“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

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JR北海道の行政処分と安全対策

2014年01月24日 07時00分53秒 | 臼蔵の呟き

JR北海道の歴代社長が2人自殺しました。そのくらい、このJR北海道の事故、安全対策の軽視、経営問題は深刻なのだと思います。ことの本質は国鉄の解体、民営化であったことはこの間の調査、報告でもあきらかです。しかし、安倍、自民党政権はその国鉄解体、民営化を進めてきた歴代自民党政権の後継者であり、間違っても、自らの政治責任をあきらかにすることはないでしょう。そのこと自身が大きな問題です。

JR北海道は、実態的に鉄道事業を行っているだけであり、その鉄道事業による収益が、赤字ということで、経営幹部は全く事業への関心、人材配置、安全対策、職員教育、技術の継承などを行ってきませんでした。そのこと自身が、今回の事故の続発、検査データの改ざんなどを誘発したことはあきらかです。分割民営化と鉄道事業者としての経営基盤の整備は国が責任を果たすことは当然のことです。

利用者である乗客、道民の安全対策の要求、しっかりして欲しいとの要望は横に置かれたままでした。現経営陣を交代させればよいというものではありませんが、現経営陣の経営責任、改ざんを招いた責任、現場の職員教育をおざなりにし、事故を続発させた安全管理責任は免れないと考えます。政府、国土交通省に責任追及が及ばないような幕引きにも問題があります。

<JR北海道の行政処分と安全対策>

この行政処分で果たして鉄路の安全が確保され、信頼を失ったJR北海道の再生につながるだろうか。

 国土交通省はレール検査データの改ざんなど不祥事が相次いだJR北海道に対し、企業風土も含む幅広い改革を促すため、鉄道事業法による事業改善命令に加え、JR会社法に基づく初の監督命令を通知した。

 コンプライアンス(法令順守)の徹底、安全管理体制の再構築、技術伝承教育の充実―。多岐にわたってはいるが、これほどの問題を起こした鉄道事業者であれば、とうに実施してしかるべき対策ばかりだ。第三者による安全対策監視委員会の設置にしても、経営陣の当事者能力が疑われる現状では、遅すぎると言わざるを得ない。

 経営体制について、太田昭宏国交相は、野島誠社長らの続投が望ましいと述べた。唯一の株主である政府が、早々と現体制の維持を表明した判断にも疑問が残る。年が明け、元社長の坂本真一相談役が亡くなった。自殺とみられている。石勝線特急脱線炎上事故が起きた2011年には当時の中島尚俊社長が自ら命を絶った。経営トップの相次ぐ死という痛ましい事態に直面し、社員ばかりでなく道民も、鉄路の将来に暗たんたる思いを抱いている。

 危機的状況から脱するためには、強力で新しいリーダーシップが求められる。政府の責任は重い。社員一人一人の自覚も不可欠だ。

    ◆あまりに根深い病巣◆

 JR北海道は、改ざん問題についての社内調査の結果を発表した。

 保線関係の社員への聞き取り調査により、全44の保線部署のうち、33部署でレールの検査データが改ざんされていた。これまで判明していた9部署をはるかに上回る。線路は鉄道事業の土台であり、生命線だ。その維持管理に携わる保線現場をむしばむ病根の深さと広がりに言葉を失う。しかも、調査対象となった社員の16%は、過去にデータを書き換えたことがある、と答えたという。

 改ざんは、保線現場で常態化していたとみられても仕方あるまい。

 鉄道会社の資質が問われる状況なのに、「どのように対応するかはこれからの検討」と言う野島社長は、当事者意識があまりに希薄だ。

 問題の発端となった函館線大沼駅での貨物列車脱線事故をめぐり、同社は、脱線現場のデータ改ざんに関わるなどした多数の社員について懲戒解雇を含む処分を下した。行為の悪質さを考えれば、厳しい措置は当然だが、それで終わらせてはならない。

    ◆出発点からの検証を◆

 問題は、改ざんに手を染めるような企業風土がなぜ醸成され、これまで見過ごされてきたかだ。

 国交省は監査を継続する方針だが、少なくとも旧国鉄の分割民営化によってJR各社が発足した時点までさかのぼって病巣をえぐり出さない限り、再発防止はおぼつかない。石勝線の特急脱線事故の後、JR北海道は最初の事業改善命令を受け、安全基本計画を策定した。この時点で既に、本社と現場の意思疎通のまずさ、事なかれ主義や前例踏襲主義といった体質に踏み込んだ分析が行われている。計画を受け、幹部は現場との「膝詰め対話」を行ったが、「資材や人手が不足している」との切実な声をくみ上げることができなかった。

 JR北海道は多角化路線と同時に、慢性的な赤字が続く鉄道分野で合理化を強力に推進してきた。この過程で、安全より収支が優先され、費用のかかる要望は上司に疎まれたとの証言がある。

 現場にあきらめが支配し、声を上げる気力さえなくなっていたとすれば、対話は成立しない。

    ◆国の支援拡充が急務◆

 JR北海道の全路線網の66%は、旧国鉄時代には廃止対象となった輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)4千人未満の赤字路線だ。そもそも鉄道事業の黒字化が困難な上、赤字を穴埋めする経営安定基金の運用益が減少している。だからといって安全を軽視するのは言語道断だが、十分な対策には資金と人材の裏付けが欠かせない。

 JR北海道は昨年11月から特急などの減速減便を実施し、安全投資の前倒しも計画している。必要な措置だとしても、減収やコスト増となって早晩、収益を圧迫するだろう。

 現在の危機は、出発点から無理に覆い隠してきた矛盾が一気に噴き出した結果と言える。抜本的な対策を打ち出さなかった国の責任は免れない。

 多くの道民は安全への不安を感じながらも、代替手段がないため、鉄道に頼るほかないのだ。こうした異常な状態を解消し、道民の信頼を取り戻すには、経営陣への外部人材の起用といった手法もためらってはならない。

 政府も単に命令を発するだけでなく、現路線の維持を前提に具体的な支援策を示すべきだ。


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