金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

2013年11月ネパール(9)~続Q&A集

2013年11月30日 | 

Q1 トレッキングに必要な装備はどんなものですか?

基本的には日本の北アルプスを10月中旬頃に登る装備を準備すれば良いと思います。4千メートル以上では気温は夜はマイナス5-10度位まで下がる可能性がありますので、それなりの防寒具(ダウンジャケット)は必要です。一方2千メートル程度のトレッキングルートを歩くときはかなり暑く感じます。温度調整がしやすいレイヤーを準備しておく必要があります。

主な装備としては「寝袋」(マイナス5-10程度)「バックパック(リュック)自分用・ポーター担ぎ用」「トレッキングシューズ」です。ポーターに荷物を担いでもらう場合かならずしもバックパックでなくても良いと思いますが、移動等を考えるとバックパックが便利です。サイズは55-60リッターあれば十分です。

また着替え・水・カメラなどを入れた自分で背負うバックパックが必要。こちらは20-30リッターもあれば十分です。

靴は登山靴でも良いですが、トレッキング用の軽くて底が曲がる靴の方が歩きやすいと思います。私はKeenのトレッキングブーツを2年続けてネパールとレッキングに使いましたが、良い靴だと思います。靴といえば気を配りたいのがインソール。こちらは足に合わせて作りましたが、効果はあったと思います。

なお細かいものではコンセント用変換プラグは必携品。日本のプラグでは差し込めません。

Q2 副食品や非常食は必要ですか?

副食品はその人の嗜好によります。私は2週間程度なら日本食を口にしなくても平気なのですが、漬物や梅干しが欲しいと思う人は持参すると良いと思います。なお行動食(エネルギーバーなど)は持っていくべきでしょう。

Q3 写真を撮ることが好きなのですが、どんなカメラを持って行くときれいな写真が撮れますか?

雪や氷に覆われた山の写真をきれいに撮ろうと思うと、朝夕など太陽光が弱い時間を選ぶことになります。日中は日差しが強くて写真が平板になるからです。きれいな写真を撮るためには明るいレンズが一つの決め手です。私は今回ミラーレスのデジタル一眼と単焦点レンズ(広角・標準)を2本を持って行きました。単焦点レンズの方がズームレンズより切れ味の良い写真を撮ることができるからです。またデジタルカメラの一つの欠点はダイナミックレンジが狭いことです。簡単にいうと明暗差の大きな対象物を撮ることが苦手なのです。ただし最近は一度のシャッターで露出の違う画像を数枚撮り、カメラの中で合成するHDR(ハイダイナミックレンジ)という機能を備えたカメラもあります。HDRなどを使うとかなり「見た目に近い」写真が撮れると思います。

持っていくカメラは画質にこだわるならCCDの大きなデジタル一眼レフ、機動性を重視するならミラーレスでしょうね。

Q4 英語オンリーのガイドを使ってトレッキングを考えているのですが、どれ位の英語力が必要でしょうか?またトレッキングに必要が英語を勉強する方法はあるのでしょうか?

通常の状況であれば「ツアーに頼らず個人で海外を旅行できる程度の英語力」があれば問題はありません。つまり「何が食べたい」「休みたい」程度のことが言えれば大丈夫です。問題があるとすれば「病気になった時」や「予想外の事態(今回は選挙に対する反対勢力がゼネストを行うので急に最後のスケジュールを変更するということが起きました)が発生した場合」です。病気については保険会社の手引などに和英対照表がありますから、バックパックの中に入れておくと良いでしょう。「予想外の事態」は滅多にないので腹をくくるしかありません。

トレッキングに必要な英語を勉強する方法はしっかりした英語のトレッキングガイドブックを読むことです。そうするとacclimatize(高度順応)とかrhododendron(シャクナゲ)など日頃目にしない言葉を覚えることができます。またトレッキング計画を作る時かならず地名を含めて英語(ネパール語のアルファベット表記を含む)で作っておくことです。それによってある程度発音(LとRの違い等)が分かり通じやすくなると思います。

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証拠金債務、シーマンショック以降最高レベル。バブルの予兆?

2013年11月30日 | 金融

金曜日(11月29日)には、多少下げたものの強気相場続いている米国株式市場。だが株価の上昇に伴い、バブル化しているという懸念も高まっている。その一つの証拠がマージン・デットと呼ばれる証拠金借入の急拡大だ。

CNBC.comにPlaying with fire? Margin debt most since crisis(火遊び?マージン・デットはリーマン・ショック以降最高レベル)と記事がでていた。

株式を担保に資金調達をして新たに株を買う仕組みをマージン・デットと呼ぶ。通常は担保にする株式の5割まで融資を受けることができる。このニューヨーク証券取引所のマージン・デットの残高は現在4,125億ドルになっている。これはリーマン・ショック前のピーク(2007年6月)残高3,782億ドルを越えた。弱気相場になるとマージン・デットの残高は減少する。2009年にはマージン・デットの残高は1,733億ドルまで減少した。

現在のマージン・デットの残高は、2012年1月の残高より50%高くまた年初の残高から13.2%増えている。

株価の上昇が持続しているので、投資家は上昇相場についていくために(keep things going)株式を担保に入れてまで株の買い増しを図っているのだ。

CNBCはこの現象に二つの見方ができるという。

一つは投資家は市場に自信を持っていて株式担保で資金調達しても、やがて満足行くレベルまで株価が上昇すれば株を売却して、素晴らしい利益をあげた上で債務の弁済ができるというものだ。これは良い見方。だが人間はそこまで利口なのだろうか?

もう一つの見方は投資家は相場を過信して無鉄砲な行動を撮っているのでその結果市場の急速な下落を加速するリスクがあるという見方だ。何かのきっかけで株式市場が下落した場合、担保掛目一杯に借入を行っている投資家はマージンコールと呼ばれる追証を求められる。つまり担保価値が下がると追加担保を入れるか、手持ち株式を売却して借入金を返済することが求められる(他にお金があればそれで返済しても良いが)。リーマン・ショックの一つの引き金がマージンコールだったことを思うと株価上昇に歩調を合わせて大きなコレクションが起きるリスクも増加しているという見方は否定し難いと私は思っている。

その引き金になるイベントとしては、来年早々にはまた大きな問題となる米国政府の債務上限問題と連銀の債券購入プログラムの削減だ。連銀が供給する流動性に支えられている側面が強い今回の上昇相場は、支え棒が外されるとかなり下落する可能性が高そうだ。

★   ★   ★

先週手持ちの外貨建て投信の半分程度を換金する手配を行った。これは加熱相場に対する警戒感というよりは、節税(株式譲渡課税に対する軽減措置の廃止対策や損金枠の活用)目的での行動なのだが、ひょっとすると相場下落対策になるかもしれない。

★  ★  ★

Plyaing with fireは火遊び。If you play with fire you get burnt(火遊びにやけどがつきもの)という諺がある。だが火遊びがやめられないのが人間の性(さが)。

ついでにいうと中国が先週一方的に宣言した「防空識別圏」も相当危険な火遊びだ。中国政府は強気にでることで、なんとか日本と尖閣問題を話し合う場を作り出そうとしている、というアナリストの見方があるが、一発触発のリスクもある。火遊びはほどほどにしないといけない。

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アメリカの強気姿勢は誤算?中国の防空識別圏

2013年11月29日 | 国際・政治

先週土曜日に突然新防空識別圏の設定を発表して、日韓米などを驚かせた中国だが、26日に米軍がB52爆撃機を識別圏内に事前通知なしに飛行させた時は、中国側からのスクランブル発進等警告は行われなかった。

WSJによるとその翌日中国の国防省は「米軍機が識別圏に入ってきたことはモニターしていた」と述べたが、外務省は識別圏内のルールの実施は環境によって変わると述べた。

WSJの記事の見出しはChina qualifies Air-Zone Threats after U.S.Challengeというもの。

「中国はアメリカの挑戦の後、防空識別圏の脅しを弱めた」ということだ。

日本の小野田防衛大臣は「米軍機は通常通り訓練飛行を行っただけで何の変化もなかった。中国の行動は一方的unilateralなものだという見方を日米は共有している」と述べた。

復旦大学(上海)の国際関係論の専門家は「中国はいかなる環境下においても領空外の防衛識別圏において侵入してくる航空機を撃墜する権利を持たない。中国は識別圏に入ってくる飛行機をエスコート(護衛)するだろう」と述べた。

中国空軍がB52の防空識別圏内を飛行したことに対して立ち上がらなかったことについては、中国の比較的オープンなオンラインフォーラムでは、批判の声が上がっている。もっともその前に新防空識別圏設定に対する疑問の声も上がっているが。

国内の強硬派の意見に押されて防空識別圏制定を打ち出した中国だが、米国の言葉と行動による素早い対応は予想外だったのではないか?

強気に出られて防空識別圏を少しトーダウンしたように見えるが油断は禁物。国内強硬派が騒ぎ出すと又々テンションが高まる危険性がある。

たとえば直前のブルンバーグのニュースを見ると、28日に日本の自衛隊機が識別圏内に入った時は中国側から戦闘機と早期警戒機が飛んだということだ。中国の対応は統一のとれたものとは判断しにくい。

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トレッキングは健康促進に最適です

2013年11月27日 | うんちく・小ネタ

9日間のネパールトレッキングから帰って体重を測ってみると1.5kg以上減少していた。今回のトレッキングで体重が減った理由は次の二つのことだろう。

(1)毎日5-6時間歩いていた。ゼイゼイハァハァするほどのところは少なかったので、概ね有酸素運動ができたと思う。スポーツクラブのインストラクターによると、自分の平静時の脈拍+50-60程度の脈拍で運動をする時脂肪燃焼が進むという。トレッキングは、無理なく有酸素運動を続ける一つの最高の手段といえる。

(2)次にネパールトレッキング中は「概ね粗食である」ということが言えるだろう。ロッジの食事はダルバーツと呼ばれる「お米+豆カレー」かヌードルインスープ(汁麺)など外国人トレッカーが好みそうなものが中心だ。料理の味付けは塩味が薄くて、香辛料が強いのが特徴だ。一方甘みは相当強い。これは少し問題だ、と思うのだが食文化の伝統なのだろう。

高所ロッジでは肉はほとんど饗されることはない。タンパク源というと地鶏卵か地元で取れた魚程度である。

トレッキングでは運動と食事の両面から健康促進が進むというのが私の意見なのですが・・・・

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2013年11月ネパール(8)~Q&A集

2013年11月27日 | 

昨年のランタン谷および今年のアンナプルナ内院トレッキングを踏まえて簡単なQ&Aを作ってみた。

Q1 ネパールトレッキングに関するガイドブックは?

日本語では「地球の歩き方 ネパール」(ダイヤモンド社 09-10年版 定価1,900円)がお奨め。ただし紙数の関係から個別のトレッキングルートの説明は粗い。トレッキングルートの細かい内容を紹介している点ではLonely Planet社のTrekking in the Nepal Himalaya(第9版22.99米ドル)が一番。ただし道路開発などにより状況が次々と変化しているので、電子書籍で最新の情報を入手することをお勧めします。私は事前にTrekking in the Annapurna area along the new NATTという本を6ドル程度でダウンロードしてタブレットに入れて持って行きました。NATTはもともとはNatural Annapurna Trekking Trailの略ですが、内容としてはNew Annapurna Trekking Trailsともなっています。

Q2 地図はあるのでしょうか?どうした入手できますか?

ネパールには5万分の1地図があり、主要トレッキングエリアをカバーしています。この地図は日本からアマゾンなどを経由して購入することは可能です。しかし自分の経験からいうと、「購入・配達の時間が1ヶ月位かかった上割高」なので、現地(空港・都心の書店)で購入されることをお勧めします。

Q2 ネパールトレッキングにはどれ位体力が必要ですか?

今回のアンナプルナ内院トレッキングの片道距離は非常にラフな測り方をして約40kmでした。私は全行程を歩いたことはないのですが、島々から徳本峠を越えて横尾から槍ヶ岳まで登ると30km程度でしょうから、概ねこの距離を歩き通す体力脚力があれば大丈夫です。なおヒマラヤのトレッキングルートの方が日本の山道より歩きやすい場合が多いことや一日の歩行時間が短いことを考えると上記ルートを歩き通すことが出来ると十分以上でしょう。なおトレッキングルートには2,3日の短いものもありますから、日本で1,2泊の山小屋泊まりの経験があれば問題はありません。

Q3 トレッキングにかかる費用はどれ位ですか?

今年のアンナプルナ内院トレッキングに要した費用は27,8万円(エコノミー往復・現地ガイド/ポーター付・カトマンズ=ポカラは往復は飛行機)でした。最近送られてきたモンベルのトレッキング案内によるとアンナプルナ・ダウラギリ眺望トレッキング11日間が349,500円(非会員)、エベレスト街道12日間が369,500円になっていました。料金はネパール国内の飛行機の利用状況等で変わりますが、30-37万円位と考えて良いでしょう。

Q4 高山病にかかるリスクはありますか?

「2,500mを越えると高山病は起こりうる」と言われていますから、ネパールトレッキングでは高山病(altitude sickness)にかかるリスクはあります。特にカトマンズから飛行機で標高2,840mのルクラに入るエベレスト・トレッキングは高山病にかかる人が多いです。アンナプルナ内院ルートの最高点は4,130mですが、その手前のマチャプチャレ・ベース・キャンプで高山病のため上に進むことを断念した人(他のパーティ)がいました。

高山病に効く薬としてはダイアモックスDiamoxが有名ですが、これは高度順化acclimatizeには有効だが一旦高山病にかかると効果はないとも言われています。一旦高山病にかかるとデキサメタゾンDexamethasoneが有効だとされています。これらの薬は日本では処方箋なしには買えませんが、英語のガイドブックによるとカトマンズの薬局で買うことが出来ると書いてありました。ただ薬は副作用がありますから、薬に頼らず余裕を持って高度順化を図ることが本筋でしょう。また今回のガイドは高山病予防にはガーリックスープが良いと言っていたので高所ではガーリックスープを飲むようにしていました。その効果があったのかどうかは分かりませんが、高山病にかかることはありませんでした。

Q5 トレッキングに適したシーズンはいつですか?

春の3-5月、秋の10月下旬-11月がベストシーズンです。春は花が美しいのですが、時々雨が降るようです。私は11月に2回トレッキングをしましたが、一度も雨に降られませんでした。なお西(アンナプルナエリア)の方が乾燥アジアに近いので東(エベレストエリア)よりも天気が良いと思います。

Q6 トレッキングにガイドやポーターは必要ですが?

ガイドやポーターを雇わなければいけないという義務はありません。ガイドなし・ポーターなしでトレッキングをしている人も沢山います。ガイドの相場は一日13-25ドル、ポーターは7-12ドル(Lonely Planet)ということですが、ネパールの経済発展とともに相場は上昇すると思います。ちなみに今回のガイドは学生さんで一日1,500ルピー(約15ドル)でした。

なおガイドには通常3日に対して1日の割合でボーナスを払うのが慣例になっているようです。つまり1,500ルピーのガイドを9日使うと1,500×3=4,500ルピー(4,500円)程度のボーナスを支払うのが標準だそうです。だたしこの基準も刻々と変わりますから、タイムリーな現地情報を収集しかないということになりますが。

Q6 現地の治安状況はどうなのでしょうか?

治安状況は諸外国と較べて悪くはないと思いました。今回のトレッキング期間中に総選挙があり、一部の野党の選挙反対主張から、道路封鎖等の選挙妨害キャンペーンが起こりました。マオイストの一派が選挙に反対したのです。しかし外国人トレッカーの移動は守られていた(ツーリスト・オンリーという車は都市部を走っていました)と思います。この国においてトレッキングを含む観光産業の重要性は十分認識されていると感じました。私はネパールは外国人にとってかなり安全な国だと思っています。

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