アカネさんシリーズ001 恋のタイムマシーン 122訓練の成果! 「これから、アンパンじいちゃんのお風呂の時間よ」 「はい、あのね。今日も訓練室で飴を椅子において……」 「また! わたし、注意したでしょう。あのね、アンパンじいちゃんはね、体を動かせば、物が食べれると覚えてしまってね。言ったでしょう。夜中に、配膳室に電気が漏れてて、どうしたのかと思ったら、車イスのアンパンじいちゃんだったのよ。両膝に牛乳とかプリンとか、集めて、ニターと喜んでいるんですよ」 「ええ、どうも」 「あのね、見つけたからよかったものの、そのまま、食べていたら死んでいたかもしれないわよ」 「でも、ぼくの訓練が成功しているということですね。車イスに自力で乗ることができたというわけですよね」 「それは……、訓練の方はそれでいいかもしれないげど、夜中に、膝に牛乳とかいっぱい乗せてニターと笑っているアンパンじいちゃんのこと考えてくださいよ」 「でも、寝たきりでいるより元気でいいわよ」と茜。 「そうですか……、訓練の人はそれでいいんでしょうけど、これ以上、食べ物で刺激しないで下さいよ」 「はい」 「でも、食べ物の刺激とうよりも、食いしん坊みたい」といい、笑う茜。 その横でベッドでテレビを見ていた重度のリウマチ患者の西村という老婆がいう。 この老人ホームのベッドはキャスターがついていて、デイ・ルームにベッドごと出てきている。 正確にいえば、介護職員が移動させてくれた。 「こんなことを言ってなんですが。三日前の夜、たしか午後二時ごろ、居室の入口の方から、手がぬっと出てきたんですよ」
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