福島第一原発事故が起きて、原子力発電所の危険性が日本国民、全世界に理解が広がりました。また、自然災害が原子力発電所装置に甚大な被害を与えることも判明しました。ところが、民主党政権、自民党政権は、事故原因を事実に即して解明し、あきらかにすることを避けています。そのために、安全安心であるとの神話を再度、復活しようとしています。
今までの原子力発電所稼動で、使用済み核燃料、ごみは保管場所の確保、既存保管場所に収容できないくらいに増加しています。その最終処分場の選定は過去の自民党政権時代から、今日まで選定することも出来ずに、なし崩し的に原子力発電所の稼動、核廃棄物の新たな発生が垂れ流され、放置されてきました。このことが事故後盛んに議論となり、再稼動すべきでない、原発は廃棄すべきである。との声になり、多くの国民に支持されています。東京都知事選でも宇都宮候補、細川候補がその点を含めて、廃止すべきと訴えています。
今回の学術会議の検討開始の発表は、歓迎すべき行動です。同時に、このような検討を行うためにも原発の再稼動は行うべきではなく、科学的視点での検討結果、提案を待つべきです。また、再生可能エネルギーへの投資を加速させ、エネルギー政策の抜本的な変更を進めることを要求します。
<東京新聞社説>
長期間、強い放射線を出す使用済み核燃料、核のごみの処分について、日本学術会議が具体的な検討を開始した。最終処分を考える前に、まず暫定保管をどうするか。私たち自身の問題でもある。
使用済み核燃料から再利用できるウランとプルトニウムを抽出する。それが再処理。搾りかすの液体をガラスで固め、金属製の容器に入れて、地中深くに埋める-。
政府は再処理、再利用が前提の核燃料サイクル計画破綻後も、地層処分の方針を変えてはいない。
科学者の立場から役割を担う日本学術会議は一昨年九月、独自に「暫定保管」を提案し、私たちも支持している。
核のごみを数十年から数百年、処分ではなく、いつでも取り出せるように保管しながら、並行して安全に処分できる新技術、方法を探す。技術が確立するまでは、核のごみを増やさない「総量管理」の必要性も唱えている。人体に影響のないレベルになるまでに十万年。そんな先まで地中の変化を予測できないという、科学者の良心に基づく提言だ。
ドイツの地層処分候補地だったゴアレーベンでは、想定しない地下水脈が見つかって、白紙撤回を決めたばかりだ。火山も水脈も多い日本で適地は見つけがたい。処分場候補地の選定は、全国の電力会社などで組織する原子力発電環境整備機構(NUMO)が、自治体から立候補を募る公募方式を採ってきた。開始から十一年。最大二十億円の交付金が出るにもかかわらず、進展がない。 政府は昨年末、国が複数の適地を選び、直接自治体に受け入れを求める積極関与を表明した。福島事故の処理や補償が進まず、国、電力会社への不信がなくならない現状では、候補地の名前が挙がっただけで、大混乱を招くだろう。
だとすれば、現状では学術会議が言うように、最終処分の看板は掲げず、再処理せず、冷却装置付きの容器に入れるなどして厳重に暫定保管するしかない。だが、どんな方法か、コストは、場所は…。検討はこれからだ。総量管理の観点からは、少なくとも最終処分の方法が決まるまで、原発の再稼働はすべきでない。だが、すでに出してしまった膨大な核のごみは無視できない。
学術会議は九月には、技術課題や合意形成についての見解をまとめるという。国民的議論のたたき台として国も注目すべきである。
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