金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

政治家選びの基準を変える必要がある

2011年02月28日 | 政治

今日(2月28日)の日経新聞朝刊「領空侵犯」というコラムで、長坂 健二郎氏が「首相選びを疑似公選制に」という提案をしていた。

長坂氏はインタビューの冒頭「指導力の欠如、言行の不一致、外交舞台でのみすぼらしい振る舞い、改革への熱意の低さ、日本語を正しく使えない-などなど、この人に任せて本当に大丈夫か、という政治家が目立ちます」と述べている。

続いて長坂氏は「米国の大統領選挙のような長期の政策論争がカギを握ります」と述べるが、ここは少し考える必要がある。確かに前回の米国大統領選挙においては、医療保険改革という大きな論点はあった。だが外交・国防等において民主党・共和党の間にそれ程大きな意見の相違はない。米国の大統領選挙において、候補者は1年近い選挙運動を行なうが、そこで試されているのは、個々の政策の是非ではなく、4年間国を託するに足る人物であるかどうか?というリーダーとしての適性ではないだろうか?と私は考えている。

つまり危機が起きた時にも動揺せず的確な判断を下すことができる冷静さだとか、国民に対する説得力の高さなどが選挙民によりテストされていると見るべきだと私は考えている。

では大統領にはどのような資質が求められるのだろうか?その一つのヒントはジュリアス・シーザーについて書かれた次の言葉(イタリアの歴史の教科書に出ているらしい)だろう。「知性、肉体の健全、説得力、持続する意思、類稀なる寛容、この徳性を兼ね備えた人物は古来シーザーしかいない」

これらの徳目は概ね洋の東西を問わず共通するものだが、一つの例外は「説得力」だ。日本では「沈黙は金」とか「阿吽(あうん)の呼吸」という言葉が象徴するように、説得力は必ずしもリーダーの最重要な徳目ではないようだ。

だがそれは社会の価値基準が均一で、利害関係が単純だった時代の話。価値の多様化が進む時代では、リーダーの説得力というものがもっと重視されるべきである。ましてグローバル化が進む時、他国から有利な条件を引出すには説得力が不可欠である。

シーザーのように5つの徳性を備え持つ人は古来稀だろうが、せめて「説得力」と「持続する意思」位は持った人物を政治家に選びたいものである。

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アストリアホテルで雪山を遊んだ(2)

2011年02月28日 | 

2月27日日曜日、天気予報が良い方に外れて午前中は快晴。この日はホテルでクロスカントリースキーを借りて雪原を走り回ることにした。いや、目標は「走り回る」ことなのだが、実態は結構転倒して雪と戯れる半日となった。

8時半にスキーを借りて、まず光徳牧場の中で足慣らし。私はクロカン2回目だが、他の人は始めて。アルペンスキーの猛者達も勝手がわからず最初は転倒が続発だ。写真右の赤いジャケットが私。

Bokujyou

小1時間足慣らしをしてから戦場ヶ原手前を一周する5kmコースへ出発。写真はスタートしてまもないところにある光徳沼。この付近で転倒したU君は肩を痛めてホテルに戻ることになった。またK君もホテルの付近で遊ぶことにしたので、結局5名で「原コース」と呼ばれる初級者向けコースを回ることにした。

Koutokunuma

国道の手前でコースは直角に左にまがり国道と平行する。この辺りから見る男体山はすっきりとして気持ちが良い。

Nanntaisann

男体山の左側には太郎山が見える(写真の右側の山)。左側のピーク三岳で昨日はこの山の向こうを歩いた。

Sannoutouge

クロカンのルートは三本松の手前で左に大きく曲がる。ここからはアストリアホテルまで緩やかな登りが続く。しかしもう半分以上過ぎたので気分は軽い。

Hayasi

疎林の上に青空が広がりまことに気持ちが良い。私はアンダーウエアとフリースのシャツ1枚という軽装でスキーを走らせた。もっとも「走らせた」といっても主観的な話。時々スケーティングで坂道を疾走するベテランの姿を見るとクロカンも奥が深いなぁ・・・と思う。

ホテルに戻ったのは10時半過ぎ。休憩を含んで5kmのコースを1時間弱で歩いたことになる。

クロカンはアルペンスキーに較べると、簡単に楽しむことができるが、転倒すると結構痛い。何故なら雪が硬い上、平地に垂直に落ちるからだ(アルペンでは斜面に転倒するのでショックが吸収される)。だが抜けるような青空の下、スキーを走らせる爽快感はアルペンとは違った楽しみがある。光徳は私達のプレイグラウンドになるだろう。

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アストリアホテルで雪山を遊んだ(1)

2011年02月27日 | 

この週末は会社の仲間6名と奥日光で雪山遊びを満喫した。ベースは光徳牧場のアストリアホテルだ。一日目は刈込湖・切込湖という山中の氷結した湖を巡るトレッキングとし、二日目はクロスカントリースキーを楽しむことにした。2月26日土曜日快晴。午前7時37分池袋から東武日光行の特急に乗り、湯元行のバスに乗り継いてでアストリアホテルに11時前に到着。荷物をデポして次のバス(11時15分)に乗り、10分程で湯元に到着、ここから刈込湖・切込湖散トレッキングに出かける。山中の池をたどって山王峠からホテルに戻るという一周7.5km程のコースだ。

湯元から15分程登ると国道120号に出た。国道の手前で昼食を取り、アイゼンを付けた。しばらく雪が降っていないので、トレースはかなり固くスノーシューよりアイゼンの方が歩き易い。国道からは右手の夏道上にもトレースはあるが、我々は蓼の海に向かって左の斜面を下った。

Dsc00073

数年前に来た時は蓼の海は完全に氷結し横断できたが、今回は半分しか凍っていなかった。

Dsc00077_2

ホテルの人に聞くと、全国的には雪が多い冬だが日光に関しては例年より雪が少ないという話だ。

12時56分蓼の海と刈込湖の間の峠(1,672m)に到着。ここからしばらく夏道上のトレースを辿り刈込湖に降り立った。午後1時25分刈込湖到着。

Dsc00085

Dsc00088

刈込湖は左手(北側)中央部を除いて氷結している。向こうから湖の上を横断してきた人がいた。我々も氷結した湖を東に向かって横断する。夏道は湖の縁をたどっているが、湖上横断の方が早い。ここは雪の聖域である。

Dsc00091

刈込湖に続いて、切込湖も氷結しているので横断。さらに山腹をトラバースして涸沼の南側に出た。午後2時20分涸沼湖畔到着。ここから山王峠までは標高差130m程だが急登だ。時々鹿の糞が混じるトレースをたどって、午後3時5分山王林道到着。さらに10分程南下すると山王峠についた。午後3時15分である。目の前には男体山がすっきりと聳えている。

Dsc00098_2

山王峠でお湯を沸かし、スープ、コーヒーなどを飲んで大休止。山王峠からは折角担いできたスノーシューを活用することにした。ホテルで借りたスノーシューは爪が小さいのか下り斜面では滑り易い。特に踏み固まって硬くなった雪面では良く滑る。そこで敢えて踏み跡にない雪面をザックザックと歩いてゆく。それがなんとも楽しい。

男体山の山の端を西日が赤く染めるのを見ながら、少し薄暗くなった林の中をたどっていると、アストリアホテルの建物が見えてきた。時計を見ると4時50分。湯元から約5時間7.5kmのスノーハイキングは無事終わった。

☆   ☆   ☆

このコースは数年前昔の会社の山仲間とトライしたことがあったが、スノーシューのみでアイゼンを持って行かなかったので途中で引き返した(気合もはいっていなかったが)。今回は新しい会社のメンバーと準備を整えて挑戦した結果、奥日光の三つの池を巡るトレッキングルートを踏破することができた。天気が良かったことと、メンバーの気合のおかげである。

一つのピークを極める山登りも良いが、山の懐に眠る冬の湖を巡る旅も味わいが深い。奥日光は身近にそのようなチャンスを提供してくれるところである。

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中国は本当に大きい~エコノミスト誌のチャートから

2011年02月25日 | 国際・政治

エコノミスト誌の「今日のチャート」は、中国の大きさを改めて感じさせるものだった。それはGDPや人口で中国の省とそれに匹敵する国を比較したものだ。例えばGDPが一番大きい広東省のGDPは6.650億ドル(市場レートベース)で、インドネシア(7,032億ドル)に匹敵する。GDP2番目は江蘇省5,960億ドルと3番目の山東省5,740億ドルはスイス5,279億ドルに匹敵する。8番目の上海2,500億ドルは一都市でフィンランド一国2,398億ドルを凌駕する。小さな島の香港のGDP2,195億ドルはエジプト2,175億ドルに匹敵する。ウイグル人の反政府的な運動があった新疆省のGDP729億ドルはリビア795億ドルにほぼ等しい。

人口が最大なのも広東州で9,830万人、これはフィリピン一国9,990万人の匹敵する。以下2位の山東省9,370万人はベトナム8,780万人を凌駕し、3位の河南省9,290万人はエチオピア8,480万人を上回る。

一人当たりGDP第1位はマカオで72,110ドルでカタール66,870ドルを上回る。カタールは購買力平価ベースで見たGDPでは世界第1位で145,300ドルだ(CIAファクトブックによる)。第2位の香港は45,580ドルでシンガポール44,910ドルを凌駕し、第3位の上海22,983ドルはサウジアラビア22,850を上回る。

中国で一番貧しい省は貴州で一人当たりGDPは3,335ドルで、それでもほぼインド3,480ドル並みである。

このように見てくると中国は改めて大きな国だと感じる。また地域間の経済力の格差は非常に大きいが、先進地域の豊かさを見ると中国で国を揺るがすほどの反政府運動が起きるとは考えにくいと私は感じている。

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サウジはカネで不満を封じ込めることができるか?

2011年02月24日 | 国際・政治

サウジアラビアのアブドラ国王は療養先のモロッコから3ヶ月ぶりに帰国し、国民の不満をなだめるため、*360億ドルの予算増額を発表した。FTによると、この中にインフレを相殺するための公務員給与の15%引き上げ、債務で投獄されている囚人の救済、学生、失業者への援助が含まれている。資金が豊富なサウジアラビア政府は、2014年末までに教育、インフラ、ヘルスケアの改善のために4千億ドルを使うと約束している。バンク・サウジ・フランシ銀行のチーフエコノミストは「国王は社会福祉の形で富の浸透効果を試みているが、それは中期的な痛みを緩和するアスピリンであり、長期的な住宅問題や失業問題に対する解決策ではない」と述べている。

サウジアラビアでは経済発展が持続しているものの、失業率は10%以上に高止まりし、政府高官はそれが一つの大きな懸念材料であると述べている。

「飴玉はサウジアラビアの公衆の政治的願望を解決するものではない。サウジでは抗議行動、政党、労働組合は禁じられている。我々に必要なものは新しい教育大臣であり、厚生大臣であり、司法制度の改革であり、体系的な法律である」と改革派は述べている。

改革派の中には、アルワリード・ビン・タラール・ビン・アブドルアジーズ王子もいる。彼は世界5番目の大富豪。シティコープやウォルト・ディズニーなどへの投資で著名だ。

金があるから、国民の不満は少ないと思われているサウジアラビアだが、国王から現金を手渡されるだけでは納得しない国民もいるということだ。FTはある改革派の人物の「クエートのような立憲君主制度は今達成不可能な目標ではない」という言葉を紹介していた。金ではなく、国民が「尊厳、改革、表現の自由、透明性」などを求めだすとサウジにも変革がおきる可能性がある。もっとも改革派の動きは今のところ小さいが、87歳と高齢なアブドラ国王に万一のことが起きた場合などは要注意ではないか?と私は考え始めている。

*日経新聞は350億ドルと報じているが、FTの360億ドルを採用した。

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