サイババが帰って来るよ

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クリシュナ物語(23)

2016-07-10 00:00:54 | 日記
ポニョ:クリシュナがクルクシェートラの戦いで操っていた戦車が、火の神アグニからのプレゼントだって事は知らなかったぜよ。

ヨシオ:特別な戦車やねんやろな。それにハヌマンの旗まで付いているしな。前にも言ったけれど、チェンマイの国営クラフトショップに行って、大きなクルクシェートラの戦いを描いた美しい寄木細工の絵を買おうと思ってよく見たら、クリシュナの戦車の上にハヌマーンがいるんや。それで係りの人に「どうしてクリシュナの物語にラーマヤーナに出て来るハヌマーンがいるんですか」と聞いたら、「自分は知らないからマネージャーに聞いてくれ」と言ってマネージャーを連れて来たんや。それで同じ質問をしたら、マネージャーは「多分普通の猿が戦車に乗っているだけでハヌマーンではないと思う。」とか言ってたな。

ポニョ:それぐらいインドでも、どうしてハヌマーンがマハバラータのストーリーに出て来るか知らない人が多いんやな。自分の国の聖なる物語やのに、その国に住んでいる人達のマハバラータの知識がこんなレベルって、おへそが茶を沸かすぜよ。

ヨシオ:ポニョだって日本書紀の物語の全てを知っているわけではないやろ。人を批判するのは良くないで。

ポニョ:日本書紀で知っている物語といえば天照大神の話やら、ヤマタノオロチの話やら…ぐらいかな?知れてるよな。ところでそのハヌマーンの旗がクリシュナの戦車の上にどうして付いているのかというエピソードを、ちょっと簡単に紹介しよか。

ヨシオ:ラーマ軍がランカに攻め入る準備をしていた時に、ラーマはハヌマーンに薬草を探して持ってくるように命じたんや。ハヌマーンは懸命に探し、やっと見つけてラーマに献上したんやけれど、ラーマは「もうその薬草は要らない少し持って来るのが遅かった」と言ったんや。それでハヌマーンは気を悪くして目の前にあった石ころを足で蹴ったんや。そしてしばらくしてラーマの近くに行こうとしたら、石に蹴つまずいて転びそうになったんやけれど、ラーマが「お前が今、蹴つまずいて、転びそうになったけれど、その原因となったその石は、さっきお前が頭に来て蹴った石だ。お前はまだプライドが高いからそういう行為をしたんだ。今回の生で私と融合する事はまだできない。私が次のアヴァターとしてやって来る時までヒマラヤで修行をして待っとけ。神との融合は今しばらくお預けや。」と言われたんや。それでラーマが肉体を離れた後も、ずっとヒマラヤの洞窟でラーマが戻って来るのを待ち続けて、ラーマがクリシュナ神としてやって来た時に、その戦車の上でクリシュナを護る旗となって仕事をし、ようやく神と融合することが出来たんや。という話やったよな。うろ覚えやけれど。

ポニョ:うん。確かそんな感じやった。ラーマがクリシュナとしてやって来ても、ラーマとは姿が全然違うので「お前はラーマ様じゃないやないか。」とクリシュナに言うところが面白かったぜよ。というところで、今日は雑談をし過ぎて話が長くなりましたが、ここから本題に入ります。当時の建築家のエピソードが出て来ますよ。神様のお話は本当に面白カルカル。

クリシュナは人と交じって生活している時は、人としての役割を果たしているので、人々は神の行為について適当に解釈して好きな事を言っているのだ。それは人の眼を覆うマーヤのせいなのだ。
アグニはクリシュナに別れを告げるとすぐにカーンダヴァの森を目指して出発した。ちょうどその時、インドラは森を守る為に配下の者を派遣した。しかし彼らは森を護る事に失敗し、インドラの元に戻ってその事を報告すると、インドラ自らが手下を引き連れてカーンダヴァの森へ急行し、そこでアルジュナと戦って敗れたのだった。
アルジュナはその名も高きガンダヴァの弓から、インドラを目掛けておびただしい矢を全力をあげて打ち放ったのだった。
数分もしないうち、インドラの部下は雨のように飛んで来る矢が仲間を次々に倒す事に恐れおののき、敵に背中を向けて敗走した。インドラは負け戦の原因が自分の息子のアルジュナである事を知って、恥ずかしさに打ちのめされた。

一方火の神アグニは心ゆくまで森林を焼き尽くし一千枚の炎の舌で一切をなめ尽くして大火を燃えあがらせた。残ったものは灰ばかりとなった。これを見た森の小鳥や獣はなんとか最悪の状況から逃げ出そうとしたものの、それは虚しく生きながら火の中で焼かれてしまった。
クリシュナはいかなる森の生き物も、事に動物や蛇が空き地に逃れ出ないように戦車の乗って森の周囲を回っていた。クリシュナはインドラの友達のタークシャカが火から逃れようとしているのを見つけ、アルジュナを呼ぶとその蛇を指で示して教えた。その隙にタークシャカは逃げ出そうとしクルクシェートラに向かおうとした。しかし、アグニは蛇の後を追い、素早く動ける風の神の応援によって蛇を捕まえた。タークシャカはデヴァとダナヴァの建築家であるマヤに助けを求めた。タークシャカとマヤとがクルクシェートラに向かって歩いている時、クリシュナがそれを見つけて追いかけた。ちょうどその時マヤはアルジュナに降伏し、自分とタークシャカを守って下さいとお願いした。アルジュナが願いを聞き入れると、マヤは感謝の念から御足にひれ伏して言った。

「おお、パンドゥの子息よ。私はあなたの御親切をけっして忘れません。私に出来ることがあれば何事でもさせて頂きます。何かお望みがあれば言ってください。」
アルジュナは少しの間考えて言った。
「マヤよ。それなら言わしてもらうが、ただ一つして欲しい事がある。私の兄が法廷を作る事が出来るようにこの地上に比類なき立派な大会堂を建ててはくれまいか。デヴァもダナヴァもガンダルヴァも一人では建てることの出来ない立派なものでなくてはならない。」クリシュナも言葉を添えた。
「その大会堂にはダルマラジャの座る素晴らしい玉座がなくてはならない。」
邪悪なドゥリョーダナは大会堂のあまりの見事さに羨望の目を見張った。ドゥリョーダナとドゥシャーサナはパンダヴァ一族に対する消すことの出来ぬ憎悪の炎を胸に燃えたぎらせ、パンダヴァを滅ぼそうとの計画を企んだ。
しかしパンダヴァ一族にはクリシュナの恩寵が豊かに与えられていたので、彼らの奸計を見抜き葬ることは、赤児の手をひねるより簡単な事であった。カウラヴァ一族はクリシュナ神に対しても激しい憎悪を抱いた。というのも彼らはヤショーダの息子クリシュナこそパンダヴァ一族に幸運を授けるものだと知っていたからであった。創造主に対して、人間に何が出来よう。神に対して憎悪を抱くのは、人々の無知を示すものに他ならない。