ニュース雑記帳

日々のニュースからテーマを拾い雑考してます

昭和天皇の『靖国神社A級戦犯合祀』へのお気持ち

2006-07-20 13:50:41 | Weblog
日本経済新聞が20日の朝刊で、故・富田朝彦さん(靖国神社がA級戦犯合祀を決めた当時の宮内庁長官)のメモというのを公表した。内容は、富田さんが耳にした昭和天皇のお言葉を、そのまま記したもので、靖国神社がA級戦犯合祀を決めて以来、なぜ昭和天皇が靖国に参拝されなくなったか、その真意が語られたものだ。メモの真贋の判断は下されていないが、本物である可能性が高いらしいこと・・・また、富田さんは非常に真面目かつ几帳面な人で、昭和天皇の言葉に自分の解釈を入れて記するような人ではないらしいことから、このメモに記された言葉が、昭和天皇の本当のお気持ちであったのではないかとの意見が多い。

で、肝心の昭和天皇のお気持ちだが・・・靖国神社のA級戦犯合祀には、反対でいらしたということだ。特に、特定の二人の名前を挙げ、彼らまで祭ることは、とんでもないことだとお考えであったようだ。

短い言葉だが、この言葉が本当に昭和天皇のお言葉だとしたら・・・昭和天皇が、靖国神社のA級戦犯合祀に反対されている理由は、「戦勝国がリードする裁判でA級戦犯とされた人を祭るのは戦敗国としてマズイだろう」というような単純な理由ではなく、A級戦犯とされた人たちの中に、実際に戦争の責任を負うべき者がいると思っておられたのだということになると思う。

実は、最近、世の中の右傾化に引きずられてか、わたし自身の意見としても「総理大臣が靖国に参拝してもいいんじゃないの」と思い始めていた。主な理由は、外から、あまりにもヤイノヤノイ言われることに、逆ギレしかけていたのだと思う。

外国からの、総理の靖国参拝反対への抗議は、戦時中に日本が負わせた傷が言わせているというより、どうみても外交手段として、あるいは内政に利用するための道具でしかなかったから、それに反発して「いいじゃん、参っちゃえばっ!!」って気持ちが膨らんできていたわけだ。

「A級戦犯って言われている人たちだって、本当に卑怯なことや残酷なことをした人たちなのかどうか、分かったもんじゃないでしょ。中には、ただ愛国者であったというだけの人もいるかもしれない。戦勝国が一方的に押し付けた罪名で、日本人までが、彼らを裁くのもどうかと思う」とさえ、思い始めていた。

先の戦争に負けたからではなく、どんな戦争であれ「戦争というものを二度と体験しないために」学ばなければならないことが山ほどあるに違いないとは思っているが、それが卑屈になって弱腰外交をつづけることではないだろう。

けど・・・この、昭和天皇の言葉は重いなぁ~・・・。天皇陛下様の御言葉だから逆らっちゃいけないのじゃなく、戦争を起こし敗戦を決めた『当事者』であった人の言葉として、ものすごく重い。天皇であるがゆえに見えなかったもの、見せてもらえなかったことも多いと思うけれど、彼だからこそ見えたもの、彼だけに見えたものも多かったと思うもの・・・これほど重い言葉はない。

恥ずかしいほど単純で申し訳ないけど、昭和天皇のお気持ちが、このメモの通りだったとすれば・・・わたし、小泉さんの靖国参拝には反対することにします。国のトップにある人には、国の為に死なせた人たちに対してすべきことがあると思いますが、それは靖国参拝ではないようです。

わたしは、思想的には天皇制を肯定してない派なのだが・・・この昭和天皇の言葉は無視できない、ほんとに。それにしても、昭和天皇の言葉って、怖ろしいほどの影響力があるんだなぁ~・・・すこし、そら怖ろしい気がする。