昨日今日(1月29日)と驚くニュースが流れている。昨日の夕方は甘利経済相再生大臣が建設会社から現金を受け取ったことを認めて辞職。
今日は日銀が市中銀行が新たに積み増す日銀預金に0.1%のマイナス金利を課す(つまり預金していると利息を取られる)と発表した。マイナス金利はECBが既にECBが導入しているが、黒田総裁は先週までマイナス金利の導入のようなことは考えていないと示唆していたので、この発表を受けて市場はびっくりした。ドル円為替は一時121円台半ばまで円安に振れ、株価は大きく振幅したが最終的には日経平均は476円上昇した。
甘利大臣の辞任でアベノミクスはとん挫か?という懸念が高まっていただけに、黒田総裁のバズーカ砲は株式市場にはプラスに働いた。
もっともマイナス金利は総てのセクターにプラスに働いた訳ではない。日銀に大量の預金を置く大手銀行株価は急落。
ところで日銀は一部のエコノミストが想定していた資産買い取りプログラムの拡大ではなくマイナス金利策を選択したのか?
マイナス金利の方がインパクトが強いと判断したからだろうか?
一方ロイターでは「日銀は資産購入プログラムを拡大しようと思ってももう購入する資産がない」というアナリストの見解を紹介していた。
その意見が正しいかどうかは検証が必要だが、日銀は国債を始め色々な資産を持ち過ぎて身動きが取り難くなっている(売ろうとすると自らの売りで値段を崩すとか)ことは事実だろう。
ところでロイターはこの政策は銀行に取ってAll-stick-no-carrotの施策だというアナリストの見解を示していた。Stick carrot(ムチと人参)は日本語でいうと飴と鞭の施策だがno-carrotなので「飴なし鞭のみの政策」である。日銀に預金を置いておくと金利が取られるから貸出に回そうと銀行が行動することを期待している訳だが、経済界の資金需要が乏しいので銀行はお金を貸したくても貸すところがないのである。
果たしてマイナス金利政策だけで銀行融資が増えるかどうかは疑問だ。
国内で資金需要を創造するとすればもっとインフラ整備に予算を使うのが手だろう。
といって無駄な箱ものをこれ以上増やす必要はない。ただし必要なインフラで老朽化しているにもかかわらず、整備不良なものは多いだろう。
また全国で8百万戸を上回る空き家や各地の耕作放棄地なども大きな問題だ。
ある程度移民受け入れを拡大しながら、地方の産業基盤を強化するために官民そろって知恵とお金を出すような仕組みを作っていかないで金利政策頼みでは限界があると私は考えている。