金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

伯父の幸福な人生と死

2007年02月22日 | うんちく・小ネタ

先週北海道は阿寒郡鶴居村に住んでいた母の兄が93歳で亡くなった。伯父の死は北海道新聞等地元の新聞で大きく報じられた。というのは伯父は鶴居村で長年牧場を経営し、ドサンコ・ホーストレッキングの生み親とも言われていたからだ。またタンチョウ鶴愛護協会の初代会長も務めたらしい。

伯父はいわゆる馬産家である。馬産家という言葉は余り聞かないが、戦前は祖父の下で軍馬を育てていた。戦後軍馬の需要がなくなり、また農耕馬もトラックやトラックターに取って代わられたが、伯父はそれでも頑固に数頭のドサンコを育て続けていた。

私は学生時代を含めて何度もこの伯父のもとを訪れ、ドサンコに乗り乳牛の放牧に出かけたものである。伯父の牧場は釧路湿原の北西端に広がり、少し小高い丘に登ると「あー、日本にもこのような広い大地があるのか!」と感動を覚えたものだ。

私は都合が合わずお葬式に出向かなかったお葬式に行った母の話では、多くの会葬者が集まる立派な葬式だったということだ。

伯父は経済的には決して豊かではなかったが、自分の信念を貫いた93年の人生を送った。最晩年こそ体が不自由になりベットの上で過ごさざるを得なかったが、贈られた賛辞を見れば幸福な人生だったというべきだろう。それは私達一族の後輩に人が生きる意味とは何か?ということを今一度考えさせるものだろう。

春になれば釧路湿原を吹き渡る風の中に身を置いて、伯父のことやここを開拓してきた一族のことに思いを巡らせたいと考えている。            

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金利引き上げで株価が上がるのは?

2007年02月22日 | 株式

昨日(2月21日)日銀が金利引き上げを決定したが、今日の日本株市場は大幅に上昇し、日経平均は6年9ヶ月振りに1万8千円台を回復した。日銀が金利を引き上げたのにどうして株価は上がるのか?という素朴な疑問を自分なりに考えることで、市場リテラシー(こんな言葉があるかどうか知らないが)を深めてみよう。

まず今回の日銀の金利引き上げの狙いは何か?ということだが、これは国内物価の上昇に対する牽制球を投げたというよりも、安い円資金を借りて暴れまわるヘッジファンド等のキャリー・トレーダーに対する牽制球という面が強い。先般のG7等でも欧州勢からは安い円が内包する世界の金融界に対するリスクが指摘されていたので日銀としても少しでも答えたいところだったのだろう。

一方福井総裁の発言等を解釈すると、日本の景気は0.25%金利を上げても影響がでないほど強いし、以前日本の景気に対する懸念材料だった米国の方も減速しているが大きな問題はなさそうだということで、日本の金利引き上げが世界の景気の順調さを裏打ちした形になったのだろう。

ところで今世界の主要経済(日本、米国、EU、英国)の足元の金利と今後の見通しはおうなっているかというと、まず日本についてはエコノミスト達は今回の利上げで最低夏まで利上げなし、人によっては来年まで値上げなしという見方である。

次の米国の短期金利はここ6ヵ月5.25%で安定している。しかし今週水曜日に労働省が1月の消費者物価指数は予想より早いペースで上昇していると発表しているので金利引き上げの可能性がちらほらする。

欧州中銀は2月に金利を3.5%に据え置いたが、3月に利上げを再開する可能性がある。足元の物価はゼロゾーンで安定しているが、中銀は信用供与の伸びや内需の伸び等より長い眼でインフレ懸念を見ているからだ。

英国では天然資源に対する強い需要がインフレを着火する懸念があり、現在5.25%の金利が最低もう一回引き上げられる可能性が高い。

以上を見るに日本よりも他の経済圏の方が金利が引き上げられる可能性が高いので、円・ドル/ユーロ等の金利差は拡大傾向にあり、引き続き円安が続くと市場は判断している。従って今輸出関連銘柄も好調であるし、銀行株の様に金利上昇が収益上昇につながると見られる株も好調な訳だ。

また市場は円・ドル/ユーロの金利差が拡大すると見ているので、キャリートレードは減らないことになる。これでは日銀や各国の中央銀行に狙いは達成されないが、ここ暫らくはキャリートレーダーのやりたい放題ということなのだろうか?

ところで昨日ブログに書いたが、今日インド株InfosysのADRを61.59ドルで100口約定した。為替は121.50円で円資金投下額74.8万円である。これも小さな小さなキャリートレード(それ程レバレッジをかけている訳ではないが)である。でも同じ様なことをする人間が多いとこれも馬鹿にならないパワーなのかもしれない。

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