金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

結構ついて回る米国社会保障番号

2014年08月31日 | 社会・経済

少し前に「米国社会保障番号(SSN Social Security Number)はついて回るなぁ」と感じたことがあった。それはアマゾンの電子出版のロイヤリティ受取に関する米国所得税の免除申請に関するものだった。

アマゾンの電子出版物に関するロイヤリティは、米国のアマゾンから支払われる(KDPと呼ばれる出版事業がアマゾンジャパンの事業ではなく、米国アマゾンの事業だから)。ここで問題は米国の源泉所得税は30%(日本の場合は原稿料など雑所得が100万円以下の場合は10%)と高いことだ。黙っていると、少ないロイヤリティの中から30%が米国に税金として取られてしまう。ただし日米間の租税条約により、米国の内国歳入庁(IRS)に対し、所得税の減免申請をすれば、30%の源泉所得税を回避することができる。

今日の本題は「源泉所得税」の話ではないので、細かいところは省略するが、IRSに対して、減免申請の第一段階として、必要となるEINと呼ばれる米国納税者番号の取得を申請したところ、しばらくしてIRSから「申請書(SS-4)のSSNを記入する欄にSSN番号が抜けているので記入して送り返せ」という指示が、郵送されてきた。

私は申請時点で、SSNの欄があることに気が付いていたし、自分が6年弱アメリカに住んでいた時のSSNカードの持ってるが、米国非居住者なので新たに納税者番号を申請すれば、発行してくれるのではないか?とSSNを未記入で送った次第だ。

ところがIRSは私の名前を検索して、SSNの保持者であることを突きとめ、SSNの記入を要求してきた(としか考えれれない)。その後2週間ほど経つがまだIRSから納税者番号の連絡はないので、少し気になりだしているところだ。

ただしこのことは今日の話の本題ではない。今日の話の本題は「日本でも納税者番号は必要ではないか?」ということなのである。さらに問題を絞り込むと、消費税の引き上げにより、痛みの大きい低所得者層を支援するためにも、納税者番号は必要なのではないだろうか?ということが本題である。

政府は今年4月の消費税引き上げによるマイナスを緩和するために、5.5兆円の補正予算を組んだが、その内低所得者向けの「臨時福祉給付金」など消費者向けの直接支援は1割程度にとどまり、残りはインフラ投資に回されることになっている。ところがインフラ関係のプロジェクトについては、技能労働者不足から計画した成果が上がっていないようだ。税金の還付や給付金の正確で迅速な実施のためには、納税者番号という社会インフラを整備する必要があるのだろうと感じた次第。

そしてまたそのインフラを運営するためには、米国では結構な作業が行われているのではないか?と個人的な経験から感じているところである。

ただしこのような「背番号」を整えておかないと、国の重要な政策推進の上でもマイナスが起きているということは認識しておく必要があるだろうと私は感じている。

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若い世代は小口払いでもカード・電子マネーを選好

2014年08月30日 | 社会・経済

若い世代が小口の買い物でもクレジットカードや電子マネーで支払うことを選好しているのは、コンビニエンスストアなどを見ていると実感するところだ。

このことについて、米国での統計的な調査を目にした。日本の状況はどうか?と思ってネットで検索してみると日銀が「最近の電子マネーの動向について」(2012年)というレポートを発表していた。

まず米国の調査(Princeton Servey Research International)の調査を見てみる。

まず消費者全体としては、5ドル以下の買い物でも約1/3のアメリカ人はデビットカードやクレジットカードを使っていることが分った。サンプル調査によると、65%の人は現金で支払うが、22%の人はデビットカードを使い、11%の人はクレジットカードを使っている。

小口の支払を現金で払うかカードで払うかの違いと、所得水準等による差はほとんどない。決定的な違いは年齢差である。サンプル調査によると、1980年~2000年の間に生まれた消費者層Millennial consumersの51%は現金払いよりカード払いを選好している。年齢が上昇するとともに現金払いを選好する割合が増え65歳以上のシニア層になると85%が現金払いを選好する。

現金払いよりカード払いを好む層がカードを使う理由は幾つかある。一つはカード払いで「ポイント」を獲得することができることだ。またカード払いにより「支払記録」を残すことができる。簡単に家計簿をつけることができる訳だ。また若い世代では学生時代から昼飯をプリペイドカードで支払うことに慣れてきた、という慣れの問題もある。

次に日本の状況を日銀のレポートから見てみよう。

調査によると1,000円以下の支払にクレジットカードを使う割合は「二人以上世帯」で4%強、電子マネーを使う割合は6%強合計で10%強である。また「単身世帯」でクレジットカードを使う割合は15%、電子マネーを使う割合は30%弱となっていて、合計では約45%である(2011年)。

また1,000円以下の支払を電子マネーで行っている割合を年齢別で見ると、30代が14%と一番高く、40代は12%、50代は6%弱で減少し、60代では4%、70代では2%にとどまっている。

以上のことから、日米では小口払いに対するカード払い(クレジットカード・デビットカード・電子マネー)の割合には違いがあるものの、年齢層別の利用状況はかなり相似していることが分る。

★   ★   ★

ところで私は統計的には、圧倒的に「現金払い」を選好する年齢層に入るのだが、実はかなり積極的に電子マネーでの支払を利用している。

その理由としては「ポイントがたまる」ということに加えて、「レジでの支払いの手間がかからない」ということがある。レジで小銭入れをかき回して、後ろの人をイライラさせる(本当にイライラしているかどうかは別にして)のはスマートなものではない。

年を取ると小銭を探すといったことが面倒になり、お札を出してお釣りを貰うことが増えるが、これもレジ係に負担をかける上、小銭入れが重たくなるのでスマートではない。

私はスマートなシニアは電子マネーを積極的に利用すべし、と思っているのだが如何なものだろうか?(もちろんハッカーリスクや電子マネーの置き忘れリスクにはご用心)。

★   ★   ★

 

最近出版した電子本

 

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

 

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「岳人」1年間購読してみます

2014年08月28日 | 

山好きの人であれば、一度は手に取ってみたことがあると思われる山岳月刊誌の「岳人」。その「岳人」の発行元が9月号より、中日新聞からモンベル・グループのネイチャーエンタープライズに変わった。このことは2,3ケ月前に知っていたが、モンベル・グループが「岳人」を引き継いだ経緯が、今月号のOUTWARD(モンベル会員向け雑誌)に載っていた。

それによると今年1月に、中日新聞東京本社の事業部長がモンベルを訪れ「発行継続が極めて難しい状況に直面している。今後『休刊』の可能性を含めて発行形態の見直しに入った」と辰野社長に告げた。

その時、辰野社長はとっさの決断として「モンベルで引き受けましょうか?」という言葉を発した。辰野社長の記事「軌跡」?によると、岳人の創刊は昭和22年(1947年)で、当初は京都大学山岳部の有志により発刊され、その後中日新聞に引き継がれた。昭和22年といえば、ヒマラヤの8千メートル峰(アンナプルナ)が初めて登られた年の3年前だ。アンナプルナ初登頂の3年後には世界最高峰のエベレストが登られ、登山ブームが花開いた。「岳人」はその頃から登山家の情報誌としての責務を担ってきた。

しかし時代が移り未踏峰や未踏の難ルートもほぼ登り尽くされてきた感がある。また「山ガール」や「中高年登山」という言葉が象徴するように今もちょっとした登山ブームなのだが、登るところは一般ルートであり、「岳人」の専門的な情報を参考にして登山をするような人はそれほど増えてはいないと思う。

一方で情報媒体としてはインターネットが普及し、登山に関する情報も無料で簡単に手に入るようになった。常識的に考えると事業として「岳人」の発行が成り立つのか?という疑問が起きて当然だろう。

優れたクライマーであった辰野社長は「若き日々、初登頂の記録を『岳人』の記録速報に記載してもらう事がクライマーのステータスを満たす目標だった」と述べている。

では辰野社長は、ノスタルジアから「岳人」を引き継ぐことを決めたのだろうか?そうではない。辰野社長は「今あえて、紙媒体『岳人』の担うべき役割があると信じる」と述べている。

辰野社長は「読み物としてまた写真集としても読みごたえ見応えのある内容にしたい」「僭越だが『山の文芸春秋』あるいは『山のナショナルジオグラフィック』を目指したい」と述べている。

この辰野社長の心意気に共感して私は1年間新生「岳人」を購読するこに決めた。

Gakujin私も辰野社長ほどではないが、若い頃に何回が「岳人」に寄稿し、自分の文章が活字になった時の喜びを味わっている。このような場を後輩たちにも残してあげたいと思う。

今私は電子本を読むことが増えているし、自分でもささやかな電子出版を行っている。電子本の愛好者になりつつあるのだが、それでも紙の新しい本特に写真の綺麗な本のページをめくる時の楽しさは捨て難い。

ささやかだけれど、少なくとも1年間は「岳人」を応援したいと思う。

★   ★    ★

 

最近出版した電子本

 

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

 

 

 

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米国の景気拡大はどこまで続くか?

2014年08月28日 | 金融

今週S&P500は終値で2,000ポイントを超えた。更なる上昇を予想する見方もある中、50%から60%のコレクション(株価調整)が起きるという予想も出ている。CNBCはTice Capital の社長とPeak Theories Reseachの創業者がテクニカル分析から50-60%のコレクションが起きると可能性が高いと予想していると報じている。

2000年以降米国株は2回の大きなコレクションを経験している。ITバブルで2000年9月に1,520ポイントの高値を付けたS&P500は、約2年間で800ポイントまで下落した。下落幅は47%である。リーマンショックの約1年前の2007年10月1,549ポイントの高値を付けたS&P500は2009年2月には735ポイントまで下落した。下落幅は53%である。

この二つの前例から見ると、コレクションが起きると株価が50-60ポイント、つまり1,000ポイントの下落が起きる可能性があるという予想にはある程度の説得力がありそうだ。

次に株価の上昇と景気サイクルの関係を見ると、2000年の株高の前には約10年間景気の拡大期が続いた。2007年の株高の前には6年の景気拡大期が先行した。

全米経済研究所によると、現在の景気拡大は5年間続いている。これは戦後の平均的な景気拡張期58ケ月より少し長くなっている。ただし企業の在庫管理技術が進んだことや物価上昇が落ち着いていたことで、景気拡大期は長くなる傾向があるので、過去の物差しを持って、景気の曲がり角が目の前に迫っていると考えるのは早計かもしれない。

株価に上昇余地があると判断している人とコレクションが迫っていると判断している人の違いは、連銀がいつ政策金利の引き上げに動くかという判断にかかっているのだろう。ただ恐らくどちらの見方に立つにしても、連銀の金融引き締めが「景気拡大を絞殺す」可能性大ということでは考え方は一致しているのではないか?

景気拡大が続くと、需給ギャップ(潜在産出量と実際の産出量の差)がタイトになり、物価と賃金が上昇し、そして連銀がインフレ防止のために政策金利の引き上げに動くというのが過去のパターンだ。

受給ギャップについては、現在の産出量は潜在産出量より5%ほど低いのでまだ景気拡大の余地はありそうだ。エコノミスト誌は需給ギャップから見ると最低でも2年以上景気拡張が続く余地があることが示唆されると述べている。

また失業率と景気拡大期の関係については、過去3回の景気サイクルを見ると、失業率が自然失業率(5%~5.5%)に達してからも約3年間景気拡大が続いていた。エコノミスト誌は「この過去の物差しから見れば、景気拡大は2018年まで続く可能性があるだろう」というJPモルガンの意見を紹介している。

と同時にエコノミスト誌は、リセッションに陥る2つのリスクが軽視されている可能性があると警鐘を鳴らしている。一つは労働需給がタイトになっていて、生産ギャップが一般に考えられているいるより、小さいという可能性だ。もう一つはゼロ金利政策が終了した時の景気に与える大きさである。

株価との関連でいうと、米株は薄商いの中で2,000ポイントという心理的な壁を超えたということは気がかりである。最近の相場を牽引してきたのは機関投資家で個人はサイドラインにいると見られている。

逃げ足の速い機関投資家が、金利上昇とそれに続く景気後退を予知して、ポジション調整に動くとコレクションが起きる可能性が高いと私は感じている。もっとも個人的は50-60%のコレクションが起きる可能性は余り高くないと考えているのだが・・・・。

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【イディオム】Have a place( 百円ショップの話)

2014年08月27日 | 英語

Have a placeは「位置を占める、役割を果たす」というイディオムだ。シンガーポールの100円ショップの立ち位置について、CNBCに次の一文が出ていた。

Shoppers like her are proving that these bargain stores have a place regardress of economic cycles.

「彼女のような消費者が「安売り店」(この場合100円ショップ)が、景気の循環にかかわらず存在場所があることを証明している」

彼女はメディア関係に勤務し、お給料の良い35歳の女性。ダイソーのファンで、日用品やスナック菓子をよく買うという。100円ショップの商品が安いから100円ショップを利用するというよりは、100円ショップが魅力的な商品を提供しているから利用するというタイプだ

シンガポールのダイソーの定価は2シンガポールドル(約160円)だ。100円ショップは、英語ではDollar storesと呼ばれる。米ドルを基準にした呼び方なので、2シンガポールドルが売値でもdollar storeなのだろう。

100円ショップは不況期には消費者に人気が高かったが、景気が上向いてくると客離れが起きるのではないか?という懸念があった。しかしシンガポールでは景気が良くなっても100円ショップ人気が持続しているようだ。

CNBCによると、Euromonitor Internationalは昨年のアジアの百円ショップの市場規模は487億ドルで向こう5年間年間4%のペースで成長するという。アジア市場で成功を収めているのが日本のダイソーだ。ダイソーは日本で2,800の店舗を持ち、海外26か国で860の店舗を展開している。ダイソーの強みは、魅力的な新商品を毎月500アイテム以上投入する商品企画力なのだろう。100円程度の「定価」かつ「低価」で、時々消費者の衝動買いを誘うような商品を継続的に提供できるかどうかが、このカテゴリーの小売業が生き続けることができるかどうかのポイントなのだろう。

米国では百円ショップと安売り店を兼ねたFamily Dollarという小売業を巡る買収の話題が注目を集めている。

もっともこの話を、景気の回復が鮮明になってきた米国でも100円ショップ人気が衰えないことの証明と解釈するべきなのか、あるいは景気が回復基調に入っても多くの消費者の賃金がそれほど上昇していないことの表れと捉えるべきなのか、という点は興味深いところである。

★  ★  ★

 

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「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

 

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