そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

男はつらいよ40 寅次郎サラダ記念日

2006年12月03日 | コメディ


1988年 日本 100分
■2006.11.26 BS2
■監督 山田洋次
■出演
  渥美清(車寅次郎)  倍賞千恵子(さくら)
  三田佳子(小諸病院の女医・原田真知子)  
  三田寛子(真知子の姪・由紀、早稲田大学の学生)  
  尾美としのり(早稲田大学の学生・尾崎茂)
  すまけい(小諸病院院長)
  奈良岡朋子(真知子の母)
  鈴木光枝(小諸の一人暮らしのおばあちゃん)


《story》
長野県、小諸のバス停で一人のおばあちゃんに出会う。そのおばあちゃんに自分の家に泊まれと誘われる。翌朝、おばあちゃんに入院するように、病院の女医がやってくる。寅が説得して、おばあちゃんは病院に行くことになる。女医の真知子は、感謝の気持ちをこめて、寅を自宅に招待し、ご馳走する。たまたまそこに来ていた真知子の姪は、早稲田大学で短歌に学んでいて、短歌の話で盛り上がった。
その後、寅は柴又に戻り、早稲田大学の由紀を訪ねる。真知子も東京に帰っていて、みんなでとらやで夕食をとる。数日後、小諸のおばあちゃんが危篤だという知らせが入る。由紀とともに駆けつけるが、間に合わなかった。

誰とでも気軽に話せて、だれをも笑わせることができる寅さんの話術はうらやましい。旅ってのは、そんな人と人との出会いが楽しいのだろうね。そのためには、自分から声をかけなければならないし、笑い話のひとつやふたつ、すぐに言えなければだめだよね。いつも聞くばかりの人間じゃあおもしろくない。相づちはうてても、それ以上の話を続けられないから、会話が終わってしまう。そんなことを考えていたら、頭が痛くなってきて、めんどくさくなって、さみしくなってしまう。大学で、教授や学生を前にして、話ができる寅さんはすばらしいよ。

あんなに人のために心をこめて何かできる寅さんも大好きだ。私は、人のために何かしたという気持ちはあっても、姿形ばかりこだわったり、それ以上踏み込んで考えていくことができない。ああ、もういいって思ってしまって、その場から逃げ出したくなってしまう。何か聞かれたら、気の利いたことを答えなければと、気をもんでしまう。役に立たなければと空回りしてしまう。でも寅さんは、自分の素直な心の中に、人を思う気持ちがとけ込んでいる。偽善ではないんだ。心からそう思っている。

もう25年以上も前のことだけど、三田寛子がいいと言っていた友人がいた。そう信念を持って言えることがうらやましかった。「お前はだれがいい」と聞かれても、だれも浮かばない。この人がいいという、強い気持ちが生まれない。三田寛子がいい、という人はあまり聞いたことがない。山口百恵だとかアグネス・チャンとかみんなが騒ぐひとならともかく、あまり話題にならないアイドルを、この人がいいとさらっと言えるその友人がかっこよく見えた。今でも私は、「これ」と言えるものがない。好きなアイドル、好きな曲、好きな映画・・・・とことんいいと思い、気が狂わんばかりにいいと思う。そんな思い方、しかもみんなが思うからではなく、自分だけがそう思うものがしっかり持てない。それは深さがないからだと思う。五感がしっかり使えていないからだと思う。五感を通して、考えを深めていないのだ。だから、映画を見てもその場だけで、すぐに忘れてしまう。



最新の画像もっと見る