勉強不足で最近まで知らなかったが、2000年に米国のマデレーン・オルブライト国務長官が金正日を訪問した時、金正日は彼女の電子メールアドレスを訊ねたという話は有名らしい。実際北朝鮮ではインターネットが盛んでエコノミスト誌によると若い人の間ではインターネット・デイティング~ガールフレンドとのおしゃべり~もあるらしい。また大部分の学校でコンピュータ・コースは強制的である。
北朝鮮がインターネットに力を入れているのは、インターネットを利用して先進国の先端技術にアクセスできるからだ。しかし平壌の人々はグラスノッチとペレストロイカつまり解放と透明性が旧ソ連を崩壊させたことを忘れていない。
実は北朝鮮は2000年に全国的な光ファイバーによるイントラネット網をスタートさせてブラウザ、電子メール、ニュースグループ、サーチエンジンを備えているが、北朝鮮コンピュータセンターが巨大なファイアウオールを設置しているので、大部分の人はインターネットの世界にダイレクトにアクセスすることはできないのである。直接インターネットに接続できる人は数千人ということだ。
CIAのレポートで読んだのだが、レポートは北朝鮮の情報統制は日本の鎖国時代における和魂漢才・和魂洋才の考え方と同じであり、幕府が西洋の思想的な影響を避けるため科学・技術関係の本を選択して翻訳する蕃書調書を1856年に設置したことと同じだと述べている。
しかし幾ら防ごうとしても、江戸後期から幕末にかけて真理を求める学者や知識人が西欧の思想を吸収した様にそしてそれが幕府の崩壊を加速した様に、北朝鮮の情報コントロール網が破れてソ連の崩壊と同じ轍を踏むことになるかもしれない。
それにしてもCIAは良く日本史や東洋史を勉強しているなぁと思った。諜報活動というものは膨大な既知の公開情報を積み上げることだという基本を着実に実践しているということだろう。