■2007年 日本 118分
■2009.1.25 DVD
■監督 松尾スズキ
■出演
内田有紀(佐倉明日香) 宮藤官九郎(鉄雄)
蒼井優(ミキ) りょう(江口) 中村優子(栗田)
高橋真唯(サエ) 馬渕英俚可(チリチリ)
筒井真理子(金原) 宍戸美和公(水原)
平岩紙(山岸) 塚本晋也(元旦那)
平田満(俳優) 徳井優(白井医師)
峯村リエ(婦長) 武沢宏(芸人)
伊勢志摩(白井医師) 箕輪はるか(患者)
近藤春菜(明日香の友達)
庵野秀明(松原医師) 河井克夫(内科医)
俵万智(旅館の女将) しりあがり寿(旅館の番頭) 川勝正幸(旅館の板前)
しまおまほ(旅館の仲居) 妻夫木聡(コモノ) 大竹しのぶ(西野)
《story》
「わたしは ここで 生まれ変わるのだ」
フリーライターの明日香は、目覚めると、ベッドの上で手足を拘束されていた。そこは、閉鎖病棟内の保護室、通称「クワイエットルーム」と呼ばれている部屋だった。締め切り迫った原稿書きに追われていたこと以外は覚えていない。そこからは、担当の先生と同棲相手の鉄雄の同意がないと出られない。自ら命を絶とうとした者や、食べたくても食べられないミキ、元AV女優の西野など、個性的な患者がたくさんいた。それに、規則べったりの冷めた看護士りょう。鉄雄はなかなか面会に来ない。弟分のコモノが来たとき、ショックで全身蕁麻疹が出た。閉じこめようとするりょうを論破し、ここでの生活に少し自信を持ち始めた矢先、西野が勝手に部屋に入り、鉄雄からの手紙を読み始めた。隠されていた記憶が蘇る。確かに自分は自分の意思で薬を多量に飲み死のうとした事実。
何がまともで何が変?
現実は何なのかよくわからなくなる。「まとも」って何なのか、「変」ってどういうことなのか。この閉鎖病棟の人って変。でも、世の中にいっぱいいる人、どこにでもいる人のように思える。人のことを考えず、人の迷惑になることばかりする人、自分のことだけを優先する人。何かのこだわり続ける人、趣味の世界にどっぷりつかっている人。自分の命を体を大事にしない人。最後のこの一点が一番の違いかもしれない。実際のところ、この映画は何を言いたかったのかよくわからない。中にいる人が変で、外にいる人がまともとも言えない。死のうとしているのかそうでないのかのちがい。死んではいけないと自覚したとき、自分の進むべき道を理解したとき、ここから退院できるということなのだろうか。
公式サイト「クワイエットルームにようこそ」
外は木枯らし吹き荒れ、散歩どころではなかった。それほど冷たくはなかったけど、風邪は強かった。山の竹が大きくしなっていた。私の部屋は北西の角。窓はいつもブラインドが下りていて、昼間でも電気をつける。窓を開けると、すぐ隣の家の窓があり、中が丸見えだ。だからめったに開けない。窓は二重窓だから、外の音はほとんど聞こえてこない。散歩に出かけようかなと、ブラインドを少し開けて外を見る。遠くの木が大きく揺れている。今日は外に出られない。子どもの頃から、窓から外を見るのは好きだったが、ここからは隣の家の窓があって、じっと見ることができない。ほとんど開かずの窓。こんな日は、やっぱり映画を見て、本を読んで過ごすしかないのだろう。