2月に入って日本の株式市場が堅調になり取引ボリュームが上がっているので、証券会社の株価が上昇している。中でも野村は好調だ。実は昨年の春にM&Aの活発化をにらんで某銀行株から野村株に一部シフトしていたのだが、昨年の日本株式市場低迷で野村の株価も低迷していた。しかも野村のような証券株はβ(ベータ)が高いので市場全般が悪いと下げ幅もきつかった。
では【β】とは何だろう?βとは市場の動き例えばTOPIXの動きに対して個別銘柄の値段がどの程度動くかということを示す計数である。β=1ということはTOPIXどおりの値動きで、β=1.5であればTOPIXが10%動く時にその銘柄の値段が15%動くということを示す。資産価値の変動率が高い程リスクは高いのでβが1を越える銘柄は一般にリスクが高いということができる。
なお少し専門的にいうとβは「(個別銘柄の変動率と市場変動率の共分散)÷市場変動率の分散」という数式で計算される。
というと難しそうだが、時系列的な株価の終値データとエクセルがあると誰でも計算することができる。つまり個別銘柄の1期間(例えば1日、1ヶ月等)の価格変動率(例えば[翌月の終値-当月の終値]÷当月の終値-1で計算できる)とTOPIXの変動率をエクセルで計算し、LINESTという関数を使うことで最小二乗法によるβを算出することができる。(私は使っていないがCD-ROM版の四季報には出ているそうだが、5分程度で計算できるのでわざわざ買うこともないと私は思っている)
野村證券について2001年8月から2007年1月までのTOPIX(正確にはTOPIX上場型投信)に対するβ値を計算すると1.687だった。これは株式市場が変動する約1.7倍の値幅で野村證券の株価が変動するということだ。
実際昨年11月21日の底値(1.858円)から昨日の終値2,770円まで野村證券の株価は49%上昇している。この間TOPIXは18%上昇しているから野村株のβの高さは実感できる。(もっとも統計学的には特定期間だけ取り出して云々しても意味はない。多くの詐欺商法はこのような都合の良い【データの切り出し】が行なわれるので要注意だ)
というようなことは株式投資をしている人なら良く知っていることなので、株式市場が活況になると証券株が買われて一層値段が上がるということなのだろう。
もし株式市場が活況になる前に野村の株を買い、株式市場が停滞する前に野村の株を売るとコンスタントに儲かるのだが・・・・まあそうは行かないは先刻経験済みである。もっとも野村證券の株は配当率が高いので長期保有も悪くない。ジェットコースターが好きな人はβが生み出すアップアンドダウンを楽しむのも一つの方法だろう。