“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

アメリカオバマ政権の年頭演説

2014年01月30日 12時58分21秒 | 臼蔵の呟き

歴史の流れが、一国行動主義、アメリカの軍事力に基づく覇権主義を拒否し、政治経済問題の対等平等、平等互恵主義、話し合いによる交渉を主流とする国家関係に変化していることを如実に示しています。歴代アメリカ政権、ブッシュによる軍事力による威圧と、覇権主義の外交方針が破綻したことを示しています。そもそも、巨額の財政負担を伴うアメリカ軍の維持、軍事作戦、戦闘行為はアメリカの財政、資金を浪費し、国力の衰退に拍車をかけています。歴史の教訓は等しく、アメリカにも適応されていることを示しています。

アメリカが軍事力による国連内での発言権維持はこのような流れの中で相対的には弱まることは確実です。イラク、アフガン戦争遂行、シリアへの軍事干渉は更なるアメリカの国力低下、衰退をもたらすことは自明のことです。アメリカ以外の多くの国家にとっては歓迎すべきことであり、歴史の進歩を促進することも確かです。アメリカ共和党議員は歴史の流れ、アメリカに対する他国の評価を素直に受け入れることができないガラパゴス化した議員集団でもあります。国内で、過去の栄光を忘れることができずに、軍事力依存、傍若無人の政治経済主張は、国際的には受け入れられないものであり、そのことを理解する瞬間が必ず来ます。

もう一つは新自由主義政治経済の中心地であるアメリカの政治経済が大きな矛盾にぶつかり、停滞を余儀なくされていることです。失業率の高止まり、貧富の格差拡大、医療保険制度のなどの社会保障制度の解体などを通じて、アメリカ社会の貧困化、低所得化は極度の社会的不安定さを生み出しています。そのことによる地域の荒廃、治安維持の困難さをもたらしています。行動に発達したアメリカの産業、経済社会の未来が、従来型の政治経済では見通せなくなっていることも示しているのだと思います。

アメリカオバマ政権の政策

【ワシントン】オバマ米大統領は28日の一般教書演説で、指導力への国民の信頼回復を目指し、大統領令の行使によって格差の是正と景気回復の加速化を達成するという目標を設定した。大統領の演説は基本的に、勢いを失いつつある自らのアジェンダ(政策目標)に新たな息吹を吹き込み、議会分裂を乗り切り任期を全うするための宣誓となった。その目標は、大統領を議会の言い争いにうんざりしている苦境にあえぐ米国民の擁護者と位置づけ、厳しい経済環境下でも国民が貯蓄や所得を増やし、就職できるようにするための政策を提案することにある。

 「今年は行動の年にしよう」。大統領はこう呼びかけ、「あらゆる人々に機会を与えるというシンプルかつ根本的な信念」の下に国民は団結しているとし、そうした考え方は「世界的な競争と新たなテクノロジーによって」深刻なダメージを受けていると述べた。

 一方、共和党議員は大統領の行き過ぎた権限拡大に警鐘を鳴らし、大統領は議会への歩み寄りを放棄していると指摘した。ジョン・スーン上院議員(共和、サウスダコタ州)は、2010年に制定された医療制度改革法の修正や長く先送りされているキーストーンXLパイプライン建設の承認などの超党派政策について、大統領は「われわれと協力すべきだ」とし、「それどころか彼は全面的に一方的な行動を取ろうとしている」と述べた。ホワイトハウスは、大統領令の行使によって政府運営の新たな退職貯蓄制度を設立することも大統領は検討する意向だと述べた。一方で大統領は、特定の目標は議会承認なしに達成し得ないことを認識し、議会で行き詰まっている諸提案の推進を呼びかけた。中でも進展を求めているのが、移民制度改革や子供のいない低賃金労働者向けの給付付き勤労所得税額控除(EITC)の増額・拡大、連邦最低賃金の現行の時給7.25ドルから10.10ドルへの引き上げだ。そのほか、大統領はキューバのグアンタナモ米軍基地の収容施設閉鎖も再び呼びかけている。ホワイトハウス当局者によると、収容施設を年内に閉鎖できるよう、グアンタナモからの収容者の移動に難しい条件を付けないようよう議会に要請する計画だ。また、大統領は、スタートでの不手際で批判的な向きを勢いづかせ、国民の不信感を招いた医療制度改革法についても強く弁護する構えだという。

 大統領は演説で、自分はワシントンという舞台の単なる1人の役者ではなく、広いビジョンを持った、世論調査で不人気なことが明らかな議会とは独立した存在の大統領だということを示すことを目指しているという。

 これらの政策は、低い支持率にあえぎ、大統領としての能力に対する悲観論が出ている中で、オバマ氏が議会内と一般国民の間でけん引力を回復しようとする広範な努力の一環だ。28日発表された最新のウォール・ストリート・ジャーナル/NBCニューズ共同世論調査結果では、大統領の仕事に対する支持率は43%で、不支持率51%を下回った。不支持率が支持率を上回ったのは4月以降9回のWSJ/NBC調査で8度目だ。

 調査では、オバマ氏が提唱した連邦医療制度改革の基幹部分のスタートで不手際があって4カ月たった今日、大統領任期満了まで残りの期間にオバマ氏が良い仕事をするかどうか確信できないとする有権者が10人のうち6人近くに上った。同氏に楽観的ないし期待するとの回答は10人に約4人だった。

 ホワイトハウスのマクドノー首席補佐官は28日、CBSインタビューで「フルタイムで働き、自分の仕事に邁進している者は、誰も貧困の中で生活すべきでない」と述べた。

 一般教書演説はオバマ大統領がこれまで達成できなかった政策提案の多くを改めてまとめたもので、インフラストラクチャー(社会資本)事業、早期児童教育プログラム、大学進学へのアクセス拡大などを盛り込んでいる。オバマ氏はまた、議会に対し、あらゆる米国の労働者を対象として連邦最低賃金を時間当たり10.10ドルに引き上げるとともに、移民制度の改革法案を可決するよう改めて要請する。

 オバマ大統領の議会への要請は、ホワイトハウスの立法上の野心が劇的に縮小したことを浮き彫りにしている。共和党は、オバマ氏が議会との妥協の模索を放棄したと批判し、大統領の権限の行き過ぎを警告している。

 上院のミッチ・マコネル共和党院内総務(ケンタッキー州)は、最低賃金法案が向こう数週間後に上院に提出された時、共和党はもっと雇用を創出すると信じる独自の代替案を出すだろうと述べた。同総務は「われわれはこれを議論する用意がある」と述べた。同じく共和党のジョン・スーン上院議員(サウスダコタ州)は、オバマ氏はキーストーンXLパイプライン建設や医療保険法に絡んだ問題など「超党派の措置でわれわれと協力すべきだ」と述べた。同議員は「オバマ氏はそうしないで、物事全体に関する一方的行動を話題にしている」と述べた。

 オバマ氏の提案が直面する難題は相当に大きい。昨年の一般教書演説で提案した数十のプランが未完のままであるだけに、米国民はオバマ氏が約束を履行する力があるか懐疑的だ。

 大統領の行政権限の限界ももう一つの制約要因になる。大統領が行政命令を通じて達成できるものは、議会が通過した法案ほどに永続的でない。しかしオバマ氏は、自らのアジェンダの一部が議会で萎えている中で、他の手段によって自らの目標の一部を達成できることを示す必要がある。

<東京新聞社説>

オバマ米大統領の一般教書演説は、米国の内向き志向を一層鮮明にするものだった。秋の中間選挙に向け、国際社会は米国の指導力低下を前提にした秩序づくりを迫られよう。

 元米中央情報局(CIA)職員による際限のない盗聴暴露、オバマケア(医療保険改革法)の致命的な躓(つまず)き-。一連の逆風で大統領の威信が傷つくなか、演説の主テーマが目に見える数少ない成果とされる景気回復に置かれたのは当然だったかもしれない。

 「失業率は過去五年で最低になった。住宅市場は回復している。製造業部門は一九九〇年代以降初めて雇用を拡大している。ここ二十年で初めて、国産原油の生産量が輸入量を上回った。そしてほぼ十年ぶりに、世界の経済指導者は中国ではなく米国を最良の投資国に選んだ」

 年初恒例の施政方針演説に託すオバマ氏のメッセージは過去五回概(おおむ)ね一貫している。アフガニスタンとイラク二つの戦争の終結と未曽有の金融危機克服を前提に中間層の重視、所得格差の是正など「公正な社会観」に基づく米国再生のシナリオだ。「再生はもう間近だ。それを信じてほしい」。締めくくりの一節が国民への最大の訴えだったのだろう。

 「強い米国」「小さな政府」を掲げる共和党との価値観の激しい対立が昨年、政府機能一部停止という最悪の結果に繋(つな)がったことは記憶に新しい。演説でオバマ氏が出した答えは、議会を経ずに可能な大統領令による措置を積極的にとる考えだった。従来の国内融和、協調路線の放棄にも映ることには懸念が残る。

 特に、国際的にも批判が高まる国家安全保障局(NSA)によるサイバー監視については、一部修正する方針を示しつつ「アルカイダなどテロの脅威は依然ある」として継続する判断を示した。行きすぎたサイバー監視については司法の場でも違憲性が払拭(ふっしょく)されていない。より慎重な判断があってしかるべきではなかったか。

 公正社会の象徴とも位置付けられるオバマケアについても900万人の新規加入があった、と自負してみせたが、高い理想を掲げつつ十分な技術的裏付けを欠いていたことへの不信感は残されたままだ。

 中間選挙を意識して攻勢に転じた今回の訴えが有権者に伝わるか否か。まずは、昨年のような予算をめぐる政府機能停止を阻止できるかどうかの手腕が問われよう。


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