金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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9%成長でも熱くないインド

2007年02月08日 | 株式

今日(2月8日)の日経新聞朝刊大機小機で「先進国では個人投資家を中心に株式投資の考え方に大きな変化が起きている。それは先進国市場ではインカムゲインを追求し、キャピタルゲインは発展途上国に求める投資の流れが始まったことだ」というコメントが出ていた。

今発展途上国の中で最も熱いのが中国とインドだ。中国についてはかなり長い間高い経済成長率を保ってきたが、インドについては昨年初め頃まで多くのエコノミスト達は年率8%を超えるような成長は望みにくいと予想していた。しかし今会計年度のインドの経済成長率は9.2%になりだろうと政府統計局は発表している。(昨年度成長率は9.0%)

問題はこの経済成長率の持続性だが、ウオール・ストリート・ジャーナルの記事によると政府の主任経済顧問ラヒリ氏は「9%は高度成長か?いや、私はそうは思わない。」「高成長はオーバーヒートにつながるか?いや、私の答はノーだ」と言う。それは中国の先例でもあるとおり東アジアではインフレーションに直面することなく高い経済成長を持続させることが可能でこれはゴルディロックな状態だという人もいる。

インドの経済成長を牽引するのは製造業とサービス業で前者の今年の成長率は11.3%で後者は11.2%だ。ただし成長率が低いのはぜんGDPの2割を占める農業部門で今年は2.7%で昨年度の6%から大幅に後退している。これは田舎の貧困なインフラがボトルネックになっているらしい。

そういえば少し前NHKでインドの中間層や貧困層の暮らしを特集していた。特に印象に残ったのは、大手スーパーがスラム街の近くに新しい店を開いたことだ。低所得層は今までスーパーの商品は高値の花だったが、経済成長の余禄が回って来だしたので手が届くところまで来た様だ。

数億人のインドの貧困層が消費に目覚めだし、インフラ投資が行なわれる様になるとインドの経済成長は級数的な弾みがつくだろう。無論道路や港湾施設などのインフラが貧困なので、成長の阻害要因はあるが1,2年前まで多くに人が予想していたペースよりかなり早い速度で発展していることは事実なのだ。

かって香料、宝石、紅茶、綿花等で巨大な富を英国にもたらしたインドは今新しい富を投資家にもたらしてくれるのだろうか?それともそれは一時的なフィーバーで終わるのだろうか?

その答は分からない。しかし答を待つものは熱病に冒されるリスクもないが、永遠に財宝を手に入れることもできない。まことにインドは妖しく魅力的な国である。

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