「労働者派遣法の改正案が、衆院本会議で可決、成立した。企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限が事実上なくなる。「臨時的・一時的」とされてきた派遣労働の位置づけを根本から変えるものだ。」
「政府は、労働時間規制を適用しない雇用制度を新設する労働基準法改正にも意欲を見せている。労働者保護の土台を揺るがす制度改定が次々と進みつつある。この流れを止めなくてはならない。」
日本社会の矛盾を解決するのではなく、その矛盾をさらに拡大し、混乱を広げる。その労働法の改悪が今回の派遣法の改悪です。企業が栄えても、労働者、国民は一生派遣労働、その結果、低賃金に喘ぐこととなります。生活保護世帯の爆発的な拡大、税収の落ち込み、消費税率の増加と悪循環を繰り返す元凶です。
安倍、自公政権が大手企業、大手金融機関の代理人であるということがよくわかる制度変更です。このような改正を止めさせなければならないと思います。そのためにも、このような政策を止める政治、政権をつくらなければなりません。
<信濃毎日新聞社説>労働者派遣法 労働者保護を揺るがす
派遣で働く人たちの不安や反対の声を押し切っての強引な法改正と言うほかない。
労働者派遣法の改正案が、衆院本会議で可決、成立した。企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限が事実上なくなる。「臨時的・一時的」とされてきた派遣労働の位置づけを根本から変えるものだ。
改正案は当初施行日とした「9月1日」までに成立せず、「30日」に修正して参院で可決され、衆院に戻された。政府・与党が9月中の施行にこだわるのは、派遣労働者を保護する新たな制度が10月1日に始まるからだ。
「労働契約申し込みみなし制度」と呼ばれる。違法な派遣労働があった場合、派遣先の企業は直接雇用しなければならない。
現行法では、秘書、通訳など専門26業務は派遣の受け入れ期間に制限がない。一方、それ以外の業務は最長3年の上限がある。専門業務と偽って派遣労働者を期限なく使うのは違法で、新制度の対象になるはずだった。ところが、改正案は専門業務と一般業務の区分自体を廃止するため、前提が崩れ、みなし制度は骨抜きになる。派遣で働く人から憤りの声が上がるのは当然だ。
正規雇用されるのを期待して待っていたが、権利はつぶされた―。「OA機器操作」の専門業務で派遣されながら、お茶出しなどの仕事が少なくない職場で15年以上働いてきた都内の女性は言う。
派遣で働く人たちは、2008年のリーマン・ショックの際に雇い止めが相次ぎ、雇用の不安定さが社会問題化した。それを背景に、民主党政権下の12年の法改正に盛り込まれた企業への規制強化策がみなし制度だ。
企業側は、制度が「混乱を招く」として実施前の法改正を強く求めてきた。それは、違法の疑いがある派遣が横行してきた裏返しとも言える。働く人を守ることよりも企業の意向を優先する政府の姿勢は是認できない。
改正案は、一人の派遣労働者が同じ職場で働く期間を最長3年とするものの、人を替えれば同じ仕事をずっと派遣労働者に任すことができる。正社員を、低賃金で人員整理がしやすい派遣労働者に置き換える動きが進み、不安定な雇用を広げる恐れが大きい。
政府は、労働時間規制を適用しない雇用制度を新設する労働基準法改正にも意欲を見せている。労働者保護の土台を揺るがす制度改定が次々と進みつつある。この流れを止めなくてはならない。
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