“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

格差社会の問題①

2012年02月12日 11時02分21秒 | 臼蔵の呟き
岩波新書「格差社会何が問題か」橘木俊詔教授の論文です。その分析を読んで感じたこと。日本の格差拡大は中曽根自民党政権時代から始まり、小泉政権で規制緩和、自由競争、自己責任論で急激に加速、悪化したということがよく分かります。小泉は「格差はどこの社会にもあり、格差が出ることは悪いことではない」「成功者を ねたんだり、能力のある者の足をひっぱたりする風潮を慎まないと社会は発展しない」と国会の場でも主張しました。国家指導者でこのようにあからさまに「格差を容認する」発言を堂々としたのは珍しいと橘木さんは述べています。そのくらい、自民党は退廃していたのだと思います。また、当時の政治経済の閉塞感が、行き詰まり、方向が見えなくなったのだと思います。当時、フランスでも格差拡大があった。そのときのフランス政権の主張、対応は小泉とはまったく正反対の対応でした。小泉、竹中がとった方針は新自由主義路線の徹底、日本版です。堀江、村上ファンドなどがその代表的事例です。

日本はジニ係数で分析するとポルトガル、イタリア、アメリカ、ニュージランド、イギリス、日本、オーストラリアの順とのことです。当時はニュー時ランドが規制緩和で経済の活性化が進んだと世界的にも話題となっていました。とにかく格差拡大の差では先進国で上位に位置していることは確かです。その元で生活保護世帯の一貫した増加が続いています。95年に60万世帯前後が2005年には100万世帯前後まで増加しています。貯蓄を持たない世帯(2人以上の世帯)2005年22.8%まで上昇しています。貯蓄0世帯の増加は生活困窮の1つの現れと見ることが出来ます。1970年代の貯蓄0世帯は5%でしたから4倍に増加したと見ることが出来ます。自己破産件数は1995年4万件→2003年24万件と6倍に増加しました。


貧困者の増大がもたらす矛盾は、第一に、経済効率が悪化する問題です。労働意欲が悪化、停滞し、社会の活力が奪われること。第二に、失業者の増大により、人材の活用が出来ないことを意味します。第三に、犯罪の増加に連動する点です。社会的不安定化につながります。第四に、貧困者、失業者の増加は、社会的経費負担を急激に増加させます。失業保険給付費、生活保護費の増加をもたらしています。第五に、倫理的な問題です。いじめの増加、階層社会への不安です。以上が、橘木教授の指摘です。2005年時点での分析です。2012年時点でもそのまま正当性が証明できる指摘です。しかも、橘木教授はどちらかといえば競争容認、規制緩和賛同研究者です。それは彼が随所でそのことを自ら記述しています。しかし、その橘木教授がこう分析、指摘せざるを得ないくらい深刻な格差拡大が進行、定着しつつある点です。昨年のニューヨークウォールストリート占拠抗議と通じています。今までの政治経済運営を変える、違う物差しで考えないと日本は社会的な混乱を引き起こす可能性が出てきていることだけは確かです。

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