S嬢のPC日記

2004年から2007年まで更新を続けていました。
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「ブログを使った新しい情報コミュニケーション」の一例

2005年03月27日 | ○○さんにトラックバック!
何でもかんでも総ブログ化計画で、「ブログを使った新しい情報コミュニケーションとは?」という募集が、11番目の「お題」としてあげられています。
「ブログを使った新しい情報コミュニケーション」とは、そのブログのコンセプト、内容、方向性がはっきりしているときに生かされていくものだと思います。
つまり、ブログという媒体の機能をどう生かしていくか、どう生かされていくか、その可能性はブログ自体の内容によって左右されていくものなのではないかと。

「存在に意義があるブログ」gooブログ版 というわたしが上げた記事に紹介した5つのブログの中の一つに、「まっち~の三日坊主日記」があります。
このブログは、「ブログを使った新しい情報コミュニケーション」という機能を持っているとてもいい例だと思われます。

 まず、このブログが発信する「情報」ということでですが。
このブログは、「モラルハラスメントという虐待を日常的に受ける生活をする人」に対して、ブログ主本人が数年に及ぶ日常的なモラルハラスメントの被害者としての立場であったことを通して、「自分自身が『自己を大切にすることに向かい合う』ところに至るまでの経験」や、「そこに行き着くまでの心の動き」を「情報」として手渡しています。
また、被害を自覚してからの行動の記録や、被害からの脱出の方法論としての「情報」も充実させています。
「自分自身を大切に生きよう」という意志と勇気を閲覧者に感じさせ、また具体的な方法論の提示も存在するという、このブログならではの「情報」です。

 次に「HPと、ブログという媒体の違い」ということで。
HPは、整理されてアップした情報と、その内容に対しての閲覧者とのやりとりを掲示板で行うという形になりますが、このブログでは、ブログという形態を利用することで、日々更新によって出される記事ひとつひとつに閲覧者がリアルタイムに感じていくという要素があります。
ひとつひとつの記事内容に対して、同様の被害を体験する人が管理するブログからのトラックバックもあり、相互でのやり取りも行われています。
また、ブログという、更新に高度のテクニックを必要としない媒体を利用していることや、このブログがブログ主本人をも精神的に支えている要素を感じることで、閲覧者が自分のブログを持つことへの発展性につながっていく可能性を持っています。
これがブログという媒体の特性を生かしていることなのではないかとも思われます。

 そして「情報」が「現在進行形」で閲覧者に手渡されていく上で、このブログが閲覧者に込められている「情報以上の要素」がここにはあります。
モラルハラスメントの被害者がその被害に気づくという作業は、実は自己を傷める作業でもあります。それは自己犠牲を持って作ろうとしている幸せが、「砂上の楼閣」という虚像ではないかと気づいていってしまうことからくる「痛み」です。また、モラルハラスメントの被害の中で、すっかり見失ってしまっている「自己」に向かい合うことは、被害の中にいる自分自身と向かい合わなければならない作業でもあるからです。
このことを熟知しているのは、その痛みとのたうちまわりながら向かい合った経験を持つブログ主本人でもあります。
ブログ主本人が熟知しているからこそ、ここであげられる記事群には、常にそうした「被害者たち」への愛情が込められています。
モラルハラスメントの被害者たちがこのブログに出会ったときに、閲覧する記事ひとつひとつに反応していきながら、ブログ主がひとつひとつの記事に込めた閲覧者に対しての愛情を感じることで、その自己を傷める作業で発生する「痛み」を緩和させていくのではないかということ。
これがこのブログでの「情報以上の重要なコミュニケーション要素」を持っていることではないかと思われます。

 このブログ中の「モラルハラスメント」という言葉に出会ったばかりのあなたへという記事には、こんな記載があります。
あなたは悪くない。
あなたはひとりじゃない。
あなたにはのびのびといきいきと輝いて生きる価値がある。
あなたには「安心・自信・自由」を得る権利がある。
それを求める権利がある。
 これは実は、彼女が過去の自分に向かって、再度、伝えていることでもあります。
離婚が成立していない現状の中で、彼女の「モラルハラスメントの被害者」としての人生は、まだ完全に終わったわけではありません。
そうした彼女の人生の経過の中で、彼女は自分が開いたブログで意志表明をし、決意と気持ちを語る。
ブログ主本人が、ブログという場を得ることで、どんどん精神の自由を手にしていこうとしている姿がそこにはあります。
この「現在進行形」の彼女の姿が、潜在的なモラルハラスメントの被害者たちをどんなに勇気づけていくか。
そうした「力」を大きく持っているブログだと思われます。

・経験を通して、決意と共に、閲覧者に対して愛情を込めて発信される具体的な「情報」。
・現在進行形で進む記事群や、トラックバックでの相互交流という「ブログの性質の有効利用」。
・閲覧者に愛情を持って対し意志と勇気を与えていく「コミュニケーション」と、新しいブログを生みだしていく「可能性」。

これらの要素を大きく持ったこのブログは、文字通り「ブログを使った新しい情報コミュニケーション」という機能を持ち、ブログという形態を大きく生かされた形で展開されており、閲覧者への影響力をも内在しています。
モラルハラスメントとは、被害者が第三者に理解されにくい虐待という要素があります。そのため、その被害から勇気を持って脱しようとするときに、モラルハラスメントを知らない第三者から、無理解のために傷つけられる「二次障害」というものも存在します。
このブログが、ブログという不特定多数の目に入りやすい形態で展開されることで、啓蒙活動的要素も含まれていく。

ネット上に存在する多くのブログの中で、存在に大きな意味と意義を持っているブログであるとわたしは思います。

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