最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

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私のコレクション 種村季弘著 『晴浴雨浴日記』 署名本

2014年11月20日 | 署名本





種村季弘さんの著書『晴浴雨浴日記』の装幀は井上洋介さん。




遡ることン十年、編集部に異動して最初の仕事は、前任者からの引継ぎで絵本を形にするものでした。すでに文と絵は依頼済みでしたが、どちらもまだ仕上がってはいませんでした。文は詩人の谷川俊太郎さん、絵は門司港にお住いの川原田徹さんでした。
谷川さんの肉筆原稿がいただけると楽しみにしていたら、谷川さんは早々とワープロを導入なさっていて、プリントアウトしたものがファクスで送られてきたのには、ちょっとガッカリした思いをしました。

テキストと絵が出来あがり、それを絵本の形にしようとした時、1枚の絵を見開きにするとノドにかかる部分の絵がどうしても見えにくくなります。そこで考えたのが合紙製本という製本方式でした。手製本を趣味にしていたので、子どもが描いた絵を1冊の本に製本するような場合、中表に半分に折ったものの裏側同士を糊付けして本に仕立てるというやり方がありました。そうすることで真ん中に折り目は付くものの、ページが全開できるのです。
その製本方式で見積もりを取ってもらい、会社からなんとかOKをもらうことが出来ました。

刊行後、制作課の担当者に、合紙製本は糊入れが手作業で手間がかかることおびただしいので、重版は勘弁してほしいと言われました。それが『かぼちゃごよみ』でした。重版はしましたが2刷どまりで、長いこと「品切れ・重版未定」という状態が続いていました。
昨年4月に復刊ドットコムで再刊され、現在も入手可能です。




『かぼちゃごよみ』が刊行された時に「打ち上げ」を青山のかぼちゃ料理のお店で開いたのですが、谷川さんは戦時中の食糧難の時のかぼちゃの思い出があって、あまりお好きではなかったようでした。

この本が小学館絵画賞を受賞し、1991年11月14日、横浜中華街でお祝いの会を開きました。その時に川原田さんのご友人の種村季弘さんも招待したのです。種村さんとはそれまで面識はありませんでしたが、手元にあった、この『晴浴雨浴日記』にご署名をいただきました。

井上洋介さんには、一緒に下町歩きをした時にご署名をいただき、おふたりの署名が向かい合う形で、イラストもいれていただきました。
















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