電子メールは、PC、タブレット、スマホで見ることができるので、大変便利だ。

【登山中の記録】

メモ帳に山登りの記録を取っている人は多い。何時出発し、何時から何時まで休憩し・・などということを克明に記録することは良いことだと思うが、実は私は紙ベースの記録はほとんど行なっていない。時間の記録は、以前はデジタルカメラの時計を中心に行なっていたが、今はガーミンのGPSの記録に頼ることが多い。スマホのGPS機能を使ったことがあったが、こちらは電池の消耗が激しいので今はやめている。

実行していないが、エバーノートを使った強力なメモは「音声録音」だ、と私は考えている。たとえば花に詳しい人と一緒に歩く時、スマホ上のエバーノートで写真を撮るとともに、花の名前などを録音しておく、という使い方があるはずだ。

なおそのような使い方をするには電池の大きいスマホが必要だが、そのようなスマホの普及が進むと新しい記録方法が広がっていくだろう。

【登山記録のまとめ】

山登りの最後の楽しみは記録を書くことである。記録には他人に読んで貰うことを前提にする場合と自分オンリーの記録に留める場合がある。私は登山記録をブログに公開しているので前者なのだが、ブログ記事は自分のデータベースでもある。つまり「管理ページ」の検索機能を使って簡単に以前登った山のデータにたどり着くことができる。

だから私は自分の記録をわざわざエバーノートに書くことはしていない。ただしNさんのように自分のデータベースに利用、あるいは限られた仲間内で記録の共有、ということであればエバーノートは非常に強力でかつコストの安い情報ツールだということができる。

山登りという一見アナログな世界にもデジタルの波はひたひたと押し寄せている。山登りとはもっとも効率的な手段を使いながら、もっとも非効率なことを行う遊びなのである。

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今日のつぶやき

2013年05月28日 | インポート



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